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企業動向 2024.12.23

事前のデータセットやトレーニングなしでAIアバターがリアルに動く Metaが基盤モデルを公開

Metaの基礎AI研究チーム(Meta FAIR)は、動作基盤モデル「Meta Motivo」の研究成果を公開しました。Meta Motivoは、タスクごとの強化学習プロセスや事前データセットが不要で、仮想空間内のヒューマノイドエージェントの動作を制御できる基盤モデルです。重力や風などの環境変化にも対応可能で、メタバース空間でよりリアルな動きを実現するNPCの開発などへの応用が期待されています。

Meta Motivoは、モーションキャプチャーのデータセットを活用して開発された動作基盤モデルです。従来の教師なし強化学習では、タスクごとに強化学習プロセスの実行や、データセットの準備が必要でした。

しかしMeta Motivoでは、状態、動作、報酬を同一の潜在空間に組み込む新しいアルゴリズムを採用。これにより、モーショントラッキング、目標地点への到達、報酬の最適化など、様々な全身制御タスクを追加トレーニングなしで実行できます。

また、Meta Motivoは重力や風、直接的な外乱といった環境の変化にも対応可能です。この特徴により、メタバース空間でより自然な動きをするNPCの開発や、キャラクターアニメーションの自動生成、没入型体験の創出などへの活用が見込まれています。

この発表は、Metaが展開するAIアシスタント「Meta AI」の機能拡充の一環として行われました。Meta AIは現在、Facebook、Instagram、WhatsApp、Messengerなどのアプリで利用可能。アメリカではスマートグラス「Ray-Ban Meta」にも導入されています。将来的にはVR/MRヘッドセット「Meta Quest」シリーズにも対応する予定です。なお、記事執筆時点ではMeta AIはアメリカのほか、オーストラリアやカナダ、シンガポールといった国で提供されています(日本は対象外)。

また今回の研究成果の公開では、Meta Motivoの他にも複数の研究プロジェクトが発表されています。動画への電子透かしを施す「Meta Video Seal」、大規模言語モデルの社会的知能を向上させる「Meta Explore Theory-of-Mind」、言語と概念の分離に着目した「Meta Large Concept Models」などが含まれます。

Metaはこれらの研究成果を研究コミュニティと共有することで、AIの責任ある開発を促進し、メタバースの実現に向けた技術革新を加速させることを目指しています。Meta Motivoの研究論文デモコードとモデルは既に公開されており、研究者や開発者が利用可能な状態となっています。

(参考)Meta


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