2026年7月22日、神戸大学大学院工学研究科の塚本昌彦教授を中心とする学際的研究グループは、AIを搭載した眼鏡型デバイス「スマートグラスAI」のプライバシー問題に対処するガイドライン「6層・21施策」モデルを発表しました。神戸大学の3学部が協力した研究成果で、政策提言として公開されています。
研究グループは、Ray-Ban Metaシリーズの普及などを背景にスマートグラスAIがスマートフォンに続く次世代プラットフォームになりつつあると指摘しています。その一方で、従来の眼鏡と見分けがつかない外観から、周囲の第三者が「いつ撮影・解析されているか分からない」という深刻なプライバシー問題が生じていると同グループは警鐘を鳴らしています。固有リスクとして整理されているのは、センシング行為の不可視性、AIによる即時推論、利用者と第三者との構造的な不均等、生活空間への常時浸透という4点です。
提言するガイドラインは、「見える」「知らせる」「守る」「制御する」「忘れる」「信頼をつくる」という6つの層で構成され、物理的・電子的対策からデータ最小化、独立監査まで、合計21の具体的な施策を示しています。フルスペックのデバイスだけでなく、カメラやマイクをあえて搭載しない縮退設計モデルに対しても、優先すべき施策を判断できる「設計地図」として機能するのが特徴です。
あわせて、Ray-Ban Metaなど主要5機種に対してフレームワークを適用したベンチマーク調査も公開されています。カメラ非搭載モデル「Even G2」を含む各製品がガイドラインにどの程度適合しているかを分析したものです。
研究グループは今後、本モデルをウェアラブル機器やAI産業の国際基準ロードマップとして発展させることを目指しています。中国情報通信研究院(CAICT)が発表したスマートグラスガイドラインとの比較も予定されており、国際的な連携を視野に入れた取り組みが続く見込みです。本研究は科研費(22H00550)の支援を受けたもので、論文は2027年3月に掲載予定です。
参考
日本の研究.com
神戸大学
神戸大学研究プロジェクト スマートグラスAIのためのプライバシ制御技術

