「市場の成長は予想以上に遅くなる」有名ゲームデザイナーが予想する2025年のVRとAR

先週開催されたイベントAugmented World Expoにて、カーネギーメロン大学でゲームデザイナーのジェシー・シェル氏が2025年のVRとARに関する将来予想について語りました。

VR市場は成長を続けるという見方がある一方で、シェル氏はさらなる成長のために越えなければいけない壁があると語ります。

※編集注:今回シェル氏が話したARはARデバイスを用いたARであり、アップル等が取り組む「スマートフォンを使ったAR」に関しては言及していないと考えられます

VR・AR市場の成長は予想よりも遅くなる

『I Expect You To Die』はプレイヤーがシークレット・エージェントとなり、様々な場所から脱出を試みるというVR脱出ゲームで、Unity Award 2015でVRexperience賞を受賞する等、人気VRゲームの一つです。

同作品を開発したゲームデザイナーでカーネギーメロン大学を教授も勤めるジェシー・シェル氏は、ゲームデザインの研究者として知られています。

彼の主張によると、VRゲームの市場規模は、2025年までに75億ドル(約7,500億円)から225億ドル(約2.5兆円)になり、ゲーム市場全体の5%から15%未満の市場規模になると予想しています。

シェル氏は、2020年までにVR市場は300億ドル(約3.3兆円)、AR市場は900億ドル(約9.9兆円)になるという予想をする他の見方は楽観的であると主張しています。

VRコントローラーを使った方がより没入感が得られる

また、シェル氏はOculus TouchのようなVRコントローラーを使ったVR体験が主流になると予想しています。

コントローラーなしで手の動きを感知するセンサー型デバイスはまだ正確ではなく、また、VR内でモノを触ったときの感覚を得ることができません。

シェル氏はVRコントローラーを使用した方がより没入感を得ることができると見ています。

AR市場の成長は予想より小さくなる

シェル氏はAR市場の成長は予想よりも小さく、2025年までにVR市場の15%未満の33億ドル(約3600億円)程度になると見ておりARには乗り越えなければならない課題があると言います。

まず、シェル氏はグーグルグラスのようなスマートグラスはより違和感のない見た目にするようなソリューションが必要であると主張しています。

「グーグルグラスは、素晴らしい製品ではあったと思いますが、メガネに取り付けられるカメラやメガネ自体のサイズに違和感があることなどが原因で成功にはなりませんでした」

より多くの人がAR機能を備えたスマートグラスを使うようになるには、まずその見た目を変える必要がありますが、それを実現するためのテクノロジーの進歩にはまだ多くの時間を要するとシェル氏は見ています。

ARでは十分な没入感が得られないことも課題

シェル氏はARデバイスでは、見える範囲が狭く没入感に欠けることも課題に挙げています。

また、ARのモノや景色を認識するためのセンサーの技術と人工知能が十分に発達していなく、これらの技術が実用的になるには膨大な時間と技術を必要とすると主張します。

最後にシェル氏はARにキラーアプリがまだ出てきていないこともAR市場の成長の課題になっていると主張しています。

シェル氏は「ARを使ってバーチャルな友達を再現できるアプリがあれば子どもにとってはとても人気になる可能性はあります。しかし大人にとってのARキラーアプリはまだ登場していませんし、わたしもそれがどのようなものなのかはっきりとは分かりません」と語ります。

マイクロソフトのHoloLensにも課題がある

マイクロソフトが開発するMRデバイス(Mix Reality:複合現実、現実空間にバーチャル空間を融合する技術)HoloLensはそのレンズに問題があると主張します。
 
シェル氏は「HoloLensのグラスは透明ではなくダークで、他の人とアイコンタクトを取ることができません。HoloLensを使っている人が一体どこを見ているのかわからないような気まずい感じがあり、日常生活で常に使いたいとは思わないでしょう」と語ります。
 
また、HoloLensの場合、強い没入感を期待できるが、MRに対応した専用のハードウェアを必要とし、大きなコストも課題であると述べます。

シェル氏は最後にVR・AR市場全体が協力して新たな技術開発をするべきだと主張します。

「わたしたちは次の世代の新しい“目”をデザインしようとしています。わたしたちが力を合わせてその“目”を作っていく必要があります。

※編集注:今回シェル氏が話したARはARデバイスを用いたARであり、アップル等が取り組む「スマートフォンを使ったAR」に関しては言及していないと考えられます

(参考)
Jesse Schell: Predictions for VR and AR in 2025
https://uploadvr.com/jesse-schell-predictions-vr-ar-2025/ (英語)

この記事を書いた人

  • Ryo

    いろんな言語を勉強している言語オタクです。VRにも興味があるからVRオタクです。でもゴールデンレトリバーも好きだからゴールデンレトリバーオタクでもあります。VRにはゲーム以外にも教育や福祉、医療などでも大きな可能性があると思います。そんなVRを様々な側面からわかりやすく紹介できるようのほほんと頑張ります。

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