XREAL Oneが好評だ。販売元のXREALは「初回生産分の完売」を発表、部材調達などの関係から、当面の再出荷を見合わせる旨を告知している。
一方で、視力補正が必要で、なかでも「メガネ族」にとっては「インサートレンズ」も重要な要素だ。
XREALは視力補正に対し、一貫してインサートレンズを使う方式を採用している。そしてXREAL Oneは過去の機種とも異なる方式に変わった。
筆者の手元にインサートレンズが届いたのでチェックしていこう。「メガネ族には必須」のものだが、過去にはなかったクセもある。
XREALはインサートレンズにこだわる
少し基本からおさらいしよう。
サングラス型ディスプレイにしろHMDにしろ、「目に近いところにディスプレイを置いて、それを見る構造」の機器には共通の課題がある。それは、結局のところ視力に依存している、ということだ。視力が良ければ画像・文字などが鮮明に見えるが、そうでない場合には視力補正が必要になる。
方法は2つある。別売のインサートレンズを使うか、内蔵の視力補正機能を使うかだ。サングラス型ディスプレイの場合、XREALはインサートレンズを使い、VITUREやRokidは視力補正機能を内蔵している。
視力補正機能を内蔵する機器の場合、別途インサートレンズを買う必要がない、という利点があるが、現状では軽度の近視を中心とした補正であり、乱視や強度の強い補正には対応できない。また、どうしても視野の鮮明さには影響が出る。
XREALはこの欠点にこだわり、ずっとインサートレンズを採用してきた。XREAL Oneも同様だ。
もちろん、インサートレンズを使わない方法もある。メガネの上からXREAL Oneをかけるのだ。もちろん、大半の場合にはインサートレンズよりも不快だろう。
「差し込み式」になったXREAL One
XREALのインサートレンズは、小さめのレンズをフレームで支えるような構造になっている。
XREAL Airシリーズでは、レンズを入れ替える全体のフレームが付属していた。それを鼻当てのアダプターに挟む構造になっており、XREAL Airの中央にある穴に差し込む。
(XREAL Air 2のインサートレンズ。構造はXREAL Airと同じだが、フレームは変更になっている)
(XREAL Air/Air 2では、鼻当てとインサートレンズを一体化し、本体の穴に差し込む)
レンズを自分でつけるのは難しいため、視力補正用レンズを作ってもらい、その時にフレームをつけてもらうのが基本だ。日本の場合、オーダーメイド眼鏡専門店のJUN GINZAが公式にインサートレンズの販売を受け付けている。XREAL Oneでも同様だ。
(XREAL One用のインサートレンズもJUN GINZAで作れる)
XREAL Oneではフレーム構造が変わった。
鼻当てのアダプターと連結する構造ではなく、XREAL One本体に専用の穴が用意され、そこにフレームを差し込む形になった。
(XREAL One用インサートレンズフレーム。形状がXREAL Air用から変更に)
(インサートレンズフレームは、本体に専用の穴が用意され、そこにはめ込む構造に。穴はゴムのチップで隠されている)
この構造自体はとても良い。
従来のやり方は、とりつけが分かりづらい上に、外すにはかなり力を入れる必要があったため、取り外しも簡単ではなかった。
しかしXREAL Oneのものは構造がシンプルになったので、付け外しもかなり楽になっている。
この取り付け方法の欠点はといえば、フレームをつける穴をカバーするキャップが小さく、簡単になくしてしまいそうなことだろうか。もちろん、穴が塞がっていてもいなくても、機能にも美観にも影響はないのだが。
つけてしまったあとの見え方は、XREAL Airの時と大差ない。視力補正が行われた結果として、より文字などがすっきり見える。「メガネ族」がXREAL Oneを使うなら、やはり必須だと感じる。
前述のように、XREAL OneもインサートレンズをJUN GINZAで発注できる。発注方法も同じだ。
ただし、XREAL Airと異なり、XREAL Oneにはフレームが付属しなくなった。別売なのだが、JUN GINZAでインサートレンズを発注する時に買えるため、大きな問題はない。
折り畳んだ時にレンズと干渉する課題が
ただ、構造が変わったことで気になる点も生まれた。
XREAL Airではインサートレンズをつけたまま折り畳んでも特に問題はなかったように思う。
(XREAL Airの場合、折り畳んでもレンズとツルは干渉しない)
一方で、XREAL Oneの場合にはレンズとツルが若干干渉する。フレームは柔軟な金属でできていて、折り畳んだ時にはフレームがちょっとたわんで収納される。開くと、フレームも元に戻る。
(XREAL Oneの場合、レンズの位置が少し手前まで伸びた関係から、レンズのフレームとツルがわずかに干渉する)
筆者のインナーレンズは度がそこまで強いものではなく、薄い。そのため、特に力をかけることもなく、容易に折りたためる。
一方でこれが分厚いレンズになると、その分折りたたみづらくはなるだろう。
XREAL Airでは同じような構造でもレンズがぶつからないのに、XREAL Oneでぶつかるのは、光学系が分厚くなったことによる弊害かも知れない。レンズの端にツルがぶつかるのはあまり気持ちの良いことではない。
インナーレンズの取り外しが簡単になったので、気になるならしまうときに取り外す……という選択肢もあるだろう。だが、それでは面倒なのは間違いない。
できればこのあたりは、配慮した上で「ぶつからない構造」を採用してほしかった。
なお、日本ではまだ製品発売がアナウンスされておらず、アメリカでは予約が始まっている「XREAL One Pro」も、XREAL Oneに近いインナーレンズ構造を採用している。
ただしアメリカでの予約情報によれば、XREAL OneのインサートレンズはXREAL One Proとは互換性がない。付け方こそ同じだが、レンズと光学デバイスの位置関係は異なっているからだろう。干渉問題がどうなっているかも、現状は不明だ。
(アメリカのXREALのウェブより。XREAL OneとXREAL One Proのインサートレンズフレームは別で、「互換性はない」ことが謳われている)