企業向けソフトウェア大手のPTCは、AR開発ツール「Vuforia」の最新エンジン「Vuforia Engine 11」を発表しました。オブジェクトトラッキングターゲットの生成機能など、複数の新機能が導入されるとともに、新たに「エンタープライズプラン」が追加され、大規模な産業環境でのAR導入を目指す仕様となっています。
Vuforiaは、PTCが提供するAR開発ツールキット群であり、日本では2019年からSB C&S株式会社による販売が開始されています。Vuforiaは、直感的な操作でコンテンツ制作が可能な「Vuforia Studio」や、共通の画面を見ながら指示を伝えることができるARコミュニケーションツール「Vuforia Chalk」など、複数のツールが含まれている企業向けAR製品群です。「Vuforia Engine」は開発者がARコンテンツを作るための開発ツールです。
提供元のPTCは、産業向けCADやPLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウェア開発大手として知られており、近年はApple Vision Proに対応した「Onshape Vision」なども発表するなど、XR分野での取り組みを加速させています。
今回リリースされた「Vuforia Engine 11」では主に4つの新機能が追加されています。
1つ目の「オンプレミス高度モデルターゲット機能」は、モデルベースのトラッキングターゲットを生成できる機能です。トラッキングターゲットとは、ARアプリケーションが仮想コンテンツを現実空間に固定するために認識する、特定の3Dオブジェクトや形状を指します。
従来のターゲットは平面的な2D画像(ポスターやQRコードなど)でしたが、この新機能により、自動車や機械、製品などの立体的なオブジェクトを、その形状に基づいてAR認識できるようになります。また特定の方向だけでなく、あらゆる角度からオブジェクトを認識可能。PTCは「これは特に、セキュリティ要件が厳しい産業分野でのAR導入において重要となる」とコメントしています。
2つ目は「オンプレミスのステップチェック機能」です。これはAIを活用したツールで、手順が正しく完了したかどうかを視覚的に確認可能、かつクラウド接続を必要とせずに動作します。
3つ目は「複数状態のモデルターゲット機能」で、これはベータ版から正式版へと移行した機能となります。この機能により、開発者は組み立てやサービスの複数段階を通じてオブジェクトを追跡することが可能になります。例えば、製品が組み立てられたり分解されたりする過程でも追跡を継続できるようになります。
4つ目は、大規模なナビゲーションとAR体験をサポートするための「クラウドエリアターゲット機能」です。空間データをクラウドから処理、保存、ストリーミング可能となるため、ローカルストレージの必要性がなくなります。大きな空間内を移動しながら、何千もの端末にARコンテンツを簡単に配信できるようになります。
また今回のリリースに合わせて、料金プランとしてエンタープライズプランを新たに導入。エンタープライズプランのユーザーは、クラウドトレーニングなしで新機能を利用できます。

