Shiftallはラスベガスで開催中のCES2025にて、XR・メタバースユーザー向けに3つの製品を発表しました。SteamVR向けのコントローラー「GripVR」、Meta Quest 3のコントローラーのアタッチメント「AddCon」、全身トラッキング用デバイス「HaritoraX2」を拡張し精度を高める「HaritoraX 2 Add-on “R”」です。
CES2025現地での実機の様子やShiftall担当者からのコメントをふまえた簡単なレポートも交えながら3つの製品を紹介していきます。
”普通”を謳うSteamVR向けのコントローラー「GripVR」
「GripVR」は、PCVRのプラットフォームであるSteamVRに対応したVRコントローラーです。ベースステーション1.0/2.0に対応。トリガー・AB/XYボタン・スティックにタッチセンサーを搭載し、親指を置く上部右側面の通称“サムレスト”にもタッチセンサーを搭載。HTC VIVEやValve Indexに付属するコントローラーと同様に使うことができます。価格は両手で5〜6万程度を予定。発売は2025年夏を予定しています。
(Valve Indexのコントローラーと似た形状。手で握ってもったときの感覚もほとんど同じだ。手のひらを開く動作は行わないため、スティック部分にはタッチセンサーはなく、ゴムバンドでの固定方法もない。なお、CES2025で展示されていたのはプロトタイプなので、センサー受光部が剥き出しだったり、ストラップがなかったりとのこと。またフィット感のための細かな調整は最終版まで行い続ける予定)
Meta Quest 3/3Sのコントローラーで操作が捗る「AddCon」
「AddCon」は、一体型VRヘッドセットMeta Quest 3/3S/Proの左手のコントローラーに装着して機能を拡張するアタッチメントパーツです。従来のコントローラーに加えて、ホイールとボタンを増設することができます。小指が当たる部分にはタッチセンサーを内蔵し、小指がセンサーに触れているかどうかによって、PCのシフトキーのように全ボタン・ホイールの操作を切り替えることができます。タッチセンサーによるシフト機能を組み合わせることで14個以上の機能を割り当てることができるようになります。
Shiftallによれば、「バーチャル空間でVRフォトやアバターギミックを楽しむ方が、より便利に多様な表現ができるよう開発」されているとのこと。VRChatでの例として「Expressions Menuを開くことなく、カメラ操作・アバターギミック操作などに使えるOSC命令を14種類(オンオフ12種・アナログ操作2種)送出できる」と挙げられています。
(Meta Quest 3のコントローラーを使い、VRChatのカメラ機能でメニューを開いて明るさを調整している従来の操作方法)
(Addconを使い、メニューを開くことなく右手でカメラを構えたまま左手で明るさの調整を行っている)
AddConは専用アプリケーションを使用。PC向けが先行公開、後にスマートフォン版もリリース予定です。PC版のアプリはVR非対応のPCでも動作するため、OSC命令発信機としてPCを経由し、Questスタンドアロン版VRChatへのOSC命令が可能です。特定のキーボード操作を割り当てる機能の搭載も予定しているとのこと。
AddConの価格は9,900円を予定。発売時期は2025年夏を予定しています。
光学式に対応してさらに地に足がつく「HaritoraX 2 Add-on “R”」
「HaritoraX 2 Add-on “R”」はShiftallが2024年12月に発表した全身トラッキングデバイスHaritoraX 2に取り付け、同梱の専用カメラと組み合わせることで光学トラッキング方式に対応する拡張アタッチメント(Add-on)です。
HaritoraX 2は、複数のセンサーを身体に装着して全身の動きをアバターに反映させることができる全身トラッキングデバイスです。センシングにはIMU方式を採用しており、各関節の回転角度から姿勢を推定します。光学式に比べて姿勢が崩れにくいという特長がありますが、長時間使用していると位置がズレていく可能性がありました。Add-on “R”ではカメラによって位置のデータを取得。一度使用開始すると再キャリブレーションの必要がなく、アバターと自身の身体の“ズレ”がより小さくなります。
(CES2025で展示されていたプロトタイプ段階のもの。右にあるのが「HaritoraX 2 Add-on “R”」。HaritoraX 2の腰回りのパーツを囲むような拡張アタッチメントとなる。なおある程度サイズは大きいが、これはトラッキング精度を保つために一定程度必要とのこと。どこまで小さく出来るかは調整になるようだ。左はPCとの通信用のドングル)
(光学式カメラ。デフォルトでは前後用に2つ付属させることを検討しているとのこと。カメラは単体で別売もするのでさらに数を増やすこともできるようになる)
Add-on “R”の価格は3万円前後を予定。発売時期は2025年秋を予定しています。
HaritoraX 2は、Add-on “R”を使わずにSteamVR向けのベースステーションでも光学式との併用が可能です。しかし、ベースステーションは一般的にVRヘッドセットと使用するため、トータルコストは10万円を超えていきます。Add-on “R”を使うことで総額7万円程度で精度の高い全身トラッキングが実現することになります。
(参考)Shiftallプレスリリース1、2