ソニー株式会社とシンガポールのBandLab Technologiesは、音楽制作支援に向けた戦略的提携を発表しました。提携に伴い、ソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」が、ソーシャル音楽制作プラットフォーム「BandLab」に導入されます。
今回の提携の目的は、音楽制作の技術的なハードルを下げることです。両社の連携により、最新オーディオ技術が幅広いクリエイターに提供される予定です。また、ソニーのパーソナルエンタテインメント事業部長担当 大島正昭氏は、「良質な音楽体験をあらゆる音楽クリエイターに届けられると期待しています」と述べています。
BandLab Technologiesは2015年設立のシンガポール企業で、ソーシャル音楽制作プラットフォーム「BandLab」を展開しています。BandLabは無料提供されており、ブラウザやモバイル端末から音楽制作が可能です。無制限のマルチトラック編集機能や無料クラウドストレージを特徴とし、世界で1億人以上が利用しています。同社は音楽ソフトウェアのCakewalkや音楽メディア、音楽マーケットプレイスなども展開しています。
今回BandLabに導入される「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」は、ソニーが開発した立体音響技術です。立体音響技術とは、音の位置情報を細かく設定し、全方位から音が立体的に聞こえるリアルな音響空間を作り出す技術のこと。360 Reality Audioでは、バーチャルの球状空間に音を一つずつ配置しコンテンツを制作します。
これまでは「360 Reality Audio」での立体音響コンテンツ制作には、ソニーが提供する専用ツールを利用する必要がありました。BandLabへの導入により、より多くのクリエイターが手軽に「360 Reality Audio」のコンテンツ制作に取り組めるようになります。導入は2025年夏を予定しています。
両社は将来的に、BandLabアプリ内に共同ブランドの専用ハブを開設予定です。新しい音楽制作ツールや学習プログラムなどを提供し、立体音響をコンテンツに活かすために、クリエイターを後押しすることを目指しています。BandLab TechnologiesのCEO、メン・ルー・クック氏は、「クリエイターが挑戦を続け、創造の可能性を広げられるよう支援していきます」とコメント。両社は、この提携を通じて、音楽制作の障壁を下げ、クリエイターが自由に作品を作り共有できる環境を構築する方針です。