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業界動向 2021.07.09

VRとAR両対応デバイスのLynxが軌道修正 価格は数百ドル、一般ユーザー向けにもクラファン実施

VR/AR両対応の一体型ヘッドセットを開発しているフランスのスタートアップLynxは、日本時間7月9日未明にライブ配信を実施。デバイス開発の現状を報告しました。同社はデバイスをエンタープライズ向けに開発していましたが、コンシューマー向けにも販売する方針転換を発表。併せて機能や価格なども明らかになりました。

コンシューマーも使えるデバイスへ

Lynxは、VRとAR両対応の一体型ヘッドセットを開発しています。眼前を覆い、ヘッドセット前面にある2つのカメラを通して現実を見ることができるビデオシースルータイプのARを実現します。

Lynxは2020年2月に製品の予告を行い、当初2020年夏の発表を予定していましたが、形状変更や機能の調整などの延期を繰り返していました。直近では2020年11月に大幅な小型化ともに、新型コロナウイルスの影響を理由に延期をアナウンス。約半年ぶりにアップデートが行われた形です。

ライブ配信はまず軌道修正の内容説明からスタート。これまでエンタープライズ向けとしていた製品版デバイスを、コンシューマー購入・使用できるデバイスとして発売することを明らかにしました。

価格を数百ドルに下げ、コンシューマ向けに

当初、Lynxのこのデバイス「R-1」は1,500ドルでの予約販売を行っていましたが、今回の方針変更によって数百ドル以下に価格変更を行うとのこと。機能としてはアイトラッキングが未搭載になります。他方、Ultraleap社のセンサーを組み込んだハンドトラッキングは引き続き搭載されます。

なお、上記以外のスペックの変更は今回の発表では明らかになりませんでした。これまでの性能通りの場合、プロセッサにはOculus Quest 2などと同様にクアルコムのSnapdragon XR-2を搭載、ディスプレイ性能は3200×1600(両目)です。PC向けのSteamVRにも対応し、PCに有線接続することでPC向けのVRヘッドセットとしても使えるとのこと。

またOSはAndroid 10ベースで駆動しますが、プライバシーの観点からGoogleへの情報送信はカット。対応しているゲームエンジンは発表時点ではUnity。OpenGLとOpenXRに対応し、今後様々なデモを公開していく予定です。

クラウドファンディングは「独立を保つため」

またLynxは、もう一つの大きな方針としてクラウドファンディングの実施を発表しました。2021年9月よりスタートするとのこと。Lynxはクラウドファンディングの理由として「投資を受けずに独立してデバイスの開発を続けるため」と述べています。

発表の中でも何度か触れていましたが、LynxはVR/ARヘッドセットを使用する際に、プライバシーを守ることや広告表示を行わないこと、などへの強いこだわりが見られます。個人情報保護意識が高いヨーロッパに拠点をおいているLynxのユニークな方向性と言えるでしょう。

クラウドファンディングでは、「価格は上がる」ものの、スケルトンタイプの透明なデバイスもリワードに登場するとのこと。これまで他のVRヘッドセットでもあまり見られなかった、独特なデザインとなります。

詳細な価格は”近いうちに発表”されるとのこと。続報を待ちたいところです。

なお、VR/ARに両対応したヘッドセットは、フィンランドのVarjoや日本のキャノンがエンタープライズ向けに展開しているほか、Appleからの登場も噂されており、今後注目のデバイスジャンルとなる可能性があります。

(参考)Lynx


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