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テック 2016.12.08

VR用デバイスのクロスプラットフォームAPIを各社が協力して策定へ

12月6日、グラフィクスなどの業界標準のオープンAPIを策定するコンソーシアム「クロノス・グループ」は、SIGGRAPH Asia in Macauにおいて、VRデバイスの共通APIを策定するため参加企業を募集することを発表しました。

VR業界のためにVRの標準化が必要

現在のVR市場は、上図の左のように各社が独自にAPIやドライバーI/Fの仕様を策定し、互換性はほとんどありません。これは、複数プラットフォームを対応しようとするアプリケーション開発者にとって大変な負担となっています。その結果、複数のVRデバイスをサポートしたいと考える開発者が減ってしまい、各VRデバイスのアプリケーションがなくなり、VR市場の成長も遅くなってしまうことが懸念されます。

クロノスグループの策定しようとしているクロスプラットフォームAPIには、ヘッドセット、コントローラー、その他のオブジェクトのトラッキングや、さまざまなディスプレイデバイスに表示するAPIが含まれています。

参加企業について

非常に多くの企業がこのVR向けクロスプラットフォームAPIを策定するため既に参加しています。以下はその一部です。また、これから参加することも可能であり、仕様策定へ向けてともに活動できるとしています。

参加企業の声

「VRのプラットフォームが急速に成長しているこのタイミングで、クロノスのオープンスタンダードイニシアティブは非常にタイムリーなものです。エピックゲームズは全力で仕様策定のため努力し、その結果をUnreal EngineのAPIとして提供できるようにします。」 – Tim Sweeney, founder & CEO, エピックゲームズ

「オープンな標準化は開発者により簡単に短時間でクロスプラットフォームでの開発を提供できます。また、クロスプラットフォームでの体験はVRのすばらしい面を皆さんに伝えられると考えています。われわれはこのイニシアティブに協力することを楽しみにしています。」 – Mike Jazayeri, director product management, グーグルVR

「クロノスのオープンAPIは業界にとって、とても価値あるものです。VR産業が成熟し、実際に必要となる機能が明確になるにつれて、共同開発されたオープンスタンダードAPIは自然で重要なマイルストーンです。Oculusはこの仕様策定に貢献できることをうれしく思います」 – John Carmack, CTO, Oculus

「VRの成功はハードウェア市場がコンシューマー、プロフェッショナル向けに分裂せず、両立して大きくなることが重要です。この仕様策定はOSVRの当初考えていたビジョンであり、業界全体のインターフェースの標準化を推進するために、クロノスグループの一員となることにとても興奮しています。」 – Christopher Mitchell, OSVR business lead, Razer

「市場におけるVRシステムの数は急速に増えています。これらのほとんどは、クロスプラットフォーム対応をしようとする開発者に別々のAPIを使うことを要求します。その結果、ユーザーにとってとても大きなコンテンツの断片化が起こってしまっています。クロノスのスタンダードAPIへの取り組みはクロスプラットフォームのアプリケーション開発を可能にする重要なステップです。」 – Gabe Newell, Valve

標準化は進むか?

参加企業のコメントを見る限り、各企業が共通化を目指そうとしているのが分かります。しかし、ゲームエンジンを提供するUnityが参加企業として紹介されていないのが気に掛かります。また、グラフィクスAPIのOpen GLとDirect Xのように、オープンな仕様が策定されても使用する企業や業界が異なるといった結果にならないような仕様が策定されることを望みます。

(参考)

Khronos Virtual Reality Standard Initiative – (英語)

https://www.khronos.org/vr/

https://www.khronos.org/news/press/khronos-announces-vr-standards-initiative


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