Home » 「XREAL AURA」で再度ARグラスを世に送り出す CEOに気になることを色々聴いてみた


業界動向 2026.06.17

「XREAL AURA」で再度ARグラスを世に送り出す CEOに気になることを色々聴いてみた

米国で2026年6月16日から開催されているXR業界のカンファレンス「AWE USA 2026」。その初日に大きく発表をして注目を集めたのは、2026年秋に発売される2つのARグラスだ。XREALがGoogle・Qualcommと作る「XREAL AURA」。そしてSnapの「Specs」。

「XREAL AURA」は、2025年5月に発表されて以来、Project Auraという開発名称で呼ばれ、2026年に入ってからも1月のCES、5月のGoogle I/Oと断続的に情報が公開されてきた。そして、いよいよ製品名が発表され、予約を開始した。


5月のGoogle I/Oでの初の実機体験とCEOインタビューはジャーナリストの西田宗千佳氏の記事に詳しい。

XREALが最初にARグラス「Nreal Light」の発表を行ったのは奇しくも同じAWE USA 2019のステージでだった。筆者もその場に居合わせて、当時の発表の興奮を覚えている。
(2029年にNREAL(現XREAL)が発表した初代Nreal Light)
今回は発表後のAWEの会場でCEOのシュー・チー氏と7年間を振り返りつつ、さらに追撃インタビューを行った。
ーー ついにAuraの予約が始まりましたね。
チー氏:ありがとうございます。 今回は最終的なローンチではありませんが、名前や大まかなスケジュールが発表され、ユーザー向けの予約が開始されました。
皆さんに実際に体験していただけるようになったことが、何よりも重要だと考えています。 コンテンツエコシステムのコミュニティの方々にも、実際に試して開発を始めてもらうことができます。
ーー 開発中の「Project Aura」から変わらず「AURA」の言葉を採用しています。名前に込められたコンセプトや意味はありますか?
チー氏:みんなが気に入ってくれたというのが率直なところですが、「Aura」には光や色彩といった意味合いがあります。 そこから「希望」を連想できるため、それも理由の一つだと思います。
社内でも少し議論はありましたが、最終的に私自身もこの名前を気に入りました。 チームの大半も賛成してくれましたし、QualcommやGoogleもこの名前を気に入ってくれたので、これに決定しました。
ーー XREAL 1シリーズの名前は採用しませんでしたね。
チー氏:現時点ではAuraは全く異なる階層の製品だと考えています。 これまでのシリーズとは完全に異なる体験を提供します。将来的には同じ製品ラインになるかもしれませんが、現時点では明確に差別化したいと考えています。

最初の製品は初めての子育てのように大変

ーー1シリーズは毎年のようにデバイスが登場していますが、Auraシリーズでは製品サイクルが異なるのでしょうか?
チー氏:どの製品ラインでも毎年少なくとも1つの製品、つまり1年に1世代のイテレーションを維持するよう努めます。
ーー AURAとも毎年ですか?
チー氏:業界の初期段階である現在においては必要なサイクルです。 毎年新しいイノベーションが生まれると考えています。
ーー AURAの発表から発売までは、XREALのこれまでのモデルよりも時間がかかっています。AURAも今後は1年ごとのイテレーションを維持する自信があるということなんですね?
チー氏:最初の製品を生み出すのは常に難しいです。 今回は新しいチップ、新しいOS、新しいハードウェアの組み合わせでしたから。
今回は我々単独ではなく3社による協業だったため時間がかかりました。ただし、最終的により複雑で高度な体験を提供するために、この協業は必要なものでした。
第一段階を乗り越えれば、次のイノベーションは最初の時より比較的簡単になるはずです。 最初の製品は、初めての子育てのようにいつも大変なのです。
ーー Auraも一番険しい山はすでに越えたと考えているのですね。
チー氏:その通りです。 コミュニティからのフィードバックも非常に良好です。正確な数字は手元にありませんが、予約開始からすでに1500件近い予約が入っています。 Founders Passはすでに1000件近くに達しています。(※)
※本インタビューはAWE 2026でのXREAL Auraが発表された太平洋時間6月16日午前10時過ぎ(日本時間6月17日午前3時過ぎ)から約4時間後に実施した。
これは本当に素晴らしいことで、皆さんのサポートに感謝しています。
2019年の7年前に私たちは同じAWEでNreal Lightを発表しました。

当時掲げていたビジョンは今も全く変わっていません。 当時もグラス、パック兼コントローラーという構成でした。
しかし7年後の今、我々は一人ではありません。 QualcommやGoogleといったアライアンスを組み、世界最高の可能性を手にしています。
彼らが我々のビジョンに共感し、支持してくれたおかげで、一緒にこの製品を作り上げることができました。 本当に嬉しく思っています。

前進するためには一度後退することが必要

ーー その7年間は長く感じましたか?
チー氏:正直に言って、予想以上に長かったです。 XR業界全体を見渡しても浮き沈みがあり、非常に困難な業界だと思います。
長年この業界にいますが、本当に厳しい道のりでした。 それでも、この分野を信じ続けて境界を押し広げてきた多くの人々が残ってくれていることを嬉しく思います。
そして今、我々は本当に素晴らしいものを世に送り出す一歩手前にいます。 Auraはその一つです。
ーー 振り返ってみると、この厳しい業界でXREALが生き残ることができた理由は何だと思いますか?
チー氏:XREALは創業初日から他とは少し違っていました。 我々は常に革新を続けたいと考えており、他社の真似をする単なるフォロワーになることを好みません。
2019年の最初の発表もユニークなものでしたし、その後もNebula OSや独自のチップ、独自の光学系を発表した時も常に新しいことに挑戦してきました。
この会社のコアバリューは、真に革新的なものを構築することにあります。 時間が経つにつれ、我々がそうした製品を作るのが得意であることを証明してきましたし、今後もそれを続けていきます。
ーー 2019年当時、誰もがMRや空間コンピューティングの普及がいよいよ来ると考えていました。実際に 次のステージに進むまでに7年以上かかりました。そして、XREALから空間ディスプレイというコンセプトが出てきたのは驚きでした。
チー氏:空間ディスプレイはダウングレードのようにも思えたんじゃないですか?
ーー まさに、ARを実現すると言っていた企業がどうしたんだろうと。
チー氏:そうですよね(笑)
空間ディスプレイは私にとってはiPhoneの前にあったiPodのようなものです。 iPhoneになるにはOSも必要ですし、様々なアプリをインストールすることも必要でした。まさに空間ディスプレイとAuraの関係です。
チー氏:前進するためには一度後退することが必要な場合もあります。 我々のアプローチは結果的に正しかったと思います。
最終的には実際のユーザーと対話し、彼らが本当に必要としているものを把握しなければなりません。 空間コンピューティングは素晴らしいですが、必要な要素が揃っていない段階で無理に推し進めると裏目に出ます。
コンテンツが不足し、開発者も長続きしないと判断してしまうからです。 野心的な目標を掲げながらも、現在地からそこへどう到達するか明確でない企業も存在します。
我々にとって、空間ディスプレイは空間コンピューティングへと至るための道筋であり、それを美しく完璧に達成できたと考えています。
適切なAIやチップが揃った今、ARグラスにもう一度アプローチすれば10倍良いものになると思っています。

AIはARの最高のインターフェース

ーー ハードウェアの詳細についてお伺いします。 Auraではなぜ物理的なタッチパッドを残す決断をしたのでしょうか?
チー氏:我々はAuraを優れた生産性デバイスだと考えています。 生産性を高めるうえで、ジェスチャー操作だけでは効率が悪い場合があります。Apple Vision Proはジェスチャー操作のみですが、Auraでは生産性のためにタッチパッドを採用しました。 タッチパッドは非常に効率的です。

もう一つの大きな要素がGeminiです。 ブラウザに文字を入力する際、空間上でタイピングするよりも音声で話しかける方が効率的です。
Geminiはそれを極めて効率的にしてくれます。 3次元のジェスチャー操作は便利ですが、効率の面から高頻度での使用には向いていません。
ーーGeminiでの操作が鍵だということですね。
チー氏:GeminiのようなAIこそがARにとって最高のユーザーインターフェースであり、ARはAIにとって最高のプラットフォームなのです。 だからこそ、AIとARは共に歩むべきです。
この組み合わせは本当に強力なものになるでしょう。

ーー そして、スペックシートにカメラのプライバシー用LEDライトについての記載がありました。 プライバシーについてはどのようにお考えですか?
チー氏:周囲の人々が気づかないうちに録画されるような状況は避けるべきです。 そのため、LEDライトを搭載することはコンプライアンスの観点からも非常に重要です。
我々はこの分野のパイオニアです。 パイオニアを自負するなら、他社よりも一歩先を考え、越えてはならない適切な境界線を設定しなければなりません。
ARデバイスが人々のプライバシーを侵害するものとして語られることは望んでいません。 それは我々が意図した設計ではありません。ですから、適切なLEDを配置して周囲の人に知らせる機能は極めて重要だと考えています。
ーー 価格設定についてですが、デポジット制で予約を開始した背景にはどのような戦略があるのでしょうか?
チー氏 メモリ価格の変動など、変化の激しい業界であるため、誰もが手に取りやすい価格になるよう現在もあらゆる努力を続けています。 そのため確定した価格はまだ発表していませんが、ある程度の範囲は決まっています。
ーー 1500ドル以下になるという説明が書いてありました。
チー氏:その通りです。 本日、Snapからも約2200ドルの素晴らしい新製品が発表されましたが、Auraはそれ以上に強力なデバイスだと考えています。
それが1500ドル以下で提供できるのです。 7年前に初代のグラス(Nreal Light)をパック付きで発売した時は1,199ドルでした。最終的な価格はおそらく1199ドルから1500ドルの間になると思います。

ーーできるだけ値段を下げたいと思っているのですね。
チー氏:その通りです。ちなみに将来的には販売量の増加に伴い、さらに価格は下がっていくと思います。
ーー この価格帯での主なターゲット層は誰になりますか?
チー氏:これは初の本格的な空間コンピューティンググラスです。 空間コンピューティングの可能性を信じている方であれば、間違いなく買いの製品です。VRユーザーやApple Vision Pro、HoloLensのユーザー。皆さんフォームファクター、機能、エコシステムのバランスに驚くはずです。
ーー 空間コンピューターが実用的なユースケースにおいて制限を抱えている中で、Auraの強みは何でしょうか?
チー氏:HoloLensは産業用途、屋外での展示などにも使われています。 Auraは優れた画質とフォームファクターを備えており、唯一の欠点は有線であることくらいです。
そのため、HoloLensやQuest、Quest Pro、さらにはVision Proの素晴らしい代替品として、幅広い用途で活用できると考えています。 エンタープライズ向けのソリューションを探している方、新しい技術を試したいアーリーアダプターにとって最適な選択肢です。
ーー ラインナップについて。先日、中国で新しいラインナップ「xbx」を発表されました。この「xbx」にはどういう意図があるのでしょうか?
チー氏:「xbx」は エントリーレベルの製品です。市場が成長するにつれて、エントリーレベルの製品にも常に価値が生まれます。
空間ディスプレイを試してみたいという層は必ず存在するからです。 他社からも低価格帯の製品は出ていますが、我々はお客様が手頃な価格でありながら高品質なものを求めていると考えています。
xbxを試したユーザーが、より多くの機能を求めて将来的にプレミアムモデルへ移行してくれることを期待しています。 同じ価格帯の中で比べれば、XPXは間違いなく最高のビルドクオリティを誇る美しいグラスです。
先ほどの喩えを続ければ、iPodに対するiPod Nanoのようなもので、予算が限られている人でも始められる完璧なアクセサリーになります。


ーー なぜXREALブランドではなく、XPXシリーズのようなサブブランドとして展開するのでしょうか?
チー氏:XREALをプレミアムブランドとして維持したいからです。2026年、私たちはAURAとxbxという両極端に位置する新しい機種を市場に投入します。 1000ドルを超えるデバイスと、数百ドルのエントリーモデルが混在することで、ユーザーを混乱させたくありませんでした。
エントリーレベルの製品を求める若い世代は、より大胆でカラフル、そしてトレンディなデザインを好みます。 彼らのニーズに合うものを作るには、異なるブランド価値を持つサブブランドが必要だと気づいたのです。
最終的にユーザーは多様性や異なるスタイルを求めているため、これは最適な戦略だと思っています。 今後はXREALとXPXの両方を展開し、日本を含めたグローバルにも展開していく予定です。
ーー日本での発売も楽しみにしています。本日はありがとうございました!


CONSULTING / DEVELOPMENT

コンサルティング・開発サービス

Moguraの知見を、あなたのプロジェクトに

mogura_next

Moguraの知見を、あなたのビジネスに
編集長の久保田を筆頭に、XR/メタバースなどバーチャル領域を知り尽くす専門チームが、リサーチからコンサルティング、企画、開発までを一貫支援。
Mogura VRで培った豊富な情報力と業界ネットワークを強みに、企業・行政機関の成果につながる最適な解決策をご提案します。