8月8日、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社は、2025年3月期の第1四半期決算を発表しました。大型ライブ不開催が影響し、ライブ・イベント分野の売上が減少。マーチャンダイジング分野の業績好調が大幅に寄与したものの、前年同期比で売上高のみ増加、営業利益および純利益は減少となりました。
今回発表されたのは、2024年4月1日から6月30日の業績をまとめた2025年3月期の第1四半期決算です。決算資料によると、第1四半期の売上高は64億1,600万円(前年同期比+24.8%)、営業利益は8億3,400万円(同-6.8%)、当期純利益は6億2,000万円(同-0.2%)でした。各指標進捗率は30〜40%に留まっています。
VTuberチャンネル登録数は伸びているが、年間収益は横ばい
同社は決算にあわせて独自の「IP指標」も開示しています。「YouTube総チャンネル登録数」は9,225万人(前期比+390万人)、言語地域別にみると日本5,612万人、英語圏2,179万人、インドネシア994万人でした。
「在籍VTuber数」は89名(前期比+4名)で、このうち41名がチャンネル登録数100万人以上のVTuberです。「在籍VTuberあたり年間収益」は3億5,300万円(前期比-200万円)でした。「在籍VTuberあたり四半期収益」は7,200万円(前年同期比+5.1%)となり、「新規VTuber4名がデビューした一方で、 MD収益が大きく拡大していること」を増加要因としています。
大型ライブ不開催の穴を配信・MD部門が補う
事業部門別に見ていくと、配信・コンテンツ分野の売上高は20億3,400万円(前年同期比+23.2%)でした。英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」の新ユニット『hololive English -Justice-』のデビューに加え、音楽を通じた認知獲得によるファン層の拡大が業績に貢献した模様です。
マーチャンダイジング分野は「国内外の販路拡充が順調に進んだこと」「シリーズ商品の展開が顧客単価を押し上げたこと」により、売上高は29億3,100万円(前年同期比+40.1%)となりました。
一方で、ライブ・イベント分野は売上高3,400万円で、前年同期比6.3%の減少。カバーは「夏季イベントの準備等を背景として、当第1四半期累計期間における大型のライブコンサート実施が無かった」と言及し、大型ライブ不開催が業績不振の要因と分析しています。
引き続き、海外展開に注力か
カバーは、英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」の各ユニットによるファン層の拡大傾向を重視し、「今後も英語圏地域における再現性の高いヒットIPの立ち上げに注力する」としています。また、現地企業との協働による「ホロライブ」ブランドの浸透、米国イベント「Anime Expo」をはじめとする複数の言語地域の大型コンベンション参加、海外ライブコンサートの拡充など、海外への事業展開計画を掲げています。
同じくVTuber事業を主力とし、VTuberグループ「にじさんじ」運営のANYCOLOR株式会社は6月12日に2024年度通期決算を発表していますが、2025年度第1四半期決算を本記事執筆時点では公開していません。