VRゲーム開発の老舗企業であるnDreamsが、従業員の17.5%を対象とするレイオフを実施することを発表しました。この決定は、VRゲーム市場の課題に対応し、今後も革新的なタイトルを制作し続けるための戦略的な動きとして説明されています。
nDreamsは2013年に設立された英国のVRゲーム開発スタジオで、過去10年以上にわたりVR業界の最前線で活躍してきました。同社は「The Assembly」、「Phantom: Covert Ops」、「Fracked」、「Ghostbusters: Rise of the Ghost Lord」など、数々の有名VRタイトルを手がけています。また、ゲーム開発だけでなく、パブリッシャーとしての役割も担い、複数の傘下スタジオを設立・買収するなど、事業を拡大してきました。
2023年には、スウェーデンのゲーミンググループAonicによって1億1000万ドル(約150億円)で買収され、当時は約250人の従業員を抱えていました。
nDreamsのCEOであるPatrick O’Luanaigh氏は、この決定について「ゲーム業界の厳しい状況に対応するため」と説明しています。レイオフは幹部層を含む全レベルに影響を与える可能性があるとしていますが、同時に「今後何年にもわたって、画期的なタイトルを制作し、現在および将来の観客により良いサービスを提供するため」の必要な措置であると強調しています。
なお、現在開発中の「Vendetta Forever」と「Frenzies」については、今回の再編の影響を受けないとされています。これらのタイトルは来月にMeta QuestシリーズとPlayStation VR2向けにリリースされる予定です。
nDreamsの状況は、ゲーム業界全体が直面している課題を反映しています。2023年から2024年にかけて、Embracer Group、Unity、Microsoft、EA、Sony、Epic Games、Take-Two Interactive、Riot Gamesなど、多くの大手パブリッシャーやスタジオが大規模なレイオフを実施しています。VR関連のスタジオでも、MetaのReady at Dawn、ソニーインタラクティブエンタテイメントのLondon Studio、インディー開発者のArchiactなどが閉鎖に追い込まれています。
nDreamsは、影響を受ける従業員に対して最大限の支援を行うと約束しています。O’Luanaighは「影響を受ける可能性のある従業員が、nDreams内または他の場所で新しい役割に移行できるよう、包括的な支援を行うために全力を尽くしています」と述べています。
(参考)Road to VR、UploadVR