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活用事例 2016.06.07

KDDI、キャリアとしてVRへの取組を表明。まずは体験の場を増やすところから

KDDI株式会社は、6月6日、メディア向けの説明会を開催し、同社のVRに関する取組を発表しました。VRを「次世代のコミュニケーション」とし、今後さらに様々な取組を行っていくことを表明。国内のキャリアとしては初めて、VRに積極的な展開を進めていくことを明らかにしました。

今後、基幹店である新宿のauショップ「au SHINJUKU」でHTC Viveを使ったデモの体験会を実施するほか、VR機器の普及の後押しや5Gなどインフラを活用したVRへの貢献を考えていることが明らかになりました。

KDDIのこれまでの取組

KDDIはコミュニケーションを提供する通信キャリアとして、VRが次世代のコミュニケーションを担う存在であるとしてVRへの取り組みを模索してきました。

au VR

これまでもVRCコンソーシアムの法人会員としてJapan VR Summitなど各種イベントへスポンサード。また、2016年3月にはアメリカで開催された世界最大のクリエイターイベントSXSWでは、HTC Vive向けのコンセプトコンテンツ『Linked-door」を展示しました。

直近では、新発売となったスマートフォンGalaxy S7 Edgeの予約購入者にGear VRを配布するキャンペーンを実施。2016年5月には自社の持つファンドKDDI Open Innovation Fundを通じて、ハコスコへの出資及びプロモーション事業の推進を発表しています。

VRは次世代の“イマーシブ”コミュニケーション

説明会で登壇したKDDI商品・統括本部商品企画部の松田部長は、VRが文字や画像による「情報の共有」から「体験の共有」へと既存のコミュニケーションのあり方を変える存在であることに着目していると強調。次世代コミュニケーションをイメージしたコンセプトである『Linked-door』を開発しました。

au VR

『Linked-door』はHTC Viveの実現する歩き回れるルームスケールを活用。VR空間で音楽を聴くなどのアクティビティをしているところに、友達などから着信があり。誘われた場所に扉を開けて移動すると「実際に歩いて入る」ことができるというもの。VR空間内での乾杯や「現実に引き戻す」仕掛けなど、動き回ることとインタラクティブな要素がコミュニケーションにVRが実現する未来のコミュニケーションをイメージさせるものとなっています。

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『Linked-door』の体験レポートは別記事にてお送りします。

ハイエンドな体験を手軽に楽しめる環境を目指して

また、KDDIは現在のスマートフォンを使ったカジュアルなVRとPCを使ったハイエンドなVRに二極化している状態に言及、将来的にはスマートフォンの性能向上や技術の登場により、ハイエンドな体験を手軽に楽しめる環境になると想定していることを明らかにしました。

au VR

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そうした今後の道筋を示した上で、店舗、端末、コンテンツ、ネットワークインフラなどキャリアが果たす役割は多いとし、まずは体験の場を提供することから取り組むとしています。

その第一弾となるのが、6月11、12日に「au SHINJUKU」で開催される『Linked-door』の体験会。HTC Viveを使ったイマーシブなコミュニケーションを一般の人にも体験してもらいたいとしています。

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また体験した人がVRを継続的に使いたくなる次の段階に向けて、プラットフォームを通じたコンテンツの配信なども積極的に後押ししていくこと、手軽なVRデバイスを作りプラットフォームを運営しているハコスコとの事業連携を紹介しました。

ハコスコにも出資を行っているように、今後VR市場が拡大することで、ハードウェアやコンテンツだけでなく、配信プラットフォームや課金/決済、広告など様々な領域でのビジネスの可能性があるとしています。

キャリアがVRに参入する意味

現時点ではまだ次の施策として新宿の店舗での体験会以上の展開は明らかになりませんでしたが、全国に2500以上あるauショップ等店舗でのVRの体験スペースの設置については検討の余地があると前向きなコメントをしていました。全国でVRが体験できるようになる可能性を秘めています。

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また、5Gの導入に取り組むキャリアが、VRに早期から関わることで適切な取組が行われ、高品質なVRをより手軽に簡単に体験できる可能性が高まります。

VRのコンテンツは通常の動画等に比べても非常に容量が重くなります。360度動画でも数分の体験で1GBを超えることも多く、回線の問題でストリーミング再生ができないと数十分のダウンロード後に再生することもしばしばあります。特に期待されている、360度のライブストリーミング(中継)では、回線の限界故に解像度等を落としてしまうが故に体験の質が下がってしまうということが起こります。超低遅延、大容量、多数接続といった特徴を持つ次世代の5G回線技術はこうした問題を解決する存在として期待ができるものです。

国内3キャリアのうち、最初にVRへの取組を表明したのはKDDIですが、他のキャリアも続くのかどうか。そしてハコスコに出資を行い、コンテンツ配信も連携していくとしているKDDIから今後どのようなコンテンツが登場するのか、注目したいところです。


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