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メタバース 2022.12.12

Decentralandの一大音楽フェスで見た「ブロックチェーンメタバース」の熱量と刺激

11月10日から11月14日にかけて、メタバースプラットフォーム「Decentraland(ディセントラランド)」にて音楽フェスティバルMetaverse Music Festival(以下「MVMF」)が開催されました。björkやDillon Francisなど海外の有名なアーティストから、江戸レナさんやMISOSHITAさんといった国内のバーチャル界隈で活動するアーティストら、約150名が出演しました。

Decentralandは、ブロックチェーンをベースにしたメタバース。アバターの衣装やクリエイターの展示作品などを、NFTを通じて売買可能なプラットフォームです。

光り輝くステージで、アーティストとユーザーがひとつになる

入場して最初にたどり着くのはメインステージ。「MVMF」と書かれた看板のそばには、両目が緑に発光しているアンドロイドのような顔が、会場の守護神のように立っています。こちらのステージには、björkなどのアーティストが多数出演していました。


(メインステージの様子)

メインステージに加え、様々なコンセプトのステージが合計15ステージあり、それぞれで異なった世界観のライブを楽しむことができました。


(MetaTokyoステージ)

MetaTokyoステージは、本イベントで唯一の日本ステージ。ここでは、NFT界隈で非常に人気があり、「TGSVR2022」にも出展した「metaani」のアバターが踊っていました。

(きゃりーぱみゅぱみゅ「DODONPA」PV。metaaniのダンスはこのような感じでした)

流れている音楽は、きゃりーぱみゅぱみゅ「DODONPA」。濃厚なクラブサウンドを奏でながらアバターが躍る本会場は、非常にインパクトが強かったように思えます。

MetaTokyoステージには、metaaniライブステージの他にもステージが用意されており、MISOSHITAさんと江戸レナさんが出演していました。

こちらはLIME WIREステージ。緑を基調とした非常に開放的なライブ会場となっています。スポットライト、床に設置されたツタのオブジェクト、ダンススペースなど、あらゆる場所にライトを効かせており、暗い夜空を輝かせる星のような輝きを放っていました。

こちらはOZZ FEST会場。ゾンビやドラキュラが出てきそうな不穏な城がベースとなっています。ステージの中心には魔法陣が敷かれており、注目させるように紫のスポットライトが輝いています。


V3ESE MODAステージでは一部のアーティストがステージに登場。ユーザーが手を振ると、アーティストが手を振り返す。アーティストがお金を巻き上げる動作をすると、ユーザーが踊りだすなど、お互いにコミュニケーションを取り合っていました。世界的に有名なアーティストとメタバース空間で一体感を得られるのは、滅多に体験できないことだと思います。

また、江戸レナさんはTwitterスペースとYouTubeライブを開きながら、Decentraland現地に突入。集まったユーザーと一緒に自身のライブ映像を見ながら、集合写真を撮影していました。多種多様なステージで、アーティストとユーザーが手を取り合える距離感でコミュニケーションが広げられていたのが、MVMFの大きな特徴だと感じました。

ユーザーコミュニケーションだけでない、NPCを活用したゲーム要素も

MVMFには音楽フェスだけでなく、ゲーム的な要素が盛り込まれており、なかなか面白いところです。会場内にはNPCが立っており、ミッションをクリアすれば、アイテムがもらえたり特別な場所に入ったりできます。


たとえば、うさ耳ヘッドホンを被ったキャラクターの後を追いかけると、会場限定のファッショナブルなシューズを獲得できました。アイテムはメニューから簡単に装着することができます。

獲得したアイテムは、「Metamask」や「Coinbase_wallet」など、ウォレットアカウントと呼ばれるものにNFTアイテムとして保存・記録されます。ウォレットアカウントでは、Decentraland以外で購入したNFTアイテムも保存・記録されていくので、プラットフォームを超えて”自分のアカウント”に思い出が残っているように感じられます。見返していると、時間が経つほどに当時の熱量が思い浮かんでくるようです。


(筆者のウォレットアカウントに保存・記録されているMVMFで獲得したNFTアイテムたち)

メインステージの裏側にはBACK STAGEが用意されています。BACK STAGEの入口にはサイバーチックなゴリラが2体。話を聞くと、どうやらお腹を空かしている様子。とはいえ警備のためここから移動できないとのこと。そこでユーザーにバナナを取ってきて欲しいと依頼されます。

この依頼を達成することで中に入場できるようになります。入った先にはVIPルームが用意されており、屋内のクラブハウスに入室できます。野外ステージと比べるとクラブハウスはアバターが密集するので、熱量がとんでもなく感じられたのが印象的です。

MVMFを多種多様なファッションで楽しむユーザーたち

Decentralandの特徴として、アバターでオシャレなファッションを楽しめる点が挙げられます。

Decentralandは、クリプト界隈では非常にファッショナブルなメタバースと呼ばれています。各アイテムは、人間の体に合うファッションをベースにした上で、ライティングや翼など、現実では着ることが難しいアイテムを装着する人が多いのが特徴です。スキンに特化したファッションブランドも存在し、アバターで同じブランドの服を着ることで満足感・一体感を得る人も多い印象です。

とりわけMVMFではお祭りを楽しむために、参加者は派手なライトを帯びたアクセサリーや洋服を身に着け、楽しむ様子が多く見られました。見た目に統一感は一切ないのですが、それがかえって「個性を表現した人たちの集まり」という統一感を生み出していました。そして、その姿で一緒に音楽を楽しんでいることで、一体感も感じられました。

【Decentralandのファッションアイテムについて】

主に下記の場所で購入できます。

・メタバース空間内に販売、Giveaway(プレゼント)されているアイテム

・Decentraland公式マーケットプレイス

価格帯は1アイテムあたり2MANA(102円)〜10MANA(511円)が中心。装着可能な箇所は、Head(頭)、Upperbody(上半身)、Lowerbody(下半身)、Feet(脚部)の4か所+α(イヤリングや帽子など)。

1アイテムあたり100MANAや10,000MANAなど高価格帯もありますが、10,000円程の予算で一通りのスキンを購入できます。

※1MANA=51.11円(2022年12月13日時点)

MVMFで発見したユーザーコミュニケーション

MVMFの参加者の多くは海外ユーザーで、日本ユーザーは少なめでした。公式サイトは全て英語表記で、タイムスケジュールもUTC表記のみ。全16ステージのうち、日本アーティストが出演するステージは、MetaTokyoのみという点から、日本人にはハードルが高いことが頷けると思います。Decentraland自体も、ハードルの高さは否めません。

ですが、MVMFでは音楽を通して、アーティストとユーザーが一体となって盛り上がり、より近い距離でコミュニケーションを取れる「音楽のメタバース」として存在していたのではないかと思います。こうしたお祭り感は、ソーシャルVRで開催されているイベントと本質は同じではないでしょうか。

Decentralandにはユーザーが多くいます。そして、現地で活動しているクリエイターやイベンターが「どのようにすれば人がもっと集まるのか」を日頃から考え活動し、その集大成の一つとして「MVMF」がDecentralandで一番盛り上がるイベントのひとつとして成長したと考えられます。

「私たちもメタバースを盛り上げるにはどうすれば良いか」という問いに対して、Decentralandユーザーが示した答えの一つであるMVMFを、筆者自身も今後も応援したいと感じました。彼らの勢いに負けないように頑張りたいと思える、素晴らしい熱量と刺激がそこにあったと思います。

来年のMVMFも非常に楽しみです。ぜひ皆さんも次回のMVMFに参加して、Decentralandにしかない熱量を感じてみてはいかがでしょうか?

「Metaverse Music Festival」公式サイトはこちら。
https://themetaversefestival.io/


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