企業向けのARヘッドセットを開発するRealWearは、シリーズBラウンドで8,000万ドル(約86億円)の資金調達を行いました。製品市場の拡大を進め、プラットフォーム開発を加速します。
代表製品”HMT-1”
今回の資金調達は、半導体メーカーQualcomm(クアルコム)やBoseのベンチャーキャピタル、JPモルガン・チェースといった複数の企業から行われました。
RealWearが手がける代表製品は、ARヘッドセットHMT-1です。企業向けのデバイスで、生産性や安全性の向上を目的として設計されています。
ユーザーがHMT-1を装着すると、視線の先に7インチサイズのバーチャルなAndroidタブレット画面が投影されます。資料やタブレット機器を使いにくい悪環境下でも、このバーチャルディスプレイから情報をスムーズに得ることが可能です。また操作は音声のみで行えるため、ハンズフリーな作業も実現します。
これまで1年半の期間で、15,000台のヘッドセットが1,300の企業向けに出荷されたと言います。
累計調達額は1億ドル超
RealWearのCEO、Andy Lowery氏によれば、同社は堅実な資金調達戦略をとってきたとのこと。声明では、「シードラウンドは友人や家族、初期の顧客、サプライヤー、ビジネスパートナーから出資を受けました。これがColumbia Ventures主導のシリーズAラウンドに繋がりました」と説明しています。そして「RealWearへの新たな出資者は、ビジネスやテクノロジー分野のリーダーでなければなりません。今回の出資者は、この条件を満たしています」とシリーズBラウンドの資金調達を総括しました。
なお同社は、2018年にシリーズAラウンドで1,700万ドル(約18億円)の資金調達に成功しており、これまでの累計資金調達額は1億ドル(約108億円)超に達しています。
無駄のない製品との評価
またリサーチ会社IDCのアナリストは、RealWearの技術について次のように述べています。「エンタープライズ向けのAR市場は非常に盛り上がっています。しかし長期的な、現実に役立つソリューションは限られたものでした」「RealWearは、ナンセンスではないヘッドマウントディスプレイの必要性に気づき、無駄を省いた製品を開発しました。現場のワーカーたちが、より安全に、効率的に作業を行う助けとなる製品です」
RealWearの顧客には、シェル、エアバス、BMW等の大企業も名を連ねています。