富士通株式会社と帝京大学(帝京大)は、XRと生成AIを組み合わせたヘルスケアプラットフォームの共同研究を開始しました。
本研究では、健康診断を受けた人の体内をバーチャル空間上に再現。保健師との面談時にXRを活用して自身の健康状態を視覚的に理解できるようにすることで、生活習慣の改善を促進します。さらに、生成AI搭載のアバターが健康アドバイザーとして継続的なサポートを行います。
今回の共同研究では、健康診断で生活改善が必要と診断された人を対象に、XRを活用します。具体的には、内臓や骨格などの身体データをバーチャル空間上に立体的に再現し、保健師との面談時に活用。従来の数値データだけでは実感しにくい自身の健康状態を、空間上に投影された3Dモデルを通じて直感的に理解できるようにします。
また、特徴的なのが生成AIを搭載したバーチャルヘルスケアアドバイザーというアバターです。このAIアバターは、生活習慣病の予防に関する専門知識を学習しており、ユーザーからの健康に関する質問に応答したり、具体的な生活改善のアドバイスを提供したりします。面談後も継続的なフォローアップを行うことで、ユーザーの自発的な健康管理を支援する仕組みとなっています。
富士通と帝京大によると、若年層における生活習慣病の増加という社会課題が本研究実施の背景にあるとのこと。従来の健康指導では、数値データに基づく説明が中心でしたが、「時間的な余裕がない」「自覚症状がない」といった理由で、実際の行動変容につながりにくいという課題がありました。
この課題に対して本研究では、XRによる可視化とAIによる継続的サポートという新しいアプローチで取り組みます。富士通と帝大は2022年10月から、XRとAIを活用した医師と患者のコミュニケーション改善に関する研究を行ってきました。今回の共同研究は、そこで培った技術やノウハウを生活習慣病予防の分野に展開するものです。
研究期間は2025年1月末までで、まず保健師や受診者へのインタビューを通じて行動変容の阻害要因を特定し、それを踏まえたプロトタイプを開発。その後、実際の健康診断の受診者を対象に効果検証を行う予定です。富士通はUX/UIの設計やプロトタイプ開発を担当し、帝京大は医学的専門知識の提供や生体臓器データの提供を行います。
(参考)プレスリリース