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活用事例 2017.09.28

2017年4~6月期のAR/VRヘッドセット出荷台数が発表

IT専門調査会社の IDC Japan 株式会社(以下、IDC)は9月27日、AR/VRヘッドセットの2017年第2四半期(4~6月)の国内・世界出荷台数を発表しました。

IDCが発行する「Worldwide Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Tracker」のデータによると、2017年第2四半期の世界AR/VRヘッドセット出荷台数は213万台となり、ARが前年同期比23.9%減の3.8万台、VRが同27.0%増の209万台となりました。

全体としては2017年第1四半期(1~3月)から微減の出荷実績となりましたが、既存モデルの値下げや今後登場すると見込まれる新製品によるクリスマスシーズンでの市場拡大が期待できると言えるとのこと。

既存システムの値下げで市場拡大が期待されるVR市場


2017年第2四半期 世界VRヘッドセット出荷台数 カンパニー別シェア

AR/VR市場全体の98%以上はVR製品が占め、スクリーンレスタイプ(SamsungのGear VRやGoogleのDaydream Viewなど)が一時、今四半期出荷されたAR/VRヘッドセット全体の54.1%を占めましたが、2017年第1四半期からは19.6%、前年同期比では21.2%の減少となり、出荷に一服感が見られました。ケーブル型のVRヘッドセットは43%を占め、2017年第1四半期から19.3%の伸びを示しました。原因として、PlayStation VRの出荷が続いたことや、Oculus Riftの値下げに伴う出荷数増加が挙げられるとのこと。

IDC Mobile Device Trackerのシニアリサーチアナリストを務めるジテシュ・ウブラニは「VR市場の成長は、最近の導入されたテクノロジーと比較して投資額の面でも低迷していると言わざるを得ないが、エンドユーザー教育分野での必要性は非常に高い」と述べ、既存モデル値下げが採用障壁の一つを緩和するのに役には立ったとする一方で、「消費者がAR/VR製品について学び、購入前に試用する機会を提供することが、依然として大部分の企業が直面している重要な課題となっている」とも述べています。

少ない出荷数のAR市場 手頃かつ十分な出荷ボリュームはまだ期待できず


2017年第2四半期 世界ARヘッドセット出荷台数 カンパニー別シェア

対するARヘッドセットは現在のところ少ない出荷台数で推移しており、前年同期比でも減少しています。今のところ、ARヘッドセットでは、小さくても収益性の高い成功例がビジネスユースに集中しており、この傾向は続くものとみられます。

AR/VR及び各種デバイスのプログラムバイスプレジデントであるトム・マイネリは「目下AppleとGoogleは共にそれぞれのプラットフォーム― iOSはARKit、AndroidではARCore ―上で開発者がARアプリを開発するのを手助けすることに注力している。そして我々は今年暮れから来年初頭にかけて、新しいARアプリが怒濤の如く現れることを期待している。これらのアプリの登場は最終的に消費者向けのARメガネの登場につながるはずだが、手ごろな価格帯かつ十分な出荷ボリュームで起こることは当分の間期待できない」と述べています。

国内出荷台数は合計6.3万台 PSVRが大半を占める


2017年第2四半期 国内AR/VRヘッドセット出荷台数 カンパニー別シェア

同データでは日本国内のAR/VRヘッドセット出荷台数についても公表しており、2017年第2四半期データによると、国内AR/VRヘッドセット出荷台数は合計で6.3万台となり、うちPlayStation VRが5.2万台でした。また、エンタープライズ用途でのGear VRの利用が目立つSamsungは約5千台となり、いずれも堅調な出荷が続いています。

IDC JapanのPC・端末電話&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストの菅原啓氏は「今後登場する新製品群も含めると、日本においてもAR/VRは一応の市場展望が開けてきたと言える」とする一方で「ただし、消費者レベルでのAR/VR体験者の数を増やすことには依然として課題が多く、ゲーム以外でのキラーコンテンツが多様なプラットフォームで展開されることが渇望される」と述べています。

今回の発表はIDCが発行する「Worldwide Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Tracker」にその詳細が報告されています。

また、VRヘッドマウントディスプレイの動向については、「2017年 国内VR機器市場動向: 機会損失に苦しむハイエンドモデル市場と 国内市場立ち上がりの遅れ」(JPJ42238717)にその詳細を日本語にて報告されています。

(参考)
2017年第2四半期 AR/VRヘッドセットの世界・国内市場規模を発表/IDC Japan株式会社プレスリリース
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20170927Apr.html


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