2026年7月28日、東京都内でXRを用いたLBE市場のコンソーシアム「LBEC」発足記者会見が行われました。
「XRを用いたLBE(Location-Based Entertainment)」とは、近年特に海外で盛り上がりを見せているXRをはじめとするデジタル技術を活⽤して空間全体を演出するエンタメジャンルのことで、日本国内でも常設型・イベント型共に開催事例が増えてきています。ロケーションベースVR、イマ―シブエンターテインメントなどの呼ばれ方もされています。
そもそもロケーションベースVRが、従来のVRコンテンツと特に違うのは、リアルの空間とバーチャル内コンテンツが一定以上連動していること。、例えば、宇宙ステーションや古代遺跡など、現実にない広いバーチャル空間を実際に自分の足で歩き回る体験ができます。
国内での課題としては、特にロケーションベースVRコンテンツを自社で持っている企業や制作クリエイターと、そのコンテンツに適した体験施設のマッチングがなかなか難しいということ。逆にロケーションベースVRコンテンツを導入したい企業や施設所有者が、制作クリエイター・企業を見つけることが難しいという例もあるそうです。また、ここ数年のロケーションベースVRの流行が草の根的に勃発したものであったために、コンテンツの共通規格というものがなく、どの企業もクリエイターも都度手探りで制作・実施するしかなかったという点も挙げられています。
特に歩き回れるフリーローム型の場合は、来場者のVRヘッドセットを着けた状態で歩き回る際の各種安全性の確保のための共通ルールというものも現状なく、各実施企業にそれを委ねるしかないところもありました。
そういったところに対する課題意識を持って発足したのが今回の「LBEC」というコンソーシアムであるという印象です。
本コンソーシアムに現時点で参画している企業は、KDDI、東急不動産、JFR、テレビ朝日、MUFGなど業界横断25社が参画。運営に関してはSTYLY社によって主導されているようです。会見ではSTYLY社の役員からロケーションベースVRコンテンツの現状や、本コンソーシアムの趣旨説明などが行われていました。
LBECが想定する取組みとしては、将来的にはコンテンツの流通基盤構築まで見据えながら、最初はまず制作にあたってのガイドラインの策定に取り組んでいくとの話でした。
会見で印象的だったのは、STYLY社と参画企業の意気込みを非常に感じられるものだったということです。主催のSTYLY社の役員が出席・登壇しているということはもちろん、参画企業がクレジットに名を連ねるだけでなく会見現地に赴き、登壇し、記者からの質問や写真撮影に応じていました。
また会見の冒頭ではSTYLY社のロケーションベースVRコンテンツの海外市場の状況や国内の状況について魅力たっぷりに説明しており、そういった点からも本会見が単にコンソーシアム発足を告知する会見ということだけでなく、「この会見を機としてロケーションベースVRコンテンツへの注目や需要をさらに喚起しながら、その上で本コンソーシアムが一定以上の存在感を発揮して役割を果たしたい」という意気込みを感じられました。
会見後にはVRデモンストレーションも行われました。
今回体験できたのは、長野県の東急リゾートタウン蓼科で常設展示されている「AnimaLOOK!!」。東急不動産株式会社、東急リゾーツ&ステイ株式会社、株式会社STYLYの3社が共同で企画したコンテンツです。森の生態系について動物視点で学ぶことを目的とした、幅広い年齢層向けの体験となっています。
本来は、体験内容と同期した振動を得られる椅子を用いるコンテンツとのことでしたが、今回は簡易デモということでその椅子は用いない形でした。しかしデモで体験した限りでも十分なわくわく感と楽しさがあり、ハンドトラッキングを活かしたインタラクティブ性(つかむ・投げる)もほど良く、大自然や動物達の姿を楽しみながら冒険とする内容は老若男女楽しめそうで、完成版の方にも十分な期待を持てるものでした。
「LBEC」はロケーションベースVRの発展を牽引していけるのか
前述のように、国内でも加速度的な盛り上がりの兆しを見せつつあるロケーションベースVRは現時点でも多くの課題が表出しつつあります。
その課題を解決しながら、コンテンツ制作企業と、自社IP・施設を活かしたコンテンツを作りたい企業とお客さんにとって快適かつ安心安全な環境を提供できるような企業を横断したハブや、ロケーションベースVR全体を盛り上げていくことが求められている状況であることは確かです。LBEC自体も当然そこに応えていくことを目指していることでしょう。会見でもそこに対する意気込みは十分感じられました。
一方で、現時点での参画企業を見るとコンテンツ制作企業が少なく、単純な数のパワーバランスだけで見ると、コンテンツ制作企業に対して一方的に不利なガイドライン設計やマッチング条件を押し付けるような団体になってしまわないか? ということが懸念されます。
この懸念を払拭し、制作企業・各種発注企業・コンテンツ体験者三方良しのルール設計を行って業界を牽引していくような団体になっていけるかどうかは、主催のSTYLY社のコントロールが重要となりそうです。
STYLY社は、プラットフォーム制作/運営の経験値もすでにあり、かつ企業と協業しての自社コンテンツ制作実績も多く、制作側の事情も発注側の事情も熟知しているであろうと思いますが、しっかりイニシアチブを取りつつバランス感覚を保ちながらどこまでこの取組をやり切れるのか? そこに今回のコンソーシアムの命運は大きくかかっているように感じました。今後の動向も注視していきたいです。
公式サイトはこちら:https://styly.inc/lbec/ja/






