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作業補助・ナビゲーション 2018.03.07

中国の法廷でVR導入、殺人事件を再現し証言に活用

2018年3月1日、中国の裁判所に初となるVRが導入され、事件現場がVR内で再現されました。目撃者であるDong氏は事件当日の状況をVRで追体験、証言を行っています。

裁判官や陪審員・証人といった人々が、事件現場での状況を把握するためにVR技術を活用することで、今まで法律の専門家たちが求めていたものを提供できる可能性が高まってきました。

VRで事件現場を再現

2018年3月1日、北京のとある裁判所は、刑事事件の裁判において、中国で初めてVRを導入しました。法廷ではVRヘッドセット「HTC Vive」が設置され、唯一の目撃者がVRを通して当時の事件現場を再体験します。

殺人罪で起訴された被告人Zhang氏は、ガールフレンドとされるLiu氏のいる北京海淀区のオフィスビルを訪問しました。被告人Zhang氏とLiue氏は口論になり、被告人は口論の間にナイフで3回自分自身を切りつけたあと、Liu氏を刺殺しました。

現場を目撃したLiu氏の同僚であるDong氏はViveコントローラーを使い、事件現場のシミュレーションを行いながら、「その時、私はLiu氏の後ろに立っていました。Zhang氏はLiu氏に何か尋ねていました。そしてZhang氏は自分に向かっても3度ナイフの刃を立てたのです」と証言しました。

世界で進む裁判でのVR導入

中国の地方裁判所によって開発された「証拠の可視化システム」の一部として、今回VRが導入された裁判が行われました。このケースではVRを使って、現場で証人が立っていた正確な場所を示すことや、その場所から犯行をどのように目撃したかを法廷で説明することができます。

可視化システムにはVR以外にも、今まで使用されていたパワーポイントのスライドショーに代わる、新しいコンピュータープログラムも含まれています。このプログラムは、より高品質で効率的な証拠提示を可能にするとのことで、今後北京市にある法廷で実施される予定です。

法廷でのVRの導入は慎重なペースで行われていますが、ヨーロッパではミュンヘンのアウシュビッツでの裁判で、VRで再現されたアウシュビッツ強制収容所が訴追を支援した例が存在しています。また、スイスのチューリヒ大学の法医学研究所では、犯罪現場をVRで再現し、裁判官などが歩き回って事件現場を確認できるツールの開発が行われるなど、刑事司法分野におけるVRの活用は着実に進められています。

(参考)VRScoutBBCLegal Daily

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