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【PSVR】『星の欠片の物語』作者が語るVRとノベルゲームの意外な共通点

かざみみかぜ氏を代表とする自転車創業は、個性的なノベルゲームを制作することで知られています。自転車創業のノベルゲームのオリジナリティは、ただ文章を読ませ要所の選択肢からシナリオを分岐させるという受け身の構造にはせず、プレイヤーが自発的に物語を探し出すゲームシステムを搭載していることにあります。

代表作である『あの素晴らしい をもう一度』はANOS(Advanced Novel Operation System)と呼ばれるシステムにより、記憶を無くした主人公と未来を記憶できないヒロインを巡るループを描くほか、ジャンルを問いただす実験的な作風の『ノベルゲームの枠組みを変えるノベルゲーム。』などプレイヤーを積極的にゲームプレイに参加させる構造を持っています。

2016年10月のデジゲー博で自転車創業はPlayStation VR(プレイステーションVR、PSVR)で新作『星の欠片の物語』を制作することを発表しました。筆者は、VRゲームの制作はまったく想像していませんでした。2017年のデジゲー博にてあらためてデモをプレイし、インタビュをしたところ、なんとこれまでのノベルゲームの制作スタンスがVRであっても機能するという話が飛び出しました。

「別の平行世界を覗いている」違和感のない世界設定

デジゲー博の展示では『星の欠片の物語』の導入部と本編のトライアル版の2種類が体験できました。筆者は今回初めて試遊するためにまずは操作方法を確認するための導入部をプレイ。基本的なゲームプレイはコントローラーなどは持たず、首を振って視点を動かすこと一点のみ。目線をあわせる行動のみでインタラクションします。

今作はプレイヤーが作品世界の中に入り込み、その中を生きているという設定ではなく、VRゴーグルから別の平行世界をのぞいているという設定です。プレイヤーが目を合わせるのは1人取り残された様子のヒロインの少女。彼女と協力しながら、なぜ彼女がこの場所に取り残されているのか、という謎を解いていきます。

周りに置かれたオブジェクトでインタラクションが可能なものにはハイライトされ、それに対してヒロインが行動を取ります。たとえばキューブに目線を合わせると、ヒロインの足の高さくらいの大きさのものなら持ち上げてくれます。ヒロインと会話している周りを巨大な惑星が旋回しており、試しに目線を合わせるとなんとそこもハイライトされます。今回のデモではわからなかったものの、本編ではダイナミックな展開になりそうな期待を抱かせました。


目線を使ったポイント&クリックアドベンチャーのような印象も。

全てが初めてなはずなのに、それを感じさせない“迷いのなさ”

これまでのノベルゲームから考えて、今作の大胆な転換に関しては自転車創業としても本作は「3Dも初めてなら、 VRも初めて。コンシューマも初めてなら、開発会社さん(※)に開発してもらうのも初めて。すべてが初めて。」だと言います。それにもかかわらず、デモをプレイした限りだが初めてだとは考えにくいほどゲームデザインの“迷いのなさ”が印象深かったです。

(※「星の欠片の物語」の開発を担当したのはフォージビジョン株式会社。主な事業はコンピュータシステムの技術コンサルティングや開発。そこにVRシステム開発も含まれています。)

“迷いのなさ”はVRゲームの状況を俯瞰した意見とも関係しています。「VRであることを生かしたゲームって、そんなにないんですよ。VRゲームで多いのは、シューティング、ホラーなどなんですよね。ストーリーを見せるものは少しずつでているんですけど、実は謎解きアドベンチャーってそんなにないんですよね

公式サイトの説明を読んでもそうです。VRでゲームをデザインするならばいろいろなインタラクションをさせたいという欲が生まれやすいところを、シンプルにプレイヤーの操作を視点移動のみに絞った見切りのつけかたには思わず唸ってしまいました。この迷いなさについても伺ったところ「自分のやり方、考え方とかは実はあんまり変わってないんですよ。」と意外な答えが返ってきました。

「ノベルゲームを作るときは、ノベルゲームのシステムがあって、そのシステムをシステムと感じさせず、いかに物語設定として取り込むか?という作り方を今までしてきました。」とこれまでの制作スタンスを説明します。「その考え方をそのままVRにスライドして 、VRの制限はなにか?VRの特徴はなにか?VRの欠点はなにか?って考えて、その特徴を設定として生かし、欠点を欠点と感じさせない設定に落とし込んだ作り方にしたんです。」

ノベルゲームの開発経験が活きるVRゲーム開発

開発が初めてだというVRの性質についても、意外な答えが返ってきました。「VRを物語の構造として取り込むというやり方は、実はノベルゲームで作ってきた手法と変わってないんですよね。考え方をそのままスライドさせただけであって、場所は違えどやり方は変わっていないんです。逆に言うと、だからこそ、まったく経験のないところからここまで作ることができたんだと思います」これまでのノベルゲームを作ってきた経験を互換した本作のデザインの骨格が決まるのは早く、「仕様自体はこのゲームのデザインを考え始めて2週間くらいでできたものから離れていない」と言います。

自転車創業にとってのVRとノベルゲームの興味深い共通点も説明していただきました。「VRって、絶対1人称になる。(自転車創業は)一人称で視点をブレさせないノベルゲームをずっとやってきました。(ノベルゲームののゲームデザイン手法を)VRにスライドして、物理的なギミック自体はVR専用に作られているのですが、謎解きを考える構造自体はノベルゲームから引き継いでいます。

『星の欠片の物語』では、VRでできるゲームデザインの可能性、というよりも既存ジャンルで培ってきたゲームデザインの互換性がどこまで有効か、という点を筆者は気にしていました。その意味で今作の確信を持ったデザインと、インタビューでの迷いない発言は完成版に大きな期待を持たせるものでした。

『星の欠片の物語』は、PSVR向けに配信を予定しています。発売日は未定です。

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