Oculus Story Studioは、VRショートムービーの2作目となる『Henry』のプレミア映像を公開しました。
Oculus Riftの開発を進めるOculus VR社は、社内のスタジオOculus Story StudioでVRを使ったショートムービーを制作しています。既に『lost』というショートムービーを制作していますが、2作目となる『Henry』の制作を進めていることが明らかになっていました。『Henry』は主人公であるハリネズミのヘンリーが、友達を作る冒険に出る短編作品です。
今回、公開されたプレミア映像では、作品の紹介だけでなく、Oculus Story Studioで制作に関わったメンバーやOculus VR社の創業者パルマー・ラッキー氏などのコメントをつないだものとなっています。
『Henry』はキャラクター物の作品になります。主人公のヘンリーをVRでいかに表現するか、という課題にOculus Story Studioは挑んでいるようです。これまでの2次元の画面にキャラクターが画面の中に固定されていましたが、VRでは没入感という要素が加わり、キャラクターを生き生きと表現できるようになるとのこと。パルマー・ラッキー氏は「VRによって、キャラクターはこれまでよりもずっと魅力的な存在になる」と話しています。
クリエイティブ・ディレクターのSachka Unseld氏は、「VBによって映画の中で実際にキャラクターとともにいることができるようになります。ストーリーが進む中で、キャラクターがこちらを向いてアクションをとります。子供の時は画面の中のキャラクターが実際に生きているように感じましたが、VRではキャラクターがあまりにリアルで、自分があの頃に戻ったような気分になります」
ヘンリーが、体験者を意識したアクションをとることで体験者はまるでその中にキャラクターとともにいる感覚になる。
キャラクターと同じ空間にいるような感覚が生まれることで、体験するキャラクターの感情を共有する体験ができるようだ。
VR内のキャラクターの表現を追求している作品としてはProject Morpheus向けのデモ『サマーレッスン』が有名です。『サマーレッスン』では、体験者と人間のキャラクターの交流そのものをテーマとし、キャラクターをVRでいかに表現し、リアルに見せるか、そして体験者との関係を演出するか、が追求されています。一方、Oculusが制作した本作『Henry』では、キャラクターを生き生きと表現する点は共通していますが、インタラクティブ性は付随的で、キャラクターが物語を進めていく(生きていく)中で、体験者がその物語をキャラクターとともにいかに感情も共有しながら体験するか、が追求されているようです。
アプローチは若干異なるものの、VRにおけるキャラクターの表現手法はまだ模索されている状況です。サマーレッスンの制作を通して得られた知見に関しては8月末に開催されるCEDECで講演が開かれます。また、Oculus Story Studioは作品制作を通して得られた知見を公式サイトで共有しています。
『Hnery』がどのような体験に仕上がっているのか、そしてどのような知見が得られているのか、注目したいVR作品です。