株式会社Shiftallは10月14日、超軽量VRヘッドセット「MeganeX superlight 8K」のアップデートバージョンとなる新モデル「MeganeX 8K Mark II」を発表しました。価格は249,900円(税込)。すでに予約受付を開始しており、2025年12月の発送開始を予定しています。
同社はこの日、新製品の発表に際してメディア向けの発表会を実施。本記事ではその模様と、発表会で明らかになった「MeganeX 8K Mark II」の概要をお伝えします。
ユーザーコミュニティと協力して作り上げた改良モデル「MeganeX 8K Mark II」
都内某所で行われた新製品発表会には、Shiftallの代表取締役CEO・岩佐琢磨氏が登壇。発表会では超軽量VRヘッドセット「MeganeX 8K Mark II」とBase Station対応コントローラー「GripVR」についての説明があり、参加者は実機を体験することもできました。
スライドではまず、Shiftallの沿革と既存の製品について簡単に紹介。同社は国内では珍しいBtoC向けにPCVR用のヘッドセットを販売している企業であり、これまでに「HaritoraX」「mutalk」「FlipVR」といった数々の製品を送り出しています。
そんなShiftallが昨年発売したのが、超軽量VRヘッドセット「MeganeX superlight 8K」です。MeganeXは以前から日本のVRChatユーザーなどのあいだで注目を集めていましたが、岩佐氏によると、superlight 8Kは欧米でシェアを拡大。海外売上比率が8割近くに及ぶほどの売れ行きだったそうです。
このsuperlight 8Kの発売をきっかけに、同社が運営するDiscordサーバーの参加者が急増。主に欧州のユーザーが集結し、理想のヘッドセットについて日夜語り合う光景が見られるようになります。ピーク時は一晩で約200ものメッセージが書き込まれるほど盛り上がっていたのだとか。
そこでShiftallが取り組んだのが、世界のVRユーザーの声を傾聴し、リスペクトの気持ちを持って、真摯に対話を行うこと。製品に対する大量のフィードバックをサーバーで受け取りつつ、自分でソフトウェアを作ってしまうような開発力を持つユーザーの力も借りながら、開発を進めていきました。
そうして完成したのが、この日発表された「MeganeX 8K Mark II」です。ユーザーの声を汲み取り、対話を重ねながら、コミュニティ一丸となって作り上げた、渾身の改良モデルだと言えるでしょう。
ユーザーの声が形になった「Mark II」は、superlight 8Kから何が変わった?
superlight 8Kの後継機であるMeganeX 8K Mark IIは、少なくともスペック面を比較する限りでは、初代モデルと大きな違いはありません。
179gという超軽量設計の本体に専用のパンケーキレンズを搭載し、ディスプレイには片目4K解像度(両目7104×3840ピクセル)のマイクロOLEDパネルを採用。superlight 8Kの魅力をそのまま継承しつつ、小さな改善点を一つ一つ実現することで、日常的な使用におけるフラストレーションの解消を目指した製品となっています。
① USBケーブル接続部の耐久性強化
激しいダンスや予期せぬ引っ掛けによるケーブル断線を防ぐため、USBケーブル接続部が本体前面へと変更されました。
また、新たに開発した特殊なUSB中継ケーブルによって接続部の耐久性を向上し、もし破損してしまった場合も安価に交換できるようになっています。
② ディオプトリー・ゼロ設定の実現
ピント調整ダイヤルに、視力調整を完全に無効化する「ディオプトリー・ゼロ」の位置がマーキングされています。
これによって矯正レンズを使う人がピント調整を行いやすくなったほか、複数人で利用する際の調整も容易にできるようになりました。
③ トラッキング性能の微調整
ユーザーからの「下を向いた時にトラッキングが失われやすい」という声に応えて、Lighthouseセンサー(ベースステーションからの光を受ける素子)の位置と角度を微調整。下を向いた時のトラッキング性能が向上しました。
④ 供給電力の大幅強化と長尺ケーブル対応
本体への供給電圧を5Vから9Vに変更。広いVRスペースでの業務利用に対応するため、10mのUSB Type-Cケーブルにも対応可能になりました。
また、本体下部のUSB拡張ポートの供給電力が5V/2.1Aに向上。USBハブを経由して、フェイシャルトラッカーやマイクなど、複数の周辺機器を同時に接続できるようになっています。
⑤ OS/CPUの刷新と安定性の向上
CPUとOS(Linuxベース)を根本的に変更し、ファームウェアを新たに開発。これによって起動時間が従来比5分の1以下に短縮されたほか、PCおよびSteamVRとの接続時と、ファームウェアアップデート時の安定性がともに向上しています。
⑥ より幅広い顔の形状に対応
西洋圏のユーザーから寄せられた「自分たちの顔の形状にフィットしない」という声に応えて、素材と形状を改良しています。
用途に合わせて選べる3種類の装着方法
MeganeX 8K Mark IIは前モデルから継続するソフトストラップ方式に加えて、3種類の方法で装着できます。利用シーンや好みに応じて装着方法を変えられるため、より幅広い用途に対応できるようになりました。
A. ソフトストラップ(同梱)
額パッドと柔らかい後頭部ストラップでヘッドセットを保持する、MeganeXの基本的な装着スタイルです。
額で固定するため、顔の表面に圧力がかからず、長時間の使用や寝転んだ姿勢での利用に適しています。片手で持ち上げて固定できるフリップアップ構造は継承しつつ、ツマミ部分を操作しやすい形状に変更しています。
筆者も実際に試してみましたが、頭を締め付けるような感じはまったくなく、帽子をかぶっているような自然な装着感に驚かされました。重量も、過去に体験したことのあるVRヘッドセットの中では段違いの軽さです。
B. ハードストラップ(オプション)
ダイヤル式のサイズ調整機構を備えた、樹脂製のストラップ。額と後頭部だけでなく頭頂部でも本体を支えることで、素早い着脱と安定した装着感を実現します。こちらもフリップアップ可能。価格は9,900円(税込)です。
ちなみにハードストラップはそれなりに重量があるため、社内では「MeganeXの『超軽量』という魅力を削いでしまうのではないか」という懸念もあったのだとか。ですが、ユーザーコミュニティから「重要なのはトータルの重量であり、しっかり装着できるストラップも欲しい」という強い要望があり、今回の製品化につながったそうです。
C. フェイスマウントキット(オプション)
一般的なVRヘッドセットと同様に、顔の表面、後頭部、頭頂部の3点で保持する方式です。フォアヘッドバンド方式よりも本体をしっかり保持できるため、フィットネスやダンス、FPSゲームといった激しい動きを伴うコンテンツに適しています。
SteamVR対応コントローラー「GripVR」も同時発表
MeganeX 8K Mark IIの発表にあわせて、CES2025で公開されたSteamVRトラッキング対応のVRコントローラー「GripVR」の予約受付もスタート。
同社のVR関連製品としては非常にシンプルに見えますが、まさしく「標準的なVRコントローラー」として設計したのが、このGripVR。近年、供給が途絶えがちだったSteamVR対応コントローラーの需要に応えるべく作られた製品です。価格は59,900円(税込)。
ボタンレイアウトは広く普及している既存のコントローラーの配置を踏襲しているため、VRに慣れているユーザーであれば違和感なく使えます。
実際に触らせてもらったのですが、操作感はかなり快適。普段通りにVRChatで空間を移動したり、アバターの表情を変えたりすることができました。
Meta Quest 2のコントローラーを普段使っている筆者からすると、装着感はむしろこちらのほうが上。約8時間というバッテリー駆動時間も含め、長時間のVR操作に向いている印象を受けました。
先行予約特典とセット割引、さらに既存ユーザー向けのアップグレードサービスも
「MeganeX 8K Mark II」に関しては、先行予約特典として3年間のメーカー保証を提供。12月の発送開始までに予約注文すると、通常1年のメーカー保証が2年延長されます。
また、「MeganeX 8K Mark II」と「GripVR」(または「FlipVR」)を同時に購入すると、VRコントローラーを10%割引。通常59,900円を53,910円で購入できます。
さらに、すでにsuperlight 8Kを現在使っているユーザー向けに、Mark II同等品へのアップグレードサービスも提供。表示素子や光学系を流用し、電子基板や外装部品をMark IIのものに交換することができます。アップグレード費用は59,900円(送料・税込)で、2026年1月に開始予定です。
ユーザーコミュニティと協力して進められたという開発の経緯もそうですが、既存ユーザー向けのアップグレードサービスも含めて、とにかく「ユーザー目線であること」が今回の発表会では印象に残りました。VRヘッドセットとしてのMeganeXの強みは言わずもがな、ユーザーと距離の近いメーカーであることも、Shiftall製品の魅力だと言えるでしょう。
そして何より、世間的にはARやAIに注目が集まっている中で、VRの関連製品を開発し続けている国内企業は貴重な存在です。発表会では「法人利用を増やしていきたい」という話もあり、今後は研究分野などでの活用にも期待が高まります。















