Home » 米Augmodoが530万ドルを調達 店舗内を自動で空間マッピングするデバイスなど小売業界向けシステム開発


企業動向 2024.10.10

米Augmodoが530万ドルを調達 店舗内を自動で空間マッピングするデバイスなど小売業界向けシステム開発

米国のスタートアップ企業Augmodoが、530万ドル(約7億8000万円)のシード資金調達を完了しました。同社は空間AIを活用した小売業界向けの技術開発を行っており、ウェアラブルデバイスとAIを組み合わせた独自のシステムで、実店舗の在庫管理や業務効率化の実現を目指します。

Augmodoは「SmartBadge™」と呼ばれるカメラのようなデバイスを開発しています。このデバイスは
空間を認識するAIを搭載しており、店舗スタッフが着用することで店舗内の商品棚をリアルタイムで3Dマッピングする機能を持っています。同社は「デバイス導入により在庫状況の把握や業務タスクの効率化が可能になる」としています。

「SmartBadge™」の特徴は、その導入の容易さにあります。既存の小売店舗に20分以内で導入でき、コストも従来の類似システムの100分の1程度に抑えられるとのこと。また、店舗管理者や従業員の業務フローを大きく変更する必要がないため、スムーズな導入が可能です。

さらに、Augmodoは「SpatialView™」と呼ばれる分析プラットフォームも提供しています。これにより、小売企業の経営陣やブランドパートナーは、リアルタイムで店舗の棚の状況を確認することができます。オーストラリア最大の薬局チェーンであるChemist Warehouseのマーク・フィノッキアーロ氏は、「店舗を何度も訪問したり、数週間から数ヶ月前のデータを見る代わりに、ビジネスリーダーはラップトップから任意の店舗内部を見ることができます。棚で実際に何が起こっているかをリアルタイムで把握できる、本当の情報源です」とコメントしています。

Augmodoの技術は、小売業界が直面している大きな課題の解決にも貢献する可能性があります。世界中の小売業者は、在庫切れ、返品、過剰在庫により年間1.75兆ドル(約262兆円)の収益を失っているといわれています。Augmodoの技術は、店舗の効率を向上し、データを一括管理することで10%以上ものコスト改善に役立つと期待できる、とのこと。

今後、Augmodoは複数の国でブランドや小売業者とのパイロットプロジェクトを実施し、小売業向けの空間AI技術をさらに発展させていく計画です。同社の創業者兼CEOのFinman氏は「監査、法令違反、非効率性に関連する何百万ドルものコスト削減を実現し、小売業者やブランドがその節約分を消費者に還元できるようにすることを目指しています」と述べています。

調達資金は、2024年に予定されている複数のパイロットプロジェクトの実施と、事業規模の拡大に使用される予定です。Augmodoは現在までに4件の特許を出願しており、今後も小売業向けの空間AI技術の開発を続けていく方針です。

なお今回の資金調達は、Lerer Hippeau社が主導し、Dunnhumby Ventures、NewFare Partners、Simple Food Venturesなどが参加しました。

(参考)プレスリリース


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード