Home » 産業用AI・AIグラスによる製造業の劇的変化 シーメンスCEOら成果を語る


業界動向 2026.01.23

産業用AI・AIグラスによる製造業の劇的変化 シーメンスCEOら成果を語る

CES 2026では、デジタルツイン分野で世界を牽引するドイツのシーメンスCEOのローランド氏が登壇、産業用AIの活用について提携パートナーとともに具体例を語りました。本記事ではその講演の内容をサマリーで紹介します。

同氏は150年前に電気が社会基盤となった歴史を振り返り、今世紀のAIは前世紀の電気に匹敵する変革をもたらすと述べました。産業分野のAIは物理的な影響を及ぼす力となると語り、シーメンスはこの産業用AI革命を強力に推進する姿勢です。現在、同社には1,500人以上のAI専門家が在籍しています。


続いてシーメンスと提携しているNVIDIAのジェンスン・フアン氏が登壇。両社はNVIDIAが2026年1月のまさに前日に発表したばかりの次世代GPU・Vera Rubin(ベラ・ルビン)の導入で協力するとのこと。ベラ・ルビンは220兆個のトランジスタ(半導体素子)を搭載しています。シーメンスは、同社の設計ソフトをベラ・ルビン向けにCUDA(計算処理基盤)で再構築しました。これにより物理シミュレーションを10万倍に加速させることが可能になったとのことです。現実を模したバーチャル空間で工場をリアルタイムに制御する手法の実現を目指します。


シーメンスは新ツール「Digital Twin Composer」の発売も発表しました。Digital Twin Composerは製品や工場の3Dモデルを作成し、現実データと連携するツールです。ペプシコのアシーナ・カニオウラ氏は具体的な導入成果を報告しました。同社のゲータレード工場では、Digital Twin Composerで業務効率が20パーセント向上しました。運用の資本的支出も、最大15パーセント削減できる見込みです。現場支援として、Metaとの協力によるウェアラブル端末の活用例も披露されました。Ray-Ban Metaグラスに産業用AIを搭載し、作業を支援します。作業員はグラスからの音声指導を受け、ハンズフリーで活動。故障を未然に防ぐための操作手順をAIがリアルタイムで伝えます。


続いて、NVIDIAと同じくシーメンスと提携しているマイクロソフトのサティア・ナデラ氏、ジェイ・パリーク氏らも登場。産業用Copilotにより、開発時間は80パーセント削減。工場全体の生産性も30パーセント向上したという実績が示されました。さらにAI同士が連携して複雑なタスクを実行する開発も進められています。ロールス・ロイスの航空機部品設計にもこの技術が使われています。バーチャル空間上での試作を活用し、硬く軽量な油圧ポンプを開発しました。


ライフサイエンス分野では新プラットフォームのLumaが登場しました。AIが膨大なデータを統合し、がん治療薬の研究を加速させます。分子シミュレーションの効率は、従来比で250万倍に向上しました。創薬から製造までの期間を最大で50パーセント短縮できます。エネルギー分野では核融合発電の商用化に向けた進展が語られました。核融合装置Sparkの設計や自動化をシーメンスが支えています。商用機の電力はGoogleが購入することに合意済みです。既存インフラを維持したまま、電力容量を20パーセント拡大しました。


ローランド氏は産業用AIが生活の不可欠な基盤となる未来を展望しました。知識は電気のように社会へ浸透し、次世代へ自然に伝承されると語り、シーメンスは今後も世界中のパートナーと共に日常を更新し続けると示しました。

https://www.youtube.com/watch?v=R4Wm6YdoZSs

参考

Siemens Keynote at CES 2026(Youtube )

もぐら関連記事



CONSULTING / DEVELOPMENT

コンサルティング・開発サービス

Moguraの知見を、あなたのプロジェクトに

mogura_next

Moguraの知見を、あなたのビジネスに
編集長の久保田を筆頭に、XR/メタバースなどバーチャル領域を知り尽くす専門チームが、リサーチからコンサルティング、企画、開発までを一貫支援。
Mogura VRで培った豊富な情報力と業界ネットワークを強みに、企業・行政機関の成果につながる最適な解決策をご提案します。