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開発 2026.10.05

開発者視点で語るXRデバイス最新動向――生成AI活用の現在地【XR Kaigi Hub 大阪 2026】

2026年9月9日から10日まで、大阪府大阪市の梅田サウスホールで「XR Kaigi Hub 大阪 2026」が開催された。本稿では、セッション「XRデバイス開発、最近やってますか? — 2026年の動向と、触ってわかった実装の話」の内容をレポートする。

登壇者紹介:宮浦 恭弘 氏(大阪駆動開発コミュニティ)


趣味活動がきっかけでXR関連技術にどっぷりハマっているエンジニアの1人。大阪駆動開発コミュニティ運営メンバーの1人としてXRやAI関連のコミュニティ活動を行っています。Microsoft MVPとしても活動するXR Engineer.

空間表現の深さとAI活用の度合いで見えてくるXRデバイスの現在

宮浦氏はまず会場に問いかけた。「AIグラスって毎月何か新しいのが出ていませんか?」。この状況を整理するため、自ら図を作成したという。以下がその図だ。

図の縦軸はAIの活用度、横軸は空間を使えるレベルである。AIグラスはAI連携が多い一方、空間には文字を表示する程度にとどまる。そのため最近のデバイスは左上に集まりやすい。Meta QuestやVision Proは6DoF(頭の向きと位置を検出する方式)での制御に対応する。ただしAI連携はまだ少なく、右下寄りに位置する。右上に来るのはAndroid XR系だ。

AIグラスでは、Rokid、Even G2、GUIDE01の3機種を紹介した。RokidはAPK(Androidアプリのパッケージ)を直接導入でき、コンテンツ制作との相性がよい。Even G2は最小限の機能だが、シンプルなコンテンツなら十分に作れる。カメラがないため日常使いしやすい点も魅力だ、

XRデバイスとしては、MiRZA、HoloLens、Quest 3などを挙げる。これらの6DoF系の機器はセンサーが高度で、価格が高くなりがちである。

両者のあいのこ的な存在がAndroid XRのOSを搭載しているデバイスだ。現状は韓国と米国で展開中の「Galaxy XR」のみだが、今年の秋以降、このOSを搭載したスマートグラスXREAL AURAが登場する。Android XRの特徴はGeminiをOSレベルで搭載しており、口頭の指示でアプリを動かせるサービスがある点だ。

余談として、Microsoft Build 2026で披露されたリファレンスデザインの「Project Solara」も紹介した。エージェントを持ち歩くデバイスを作るための構想で、Microsoft自身は製品化しないという。中身はAndroid OSにCopilotやMicrosoftアカウントを使える仕掛けを持たせた仕様で、各社がデバイスを作る前提である。宮浦氏は、Copilot搭載グラスにつながる可能性もあるのではと推測を交えて語った。

デバイスの多様化と開発環境の変化

デバイスが増えていった結果、それぞれの機器のできることや活用の方向性は大きく異なるようになった。AIグラスは歩きながら情報を受け取る日常向けで、XRデバイスは没入体験向けである。

厄介なのが、開発方法がデバイスごとに異なる点だ。Even G2は専用のSDK(ソフトウェア開発キット)を使い、RokidではAndroidネイティブ開発となる。宮浦氏は「これまではUnityでMRTK(※オープンソースで開発されている、XRアプリケーション向けのクロスプラットフォームUI開発フレームワーク)等を活用しマルチデバイス開発するパターンが結構多かったんですけど、今だと全然そういう話にならない」と語った。

今後は作りたい体験に合わせてデバイスを選び、開発手法を決める流れに変わっていくと指摘。検証目的や興味で購入するのも構わないとしつつ、作りたいものがある場合はデバイス選定から始めるのが要点になるという。

生成AIでどこまで回せるか4観点で検証

続いて宮浦氏は、XR開発で生成AIがどこまで使えるかを調べた結果を紹介した。簡易なものや土台となる実装は、生成AIで対応しやすい。一方、3Dアプリでは利用体験の設計が絡み、すべてを任せるのは難しいという。

検証の観点は4つある。コードを書く「作る」アプリを起動する「動かす」起動後の状態を観測する「観る」そして「操作」である。観測できなければテストを自動で回せないためだ。対象はMeta Quest 3、Galaxy XR系、Even G2、Rokid、GUIDE01の5機種で、上位3機種の結果が良好だった。Rokidはデータ通信用のケーブルを持っておらず、作る工程までの検証にとどまったという。

Meta Quest 3では、Unity公式のMCP(AIが外部ツールを操作するための仕組み)でUnityを制御できる。Meta XR SDK用のMCPもあり、機能部品であるビルディングブロックをAIが自動で選んで組み込める。Meta XR Simulatorで動かし、スクリーンショットで状態も確認できる。新しく登場したMeta XR Operatorを使えば、シミュレーター内の操作まで自動化できる。

ただし落とし穴もあった。AMD製のGPU(画像処理装置)では、シミュレーター画面が単色のパネルになり描画されない。一方、AI側はデータとして状態を認識できるため作業は進む。「悲しい話ですが、生成AIの方はデータとして認識できるので普通にやってくれていました」と宮浦氏は指摘した。

Android XRは、空間にパネルを置いてUIを作るタイプのアプリなら全工程を自動化できる。Unityで3D空間を使うアプリは作る工程にとどまり、操作は一部できない。実例として、XR Kaigiのコンパニオンアプリを講演前にAIに作らせた。サイト上のセッション情報を取り込み、メニューアプリに仕上げたという。

Even G2は、Even RealitiesがCLI(コマンドで操作するツール)などを提供している。CLIとSkillsを組み合わせれば、アイデアを送るだけで自動テストからデプロイ用パッケージの作成まで進むという。凝った機能は簡単ではないものの、土台作りの手間は大きく減らせるとまとめた。

「AURAのための素振り」でわかったこと

最後のテーマはAndroid XRである。宮浦氏は、XREAL AURAでの開発に備えてGalaxy XRで素振りをしているという。Android XRには、フル機能のXRデバイス型と、軽量なAIグラス型がある。両者はSDKも作り方も異なり、基本的に移植はできない。Galaxy XRとAURAは同じカテゴリーのため、使い回せるはずだという。

SDKにはVPS(映像から位置を特定する仕組み)が標準で備わる。ただしGalaxy XRはGPSを持たないため使えない。GPS付きの機種なら、Geospatial APIと連携したコンテンツもUnityのパッケージから作ることができるはずだ。

OSに組み込まれたGeminiにも制約がある。自作アプリは利用者が見ている映像の状態については会話できるものの、Geminiから自作アプリの操作はできない。これを実現するためのインターフェースがまだSDKでは提供されていない。Google Mapsなど純正アプリでは、Geminiに行き先を伝えながらイマーシブビューで旅ができる。将来は自作アプリを含めた全アプリで可能になる予定となっていると紹介された。

開発手法は3つある。Jetpack SDKはパネル型のUIに、簡単な3Dモデルを組み合わせたアプリ向けだ。WebXR(ブラウザでXRを動かす規格)は平面検出も普通に動く。Unityでは標準と拡張の2系統のパッケージを使い分け、Unity 6以上で導入できる。UIを空間化するならJetpack、空間そのものを使うならUnityやWebXRを選ぶのが現状の最適解のようだ。

講演の締めくくりに、同氏はこう語った。OSレベルで生成AIが入った状態で空間を制御できるのは、現状Android XRくらいだという。とはいえ、既存のXRデバイスも同じ方向に向かっている様子もうかがえる。「早くAURAを試してみたい」。今後の広がりをウォッチしていきたいとして、講演を終えた。

AI・スマートグラスの最新事例が集合! 国内最大級カンファレンス「XR Kaigi 2026」、11月30日〜12月2日に開催決定

XR Kaigi実行委員会は、バーチャル領域のカンファレンス「XR Kaigi 2026」を2026年11月30日(月)から12月2日(水)の3日間、東京・ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館)で開催すると発表しました。
※XR Kaigi、MoguraVRはMyDearest株式会社が運営しています。

XR Kaigiは、XR・スマートグラス・VTuberなど、バーチャル領域の担い手を対象としたカンファレンスです。企業・個人・業界団体・行政などが参画する業界横断型のイベントで、海外からの登壇者や出展社も迎えます。開発者やクリエイターを中心とした参加者が集まる場を目指しており、2014年から業界専門メディアとして活動するMogura VRが企画しています。想定総動員数は4,000名、想定出展ブース数は100ブースです。

XR Kaigi 2026 概要

名称 XR Kaigi 2026
会期 2026年11月30日(月)〜12月2日(水)
会場 ポートシティ竹芝内(ポートホール・東京都立産業貿易センター浜松町館)
想定総動員数 4,000名
想定出展ブース数 100ブース
公式サイト https://mydearestvr.com/xrkaigi/2026/
主催 XR Kaigi実行委員会

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編集長の久保田を筆頭に、XR/メタバースなどバーチャル領域を知り尽くす専門チームが、リサーチからコンサルティング、企画、開発までを一貫支援。
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