弱視の子供向けのVRを利用した治療法が、米国食品医薬品局(FDA)により新規に市販前承認を受けたと発表されました。この治療法は、患者がVRのヘッドセットを使って修正されたテレビ番組や映画を見ることで、視力を改善します。
見たいビデオで治療ができるLuminopia One
弱視は、子どもの約3%が罹患しているとされています。現在の治療法では、視力が強い方の目をパッチや目薬で塞ぎますが、両方の目を連動させる訓練にはならず、視覚機能を完全に回復させるには不十分な場合が多くありました。
今回発表された「Luminopia One」は、VRを活用した治療法でLuminopiaが開発。弱視や神経視覚障害の子どもたちを対象とした初のデジタル治療薬となります。
Luminopia Oneでは、700時間を超える人気の高いテレビ番組や映画の中から、患者が見たいビデオを選ぶことができます。VRヘッドセット内で選択されたビデオがリアルタイムに修正され、弱い方の目の使用を促進し、患者の脳が両目からの入力を組み合わせるように促します。
Luminopia Oneのウェブサイトでは、メディアパートナーとしてセサミストリートやUNIVERSAL KIDS、DreamWorksなどの企業名が挙げられています。
この治療法は、市販のVRヘッドセットを使用しており、4歳から12歳までの子どもが対象。眼科医によって1日1時間、週6日、12週間にわたって処方されます。
62%の子どもが視力を強く改善
この治療法の臨床試験では、Luminopia Oneと眼鏡を併用するグループと、治療法を使用せず眼鏡だけを使用するグループに分けられました。12週のあいだ1日1時間で週に6日、番組を視聴した結果、Luminopia Oneを使用した子どもの62%が視力を強く改善しました。眼鏡だけのグループでは、12週間の間に同様の改善が見られたのは33%でした。
Luminopia Oneは、米国にて2022年の第2四半期に発売される予定です。
(参考)Business Wire