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VRゲーム・アプリ 2024.12.09

着実に拡大 「ガンダム」のXR・メタバース活用 プラモの3D化、VRムービー発表、その次は?

子どもから大人まで幅広い世代に親しまれている大型IP「機動戦士ガンダム」シリーズ。2024年は映画作品の大ヒットにも恵まれましたが、その裏で、XRやメタバースでも着実な進歩を果たしており、存在感を増しています。

メタバースでの大きな動き

メタバース領域でガンダムシリーズの大きな動きが始まったのは、2023年の秋頃からです。以前より発表していたメタバース空間ガンダムメタバースプロジェクトの第1回の開催と、YouTubeアニメガンダムビルドメタバースの配信が始まりました。カンファレンスの段階から大きなプロジェクトとして動いており、アニメと連動するなど、版権元のバンダイナムコとしても期待していたことが伺えます。

特に第1回はPCにダウンロードして動かす形式となっており、PCのマシンパワーを活かした、非常に見応えのあるワールドに仕上がっていました。このときに販売された限定ガンプラの立像も展示しており、ファンにとってガンダムの遊園地のような楽しさがありました。

第2回以降は、より多くのユーザーに参加してもらうためか、PCブラウザでの参加形式に変更。最新回となる2024年11月〜12月の第3回では、初音ミクとのバーチャルコラボライブが大きな目玉となっていました。

ガンダムの名曲を歌う初音ミク、上空を飛ぶガンダム、初音ミクのダンスとともに踊るザクと、ライブはインパクト抜群の内容。これまでのガンダムメタバースはユーザー同士の交流面が希薄に感じていましたが、初音ミクのライブはユーザー同士の一体感があり、良いコンテンツに仕上がったと思います。

一方筆者の環境では、初回に比べるとロビーの重さを感じるなど、気になる部分がありました。また、毎回短い期間限定の開催となるため、広く参加してもらうには、まだまだ課題があるように見えました。一過性のメタバースブームに留まらない、普及したメタバースコンテンツになれるか期待したいところです。

ちなみに「フォートナイト」のクリエィティブモードでも、Netflixドラマ「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」の公式ワールドがリリースされました。オリジナルのメタバースに限らず、今後さまざまなプラットフォームに「ガンダム」コンテンツが登場する可能性もあり、見逃せないところです。

スキャンされたガンプラが戦う未来

ガンダムメタバースと同時進行で進化しているのが「ガンプラスキャン」です。これまでは大型の3Dスキャナーでスキャンして3D化していましたが、スマートフォンでスキャンできるようになるなど、より簡略化を実現。スキャンしたガンプラは、映像への合成やゲームで使えるようになります(※執筆時点では期間限定のβ版テスト状態)。

ガンプラ同士のバトルといえば、アニメ作品「ガンダムビルドシリーズ」を思い出す方もいるでしょう。スキャンの精度はまだまだ課題のある部分もありますが、第3回のガンダムメタバースでは、スキャンしたガンプラのモデルを利用した3対3のミニゲームが遊べるようになっており、着実にアニメの世界に近づいています。

Metaが大きく打ち出した“VRのガンダム”

ガンダムはこれまでもVR作品に挑戦してきましたが、そのほとんどが期間限定イベントや施設限定のものでした。しかし、VR/MRヘッドセット「Meta Quest」シリーズに電撃参戦することをMetaが発表。公開された機動戦士ガンダム 銀灰の幻影は、完全オリジナルシナリオVR映像作品となっており、本格的な本格VR参戦を見据えた内容でした。

本作は、一部のストーリー設定でファンから不評を買ってしまった部分はあるものの、Meta Quest第一作としては十分見どころのあるコンテンツとなっていました。また、サブコンテンツとして用意されたMRゲームはボリュームがあり、今作に非常に手をかけていることが分かります。

発売後にはMeta社が本作を猛プッシュしており、TVCMや東京ドームシティでの展示イベントで人の目に触れる機会が非常に多い印象です。最新モデルとなるMeta Quest 3/3Sの勢いもあり、VRの定番タイトルとして浸透するかもしれません。

ガンダムとXRの未来はどうなるのか?

メタバース、スキャン、VR、MR、バーチャルライブと、短期間の間で最先端のジャンルに一通り触れたガンダムシリーズ。ただし、期間限定のメタバースや、単体作品のVR映像など、それぞれの規模はあまり大きくなく、手探り段階であるように感じます。しかし、「ガンダム」という作品群と、XR技術はそもそも親和性が高いため、いずれは、これまで打ち出していた様々な企画が統合・混合され、大きなコンテンツに成長する可能性を秘めています。

今後、ガンプラの3Dスキャンが一般化すれば、オンラインでのガンプラバトルがいつでも楽しめるだけでなく、様々なコンテンツに自作のプラモデルを持ち込めるようになるかもしれません。また、MRデバイスやARグラスの普及に伴い、現実の風景に多数のモビルスーツが出現するといった映像表現にも期待できます。

これまでテレビアニメを中心に成長していったガンダムコンテンツですが、最新の技術を積極的に取り込むことで、未知の領域を開拓する一歩を踏み出そうとしています。ファンの著者としても、新しいガンダムの可能性を楽しみにしています。

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(参考)プレスリリース


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