2024年9月13日から22日にかけてVRChat上で開催された、「SANRIO Virtual Festival 2024 Summer Edition」。約半年前に行われたサンリオVfesのサテライト開催版として、期間中はさまざまなコンテンツを楽しむことができました。
サンリオキャラクターたちも登場するバーチャルパレードやクリエイターパフォーマンスが再上演されたほか、ゲームワールドも再公開。通常開催版と同様に、VRChatのユーザーコミュニティとのコラボやDJイベントも行われました。
VRChatを最近始めた人が楽しめたのはもちろんのこと、半年前に参加した人にとっても、あの最高のライブとパフォーマンスをまた味わえる嬉しい機会に。期間中は大勢の来場者が足を運んでいる様子でしたが、忘れてはいけないのが、新規コンテンツです。
本記事では、そのなかから新作ショー「Musical Treasure Hunt—Spectral Remix」をピックアップ。どのような体験ができたのかを紹介します。
「Musical Treasure Hunt—Spectral Remix」とは
「Musical Treasure Hunt—Spectral Remix」は、今回のサンリオVfesで初めて公開された新作ショー。2023年のサンリオVfesで登場したバーチャルパレード「Musical Treasure Hunt」の、“続編”であると言ってしまっていいでしょう。
監督を務めるのは、バーチャルYouTuberのキヌさん。
第1回からサンリオVfesに毎回出演しているアーティストであり、2022年には、バーチャルサンリオピューロランドで行われたショー「Nakayoku Connect」の監督も務めました。さらに、今年の9月にサンリオのクリエイター支援プロジェクト「Nakayoku Creators」に選出されました。バーチャル世界で活躍する気鋭のクリエイターです。
いつまでもそこで味わっていたい、音と光のセッション
ショーがはじまると、「音楽と本当のお友達になって、素敵な宝物を探し出ましょう!」と話すキティちゃんに導かれ、ワープマシンで冒険の旅へと繰り出します。
ところがワープ中に空間が歪み、マシンから投げ出されたキティちゃんが起き上がると、そこは不思議な空間。
周囲には木々のようなシルエットの粒子が漂い、足元には何かの部品や欠片が散らばっている様子。色はない、音楽も聞こえない、視覚的にも聴覚的にも静かな空間かと思いきや、耳を澄ませば、いろいろな音が聞こえてくる。ここはいったい、どこなのでしょうか。
不安な様子のキティちゃん。しかし、聞こえてくる音が「歌っているみたい!」だと気づき、メロディを口ずさみます。すると、そのメロディに答えるようにして同じ旋律が響き、その音色に呼応するように、水面に波紋が広がるように、足元の粒子たちがきらめきます。
しかし、そこに漂う音たちは、存在としてはまだ不安定な様子。「壊れちゃった! せっかくなかよくなれたのに……」とキティちゃんが残念そうに呟いた、次の瞬間。「なんだ、この音は……」と聞き覚えのある声が聞こえて、稲妻と雷鳴が走ります。
そこに現れたのは、巨大な怪物。実は前作「Musical Treasure Hunt」でも登場し、観客のあいだでは「ノイズミュージックさん」と呼ばれて親しまれていました。
キティちゃんと観客に向けて「久しぶりだな」と穏やかな声色で話しかけてくる姿を見るに、やはりこのショーは前作の「その後」である様子。ティザームービーでもその存在は匂わされていましたが、このノイズミュージックさんの登場には、前作を体験していた観客のあいだから再会を喜ぶ声があがっていました。
ノイズミュージックさんの話によれば、ここは「雑音の森」。世界中で生まれた新しい音の欠片が流れ着く場所であり、その欠片たちは命を得て、成長し、遊ぶことで、そこから新しい音楽が生まれるのだそう。――と、そんな話を聞いてしまっては、音楽と本当のお友達になりたいキティちゃんと我々観客も、一緒に遊ばないわけにはいきません。
キティちゃんとノイズミュージックさん、そしてハートライトを持った観客たちによる、セッションが始まります。
その後の展開はぜひショー本編、または映像でご覧になってほしいのですが(※現在は体験終了)、これまでに味わったことのない音と光の幻想的なセッションに、すっかり心を奪われてしまいました。
空間のあちらこちらで奏でられる音色を楽しみ、味わいながら、時には自分もハートライトを振ってみることで、「音」と一緒に遊べる。なかよくなれる。
立ち位置によっても音の聞こえ方が変わるため、自分の好きなポジションを見つけて聞き入っても良いし、ハートライトを振ることで周囲の音に働きかけ、積極的にセッションに参加してみても良い。毎回いろいろな楽しみ方ができるため、開催期間中は何度もリピートして観に行っていた人も少なくなかったようです。
「はじめまして! こんにちは!
わたしは、ハローキティです!
あなたといっしょに、歌いたいの!」
生まれてくる音楽に向けて、優しく呼びかけるキティちゃん。音と遊んで、音を楽しむ。15分に満たない短い時間のショーでしたが、「音楽」の本質的な楽しさがじんわりと身体中を染みわたるような、記憶に残る体験となりました。
「Musical Treasure Hunt—Spectral Remix」は専用の有料チケットが必要だったため、もしかしたら見逃してしまった人もいるかもしれません。
現在、サンリオの公式YouTubeチャンネルでショー本編が公開中ですので、気になった方はぜひそちらでご覧になってみてください。こちらの動画は期間限定公開のようですので、お早めに!
クレジット
Nakayoku Creators : キヌ
Engineer : 避雷
Composer / Sound Designer : yoxtellar
Composer / Spatial Sound Engineer : らくとあいす
Producer : 0b4k3
Video Director : Takaomi
Title Design : Daiya Tanabe