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活用事例 2019.10.18

17世紀の難破船を、VRで蘇らせる

アイスランド大学とオランダ文化遺産庁の共同チームは、17世紀に難破した密輸船を3Dキャプチャし、VRコンテンツを作成・公開しました。YouTubeで公開されており、スマートフォンやVRヘッドセットで見ることができます。

難破船を3Dスキャン、正確なモデルを構築

今から約360年前、オランダの密輸船“Melckmeyd”はアイスランド沖を航行中嵐に遭遇し、北大西洋に沈みました。そして1992年地元のダイバーがこの難破船を発見し、専門家らによる調査が開始されました。

2016年、アイスランド大学及びオランダの文化遺産庁はこの船舶について共同調査を開始。その中で同大学の博士課程学生を中心に進められたのが、難破船の高解像度3Dスキャンです。撮影されたデータをもとに、研究者はMelckmeydの正確な3Dモデルを構築し、さらに約3分間の360度動画へと編集。こうして海底へのダイビングができなくても、VRで沈没船の隅々まで見て回ることが可能になったのです。

調査チームは「このアプローチにより、海底にいるような没入感を最大限に体験することができます。またダイバーでない人にとっても、潜水に極めて近い体験を再現しています」と説明しました。

YouTubeの360度動画で公開

コンテンツは当初アイスランドのレイキャヴィーク海洋博物館でのみ体験できましたが、2019年10月現在ではYouTubeで公開されています。スマートフォンやVRヘッドセットを使い、ダイバーのそばを泳ぎ、船のすぐ近くまで寄って好きな角度から難破船を見ることが可能です。またキーとなるポイントでは、英語とオランダ語でポップアップが浮かびます。

同様の難破船に関するフォトグラメトリ調査で、これまでに最大と言われるプロジェクトの責任者を務めたJon Henderson氏によれば、世界に潜水士はわずか600万人程度しかいないとのこと。つまり難破船を眼にすることができる人は、全人類の0.1%以下に限られます。
「しかし今では、フォトリアルに細部まで再現する技術があります。こうして誰もがスマートフォンや自宅で中を見て、インタラクションできるモデルを作り出せるようになったのです」とHenderson氏は語りました。

(参考)VRScout
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