MetaのXR/メタバース事業部門であるDisplay Systems Research(DSR)チームが、超広視野角VRヘッドセットの研究成果を発表しました。
8月にカナダ・バンクーバーで開催される国際会議「SIGGRAPH 2025」にて、水平180度×垂直120度の視野角を実現した2つのプロトタイプを展示する予定で、いずれも現行機「Quest 3」と同等のサイズ感を維持しているとのことです。
これまで視野角を広げる試みは、ヘッドセットの大型化や重量増加が課題とされてきました。今回の研究では、新たな光学技術により、比較的実用的なサイズでの超広視野角を可能にした点が大きな特徴となっています。
DSRチームは、現実と区別できない視覚体験の実現、いわゆる「Visual Turing Test」(ビジュアルチューリングテスト)の達成を長期的な目標として掲げてきました。2018年には、140度の視野角を持つ試作機「Half-Dome」を公開していますが、以降は小型化や電子制御の焦点調整システムの研究が中心となり、視野角はやや後退していました。
2024年10月には、MetaのCTOであるアンドリュー・ボズワース氏が水平210度の視野角を持つ試作機を公開しましたが、同氏は当時、重量や処理性能、熱処理などの面から「実用に適さない」との見解を示していました。今回の研究は、そうした技術的制約を乗り越える可能性を示しています。
新たに開発された2種類のプロトタイプは、水平180度×垂直120度という広い視野を持ちながらも、サイズや重量の点で市販製品と同程度の設計を実現。Quest 3の視野角は110度未満、廉価モデルのQuest 3Sは96度未満とされています。
この視野角拡大は、「高曲率反射偏光子」を用いた独自の光学設計によって実現。また、MR対応のバージョンでは、毎秒60フレームで8000万画素以上を処理するカスタム設計のカメラも搭載してます。この構成により、これまでの超広視野角ヘッドセットに見られた大きさや重量の問題を回避しているとのことです。
しかし、視野角が広がることで描画すべき映像情報が増加し、それに伴い計算処理や発熱量も増えます。ボズワース氏が以前に指摘していたこうした課題は、現時点では依然として残されています。また、今回発表された研究論文の要約には、デバイスの重量に関する記載がありません。
DSRチームはこれまでも段階的に光学技術の研究開発を進めており、SIGGRAPH 2022では高輝度HDR、2023年には網膜解像度の焦点調整機構や遅延の少ない映像透過技術などを発表しています。今回の成果も、そうした継続的な取り組みの一環と位置づけられています。
完全版の研究論文は、SIGGRAPH開催前日の8月9日に公開予定となっており、会期中にはプロトタイプのデモンストレーションも実施されます。また、「Hyperrealistic VR A 90PPD, 1400Nit, High-Contrast Headset」と題された別の研究も発表され、解像度や輝度、コントラストの面で新たな水準に到達したとされています。
(参考)UploadVR
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