英国ケンブリッジ大学発のスタートアップAllFocal Opticsが、530万ドルの資金調達を実施しました。同社は、「VR酔い」を解消する次世代レンズ技術の開発を行っています。同社は今後2年以内に、ARグラスやVRヘッドセットへの技術導入を目指します。
AllFocal Opticsはケンブリッジ大学発のスタートアップ。10年に及ぶ研究開発の成果を基に設立されました。同社は最近、Microsoftの元テクノロジー担当VPであり、MetaのAR部門リーダーを務めたAsh Salusbury氏を会長として迎え入れ、経営体制を強化しています。
なお本調達では、株式調達による360万ドルとInnovate UKからの助成金170万ドルの合計530万ドルの資金を確保しました。株式調達はSpeedinvestが主導し、かつてMetaに買収されたOculusの早期投資家として知られる7PC Venturesなども参加しています。
AllFocal Opticsが特に注目を集めている点は、従来のXRデバイスの課題であった「VR酔い」や不快感を解消するレンズ技術にあります。同社が開発する薄型ナノフォトニクスレンズは、ユーザーの網膜に直接デジタル画像を投影し、周囲の環境に目が適応しても常にフォーカスが維持される仕組みを実現しています。同社は「この技術により、メガネをかけている人でも快適にXR体験を楽しむことができる」としています。
応用分野も幅広く、自動車のヘッドアップディスプレイへの組み込みによる安全な運転支援や、防衛・航空宇宙分野でのリアルタイムデータ表示、医療現場でのスマートグラス活用など、様々な用途が想定されています。また同社は、2025年初頭に自動車メーカーのジャガー・ランドローバー(JLR)との実証実験を予定しています。
AllFocal OpticsのCEOであり、中核技術を開発したDr. Pawan Shretha氏は、「XRの大規模な普及には、ユーザーが長時間、快適に仮想映像とインタラクションできることが不可欠です。当社の技術は、LCD、OLED、その他あらゆる種類のディスプレイと互換性があります」とコメントしています。
(参考)techfundingnews