2026年8月、イスラエル首相府の国家AI総局が「Israel’s National AI Strategic Plan」(国家AI戦略)を公開しました。イスラエルにおけるAIの加速とグローバルリーダーシップの確立を掲げた政府決議4255号に基づく行動計画で、序文はベンヤミン・ネタニヤフ首相が寄せています。
計画が掲げる国家目標は、「AIの世界的な強国となること」、「その力を人々の生活の改善につなげること」の2つです。後者が目的、前者はそこへ到達する手段だと位置づけられています。書面の中で、両者を束ねる考え方をLived AI定義づけています。AIが実演の段階を離れ、国の仕組みの一部として動いている状態を指します。
柱の一つにはフィジカルAIが据えられています。実世界で動くシステムの知能層を担う分野で、健康・宇宙・輸送を扱う実装センターを1か所設けます。分野全体としては農業やエッジAIの計算層も対象に入ります。あわせて、開発段階の技術を安全に動かす国家物理テストベッドを整備し、実装前に代表的な条件下で検証できる環境を用意します。自律システムの安全性を示す基準Israeli Safety Cardの策定も盛り込まれました。
イスラエルはフィジカルAIを自国だけで進めるわけではありません。海外の主要なフィジカルAI企業に対しては、複雑なテスト環境や実務経験を持つ人材、速度を確保する規制を用意したうえで、イスラエル国内に開発拠点を置くよう働きかけます。選定した課題ごとに、担当する規制当局と作業計画を定めた実験用サンドボックスも設ける方針です。
実行体制としては、AIの実装を加速する拠点を全国に5か所設け、うち2か所以上を周縁部に置きます。基盤面では、AI向けアクセラレーターを国内で10万基以上確保する構想を示しました。初期段階では5,000基の専用能力を整え、5ナノメートル以下の半導体製造施設の誘致も検討します。
防御面では、サイバーセキュリティの蓄積をAI時代に振り向けます。国家サイバー総局と共同で3つの研究所を設け、AIの保護、AIの悪用への対策、合成偽造への対応をそれぞれ担当させる計画としています。
参考
Israel National AIstrategic Plan

