火災は一度起きると取り返しの使いないことですが、現場を検証してその被害額を算出しなければいけません。現場検証にVRを使い「現地に行かずに検証を行う」ソリューションが米国で登場しました。
米国で科学調査を行うDonanは、3Dスキャン技術を有するスタートアップMatterportと提携し、火災現場の検証をVRヘッドセットなどのデバイスで行えるようにするツールを導入することを発表しました。
フォトグラメトリーで遠隔でも現場を「体験」
Matterportは、現実空間を3Dスキャンするフォトグラメトリー技術を展開しています。
フォトグラメトリーは、写体を複数のアングルから撮影した静止画から高精細な3Dオブジェクトを作成する技術です。解像度と没入感が非常に高いコンテンツを制作することができます。フォトグラメトリーで構築された現実のコピーはCGデータです。360度動画と異なり、自由に移動したり、インタラクティブなことも(設定すれば)可能になります。
全米を移動して現場に向かうDonanの調査員は、Matterportのカメラを持ち空間をスキャン。クライアントは火災現場の様子をインタラクティブな3Dコンテンツとして見ることができます。端末はVRヘッドセットに加えてデスクトップアプリやモバイルアプリでも可能とのこと。
スキャンされたシーンは、被害額を算出するためのプロセスで必要となる文書作成で使えるようになっています。再現されたシーンの中で写真(スクリーンショット)を撮ることで、その写真を元に、保険会社は火災によって生じた損失を見積もるレポートを書くことができ、工程が簡単になるとのこと。フォトグラメトリーの精度が高く、高画質であることに自信を持っていることが伺えます。
放火など違法行為の疑いがある場合、スキャンされたシーンは裁判の場で陪審員が現場の要することにも使える、としています。
Donanの公式サイトでは、3Dスキャンされた火災現場のサンプルをブラウザで見ることができます。
(参考)Road to VR