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テック 2018.12.20

有機ELの進化、一体型VRヘッドセットの省電力化に期待

OLED(有機発光ダイオード、いわゆる有機EL)はディスプレイの省電力化に貢献する発光素子として期待されています。近年、この素子は飛躍的な進歩を遂げており、特にPCやスマートフォンを使わない一体型VRヘッドセットに寄与すると考えられています。

ディスプレイの省電力化、OLEDに期待が高まる

オーストラリアのNICTA・ニューサウスウェールズ大学のCarroll氏らによると、一体型のVRヘッドセットではディスプレイが最も消費電力が大きく、その省電力化が重要です [Carroll+ 2010]。WiFiを経由した通信量が大きい場合でも(アプリのダウンロード、ソーシャルVRの利用など)、ディスプレイの電力消費にはとても及ばないと言われています。

今回、イギリスのケンブリッジ大学、中国の吉林大学の研究者らは、赤色のOLEDの飛躍的進歩に言及した研究を論文誌Natureで発表しました。
論文によると、OLEDは100%に近い電力効率を実現できると言われています。

OLEDはラジカル(不対電子を持つ半導分子)を含む素子です。スピンと呼ばれるラジカルの量子物理的性質により、以前のOLEDとは違って、電力効率において量子機構的な制約を受けず、電力効率が非常に良いとされています。

OLEDの多色化の課題

ディスプレイのフルカラー化に向けて、OLEDの技術は赤色だけでなく、青・緑も含め3色ともに実現されるべきと言えます。しかし、これまで赤のOLEDに対する研究のみ発展してきました。
青は難しいと言われ、緑について未だ言及がありません。そのため、OLEDは今後、緑、青の順で取り組まれると見込まれます。

OLEDに対抗する素子に、マイクロLEDがあります。OLEDと同様に高い電力効率を持つ素子で、Facebookやサムスンなど大手企業が活発に調査に乗り出しています。

マイクロLEDはLCD(液晶)やOLEDとは異なる分子構成でありながら、OLEDに対して消費電力を50%近く削減できるとして期待されています。
しかしその技術的な難しさから、実際の製品化にはまだ至っていません。

(参考)
https://uploadvr.com/oled-breakthrough-might-one-day-deliver-longer-battery-life-standalone-vr/


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