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テック 2016.05.25

Google Daydream Labsが60以上のVRアプリ制作から学んだこと

Google Daydream Labs

先週行われた開発者会議Google I/Oで行われたセッションにて、Google Daydream labsが60のアプリ制作から学んだ知見を共有するセッションが行われました。本記事はそれをまとめたものになります。セッション内容は下の動画から全て閲覧できます。

Googleでは「VRで、何ができるのか」を考え、行ったのが、ラピッドプロトタイピングによる研究。エンジニアとデザイナーが2人1組となって、制作とテストを早急に繰り替えしました。1週間で平均2つのアプリを開発し、それを30週間行いました。合計で60のアプリを開発。ここから得られた知見をインタラクション、没入感、ソーシャルという3つの観点からまとめて共有されました。

Google Daydream Labs

インタラクション

まず紹介されたのは、コントローラーを使ったインタラクション。手に持つコントローラーは、言わばVR空間と現実空間の架け橋。VR内のコントローラーは、ハンマーやテニスラケット、釣竿にもなります。

Google Daydream Labs

どんなツールにもおもちゃにもなるコントローラー。VR空間内のモノを操作する事で、私達はヴァーチャルな世界を現実のように自然に感じる事ができます。VRでのモノへの操作は現実世界のモノの扱い方と大差がないため、直感的。コントローラーの使い方が分からないという事態にはなりません。

HTC Vive用のSteam VRコントローラーを使ったデモがこちら。家具を持ち上げて、様々な場所に置いたりスケールを変更して小さくしたり大きくしたりという操作が自在にできます。こういった動作を直感的に行うのは、マウスでは難しいですね。

Google Daydream Labs

Google Daydream Labs

左右に持ったコントロ―ラーを使用して直感的にモノの大きさを操作をしている様子

続いてインタラクションを行った際のレスポンスの重要性です。こちらは、ドラムキーと呼ばれるキーボード。キーボードの文字を木琴の鍵盤のように叩くと、ビジュアルやサウンド、ハプティクス等で反応が返ってきます。こういったレスポンスが返ってくると、ますます使うのが楽しく、感覚的になりそうです。

Google Daydream Labs

没入感

次は没入感について。紹介されたデモは、シンプルな床と空。そして、カラフルな箱があるだけの空間。この箱を押したり引いたりする事で、VR世界の中のモノが反応するのが楽しく感じられます。ユーザーは、VR空間中のモノを操作する事を楽しみます。

Google Daydream Labs

こういったインタラクティブな世界を体験した後、ユーザーが次に求めるのはVR空間を歩き回ること。「テレポーテーション」と呼ばれる、コントローラーを使ったワープの移動方法が紹介され、実際の空間より広いVR空間を、没入感を損なわずに自由に動き回れることが紹介されました。既にワープは様々なVRコンテンツに使用されています。

Google Daydream Labs

さらに本講演では60個のコンテンツから没入感を深める例として、様々なデモの数々が紹介されています。この記事では全てを紹介しきれませんが、抜粋してまとめています。こちらは、3Dでグラフを見る事ができるもの。2Dの画面で見るよりもよりダイナミックに、直感的にデータを比較できます。

Google Daydream Labs

「ドールハウス」と呼ばれるデモでは、自分でレゴブロックを積み上げるようにして家をつくる事ができます。また、その中に小さくなって入り込む体験ができます。こういった、現実をVRで“再現する”のではなく、“不可能な事を可能にする独自のツール”としてVRが使われました。

Google Daydream Labs

Google Daydream Labs中を覗くことができます。

ソーシャルVR

ソーシャルVRとは、誰か他の人と同じVRの世界に入ること。VR内では、私達を表すアバターが重要な要素になるとGoogleが考えています。Googleは、「Google Eyes」と呼ばれるアバターを作ってみたとのこと。頭を動かすと連動して目も動き、瞬く動作もします。こういったフェイスtoフェイスのコミュニケーションにより、明確に人と話している感覚を作り出すことができるとのこと。

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私達がVR空間内にいるときには、頭と手しか表示されません。実際にフルボディをVR空間内にいれた例がこちら。人は人間の一部を見た時にも、見えていない部分を予測しています。フルボディでは腕や胴にどうしても違和感が出てしまうため、デフォルメしてしまったシンプルなアバターの方が表現力が増大します。

Google Daydream Labs

GoogleはソーシャルVRに関しての実験を何度も行いました。同じ部屋にいても、何も喋ることがないこともしばしば。そこで、ユーザーに共通の目標をつくる事で、ソーシャルなコミュニケーションが生まれます。

何も無い状態。会話も弾みません。
Google Daydream Labs

目の前にあるものをいじるという共通の目標が出来た事により、VR空間内でコミュニケーションが生まれました。

Google Daydream Labs

本講演では、フェアプレーを促すための仕組みも紹介されました。2匹の犬がポーカーをプレイしていますが、手前の犬がゲームに負け、鬱憤を晴らすために席を立って相手のチップを奪いにいきます。

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しかし、席を立つと画面がグレーに…!この状態になると自分はその空間から消えてしまうため、悪い行動が出来ません。こういった衝突を避けるためのシステムデザインも今後様々な物が出てきそうですね。

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こちらは、PCやスマホの画面からも同時に参加できるVR体験。ヴァーチャル空間内のカメラを移動させる事によって、話し手は自分の見せたい所を聴衆に紹介できます

Google Daydream Labs話し手が自撮り棒を持ってカメラを移動させている様子

これらの体験がまとまると…

以下に紹介するのは、ここまで紹介してきた要素に関連する様々なデモを集結させた60個のアプリから紹介されたもの。今迄に培った様々な要素の組み合わせで、可能性が広がっているのが分かります。動画の25:42あたりから続々と紹介されるので、見てみてはいかがでしょうか?

友達と一緒にドラムを叩く体験
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教育
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ショッピング
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アニメーションをつけて遊ぶデモ等
Google Daydream Labs

技術的に参考になる観点が多いだけでなく、既にGoogleが様々な用途に向けたVRを想定していることがわかります。

(参考)
・Daydream Labs: Lessons Learned from VR Prototyping – Google I/O 2016
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1689&v=lGUmTQgbiAY


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