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ガジェット 2025.09.29

Apple Vision Pro時代の映像制作はこう変わる! 世界初の業務用イマーシブ・カメラ「URSA Cine Immersive」の可能性に迫る

最先端のビデオ編集製品を開発し、長年に渡ってポストプロダクション業界で支持を集めている、Blackmagic Design社。「DaVinci Resolve(動画編集ソフト)を開発・提供している会社」と言えば、ピンと来る人も多いのではないでしょうか。

そんなBlackmagic Designが2024年に発表したのが、「Blackmagic URSA Cine Immersive」です。

これは、空間コンピュータApple Vision Proで視聴できる「Apple Immersive Video」の撮影に特化した、世界初の業務用イマーシブ・カメラ。180度の没入型3Dビデオを8Kの高解像度で撮影することができ、2Dビデオはもちろん、従来の360度動画をも超える圧倒的な没入体験を実現します。

「世界初の業務用イマーシブ・カメラ」を謳うURSA Cine Immersiveは、いったい何が新しいのか。このカメラによって、どのようなコンテンツを制作できるのか。また、撮影した空間ビデオはどのように編集するのか。

Blackmagic Design社が開催する無料相談会に参加し、直接お話を伺いました。

そもそも没入型映像「Apple Immersive Video」とは?

平面ではなく3次元空間を映像として記録し再生する「空間ビデオ」が、Vision Proの登場以降たびたび話題になっています。

「空間ビデオ」それ自体は、iPhoneをはじめとする対応スマートフォンさえあれば誰でも簡単に撮影可能で、平面の映像よりも奥行きのある「空間」を切り取り、日常の出来事や思い出を残すことができます。

そして、Vision Proで楽しめるコンテンツの1つに「Apple Immersive Video」があります。主にVision ProのApple TVなどで配信されており、「奥行きのある3D映像」という点では空間ビデオと同じですが、iPhoneで撮影されたものよりも高解像度で記録されていて、没入度の高い映像体験ができるのが特徴。空間オーディオにも対応しています。

※現状「Apple Immersive Video」は180度の視野角を持つ立体視可能なVR動画で、Apple Vision Pro向けのフォーマットになっているのが特徴です。対して「空間ビデオ」は、視野角最大90度で、iPhone等でも気軽に撮影できる映像メディアの一種とされています。

「Blackmagic URSA Cine Immersive」とは

このApple Immersive Videoの撮影に特化したカメラが、「Blackmagic URSA Cine Immersive」です。

先ほど「空間ビデオはiPhoneでも撮影できる」と説明しましたが、超高解像度のApple Immersive Videoは、さすがにスマートフォンでは撮影できません。現状、180度の8K3D撮影フォーマットに対応したApple Immersive Videoを撮影できるのは、このカメラだけです。


他社の対応製品で映像を擬似的にマッピングして制作する方法もありますが、現場への導入はまだハードルが高いとのこと。それに対し、URSA Cine Immersiveなら、カメラ1台で撮影から編集までをシームレスに行えます。その手軽さこそが、この製品の強みです。

URSA Cine Immersiveで撮影したアイドルのMVを体験

相談会では、実際にURSA Cine Immersiveを使って撮影したアイドルグループのミュージックビデオをApple Vision Proで体験しました。

https://www.youtube.com/watch?v=WaRREiJEVQk

まず驚かされたのが、その映像のきめ細やかさ。

正直「8Kの高解像度映像」と聞くだけではピンときていなかったのですが、「リアリティの高さ」という点では、過去に体験した映像コンテンツの中でも間違いなくトップレベルです。Vision Pro越しに見ていたオフィスが瞬く間にライブハウスへと切り替わり、本当にその場にいるかのような錯覚に陥りました。

筆者は普段からVRChatで過ごしているほか、アミューズメント施設のVRアトラクションも体験するなど、「没入感の強いVRコンテンツ」にはすっかり慣れているつもりだったのですが、そのさらに上をいくほどの没入体験。3DCGで作られた空間ではない、現実世界を切り取り記録した3D映像としては、過去最高レベルで「リアル」な体験だったと断言できます。

また、肌や服の質感までわかる解像度の高さもさることながら、360度映像との大きな違いとしては「奥行き」の有無が挙げられます。たしかに、360度映像でも周囲に空間が広がっているような感覚はあるのですが、テクスチャを貼り付けた「平面」らしさが少なからず漂っていることは否めません。

一方、Apple Immersive Videoの映像体験には、その「平面を見ている」ような感覚がほとんどありません。人間や動物が視界の奥から手前に近づいてくると、本当に「近くに来ている」ように感じられます。今回体験したMVの場合、アイドルの方が手を伸ばせば届くような距離に来てパフォーマンスをしていたので、あまりの近さに思わず身を引いてしまうほどでした。

シンプルなワークフローを実現する一体型デザイン

(Blackmagic URSA Cine Immersive | Blackmagic Designより)

URSA Cine Immersiveの最大の特徴は、クオリティはプロフェッショナル向けでありながら、ワークフローが非常にシンプルである点にあります。

奥行きのある高品質な3D映像を撮影する場合、これまでは複数台のカメラが必要でした。撮影の安定性を高めるための補助機材なども自分で組まなくてはならず、合成や編集も行わなくてはなりません。

その点、レンズ一体型の二眼カメラであるURSA Cine Immersiveならば、現場ですぐに撮影を始められます。撮影した映像は1つのファイルとして保存されるため、Macのパソコンに転送してその場でプレビューすることも可能。後述するDaVinci Resolveでの編集も簡単です。

プロフェッショナルの要求に応える高いスペック

スペック面では、URSA Cine Immersiveは以下のような特長を兼ね備えています。

  • 高解像度デュアルセンサー:片目あたり8,160 x 7,200ピクセル(5,987万画素)の解像度を誇る二眼レンズ。
  • 広大なダイナミックレンジ:明るいところから暗いところまで捉えられる。
  • ピクセル単位の同期:ピクセル単位でメタデータが同期されているため、後処理が非常に簡単。
  • 内蔵NDフィルター:屋外の明るい場所での撮影時にシャッタースピードを調整できるNDフィルターを内蔵。ロケ撮影にもスタジオ撮影にも対応可能。
  • 専用メディア:8TBまたは16TBの専用メディアを使用することで、コマ落ちなどの心配なく安定した撮影ができる。メディアリーダーも用意しており、大規模な撮影にも対応。
  • 外部コントロール:カメラのモニターだけでなく、専用アプリを使った外部からのコントロールも可能。

活用事例

URSA Cine Immersiveは、すでにプロの現場で幅広く活用されています。

非公表の事例も多いとの話でしたが、ウェディングや音楽ライブ、プロレスの試合で使われており、クレーンに乗せてダイナミックな映像を撮影した事例もあるとのこと。

また、フランスの大手有料放送CANAL+では、ロードレース世界選手権「MotoGP」のドキュメンタリーの撮影にURSA Cine Immersiveを使用。全編をこのカメラで撮影し、その後の編集もDaVinci Resolveによって行われたそうです。

DaVinci Resolveでの編集ワークフロー

URSA Cine Immersiveで撮影したデータは、Blackmagic Designのソフトウェア「DaVinci Resolve」を使って編集します。

何より驚いたのが、平面の映像とまったく同じように編集できる点です。筆者は普段、趣味の動画編集でDaVinci Resolveを使っているのですが、まさに見慣れた画面で、いつも通りの手順で3D映像が編集されていく光景には目を見張るものがありました。

その場で実際に編集の手順も説明していただいたので、以下に簡単にまとめます。

① プロジェクト設定

新規プロジェクトを作成し、設定画面で「Enable Apple Immersive Video Processing」にチェックを入れます。すると、解像度やフレームレートなどが自動で最適化されます。

② 素材の読み込みと編集

撮影した素材をドラッグ&ドロップで読み込むと、ソフトウェアが自動的に3Dのイマーシブビデオとして認識します。

編集作業は、通常の2Dビデオ編集とまったく同じ感覚で行えます。タイムライン上でクリップを並べ替えたり、カットしたり、クロスディゾルブのようなエフェクトを加えたりすることが可能。特別な技術や専門知識は必要ありません。

③ テキストやCGの追加

通常の動画編集と同様に、テキストを映像内に追加することも簡単です。

2Dビデオと違うのは、挿入するテキストの「奥行き」を調整できる点。空間内の任意の位置に文字を配置できます。また、CGファイルを読み込んで背景用のトラックに追加すれば、CG背景を合成することも可能です。

④ カラーコレクション

カラーページでの色調整も、2Dビデオとまったく同じです。

撮影した映像はRAWデータとして保存されるため、色温度やISO感度を自由に変更できます。撮影時に色温度の設定を間違えてしまった場合も、編集時に修正可能。部分的な色調整も行えます。

⑤ 書き出し

書き出しページにも、あらかじめApple Vision Pro用のプリセットが用意されています。

「レビュー用」を選択した場合、 「MV-HEVC」というデータ形式で映像が書き出されます。これをVision ProにAirDropすれば、完成した映像をすぐにプレビュー可能。また、Apple TVなどに納品するための高品質なフォーマットに書き出すこともできます。

より高度な編集

以上が基本の流れとなりますが、通常の動画編集にもある「Fusion」の画面に飛ぶと、右目用・左目用の映像を個別に編集できます。

また、Apple Immersive Video独自の編集項目として用意されているのが、空間オーディオの編集ページ。ただ単にBGMを追加するだけでなく、音源を3D空間内に自由に配置し、より没入感の高いコンテンツを制作することが可能です。

Apple Immersive Videoという、新しいメディアに挑戦する人の後押しをしたい

今回の相談会ではこのように、URSA Cine ImmersiveとDaVinci Resolveの概要の説明に始まり、両製品を実際に使って撮影した映像を体験することもできます。もちろん、コンテンツ制作の方法や技術面の話について、さらに詳しく相談することも可能です。

説明の中で特に繰り返し強調されていたのが、両製品を導入するハードルの低さです。

特にURSA Cine Immersiveに関しては高度な技術や専門知識が不可欠なカメラだと思っていたので、「セットアップも簡単」というのは驚きでした。

もちろん、VR撮影ならではの注意点はありますし、現場ごとのセッティングやライティングの調整は必要です。しかし想像していたような大掛かりな準備はまったく不要でしたし、もちろんマニュアルも完備されています。

撮影についても、手持ちカメラのように動かすものではなく、映画の撮影のようにフォーカスやズームを細かく操作することもありません。基本的には、最初に画角を決めて、安定した場所に設置するだけ。いわゆる「カメラマン」に求められるような専門技術が要求される製品ではない、とのことでした。

DaVinci Resolveを使った編集も同様です。カメラ1台で撮影できるとはいえ、3D映像として仕上げるには一定の知識が必要になるかと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。本当に2D映像と同じように、簡単に3D映像を編集できます。

個人的にも学びの多い時間となったのですが、そもそもこの相談会は、どのような人を対象にしているのでしょうか。気になって質問してみたところ、「Apple Immersive Videoのコンテンツ制作を検討しているすべての人」に向けて実施しているそうです。

難易度が高いと思われているVRコンテンツ制作のハードルを下げ、新しいメディアに挑戦するクリエイターたちを後押ししたい。そのような思いで開催されるこの相談会をきっかけとして、この分野に飛び込むクリエイターも今後出てくるのかもしれません。まだ見ぬ表現や斬新な作品が生まれるかもしれない、これからの「映像制作」の世界にも注目です。

無料相談会について

  • 日程:2025年10月22日(水)~31日(金) ※土日は除く
  • 会場:
    • 東京:ブラックマジックデザイン株式会社(東京都目黒区駒場4-7-2)
    • 大阪:ブラックマジックデザイン株式会社 大阪オフィス(大阪府大阪市中央区南久宝寺町4-3-9)
    • オンライン:Zoom
  • 申込フォーム:https://ikg98.hp.peraichi.com/

公式製品ページ:
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/blackmagicursacine


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