Googleは2026年4月22日、Google Maps Platformを通じて地理空間AIデータセット「Population Dynamics Insights(PDI)」のプレビュー提供を開始しました。Google Researchが開発した「Population Dynamics Foundation Model(PDFM)」を基盤とする同データセットは、現在17カ国向けに展開されています。
PDIは、Google検索のトレンドやGoogle Mapsの混雑時間帯、周辺施設情報、大気質・天候といった環境条件など、数百万件の集計シグナルを330次元の埋め込みベクトルに凝縮したデータセットです。データはS2セルレベル12の粒度(※約3〜6km²の格子単位)でインデックス化されており、ローカルな地域特性をとらえながらグローバル規模の分析にも対応します。毎月更新され、BigQueryへ直接配信されるため、手動での特徴量エンジニアリングは不要です。
主な活用用途として、Googleは複数のユースケースを挙げています。出店場所の選定では、自社の成功拠点と環境・行動特性が類似した地域を特定する「類似地域モデリング」が活用できます。データが少ない新規市場への展開時には、データが豊富な市場で学習したモデルをそのまま適用する「コールドスタート地理分析」が有効です。未サンプル地域のデータ補完、低解像度データから高解像度インサイトを生成する「超解像」、需要予測といった用途にも対応します。
実績面では、オーストラリアの医療機関がPDIを用いて遠隔地のワクチン接種率の空白地帯を特定し、医療資源の優先配分に活用しています。マウント・サイナイ病院とボストン小児病院・ハーバード大学の研究者は、郡レベルのワクチンデータを近隣エリア単位に高解像度化し、従来手法では見えなかった、はしかの流行との重複地点を発見しました。
性能面では、米国内29の指標で既存の人口統計アプローチや衛星データモデルを上回る精度を達成。17カ国でも同等の予測精度が確認されています。不動産企業Public Storageも、同データセットを自社の需要予測モデルに組み込んでいると発表しています。

