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VTuber 2019.03.09

海外特化のVTuber事務所「WINKS」に聞く、中国VTuber事情!

※本記事はVTuberに関するトーク番組の制作団体「V-TO」による寄稿記事です

VTuber (バーチャルユーチューバー)ファンによるトーク&討論番組の制作団体「V-To」は、世界のVTuber事情を探る特集として、各国のVTuber最先端情報を特集します。

今回は、中国の最前線事情の特集の一つとして、中国で複数のVTuberを運営するWINKS代表の石川拓也さんにインタビューを行いました。
話を進めていくうちに、石川さんがイケメンで爽やかなのに段々腹立ってきたV-To特派員ですが、以下は一問一答形式で質問をしてみます!

ー まずは自己紹介をお願いします

石川拓也氏(以下、石川):
石川拓也です。VTuber事務所であるWINKSの株式会社LAETIAの代表取締役をやっております。


(屈託のない笑顔に若さ溢れる石川氏)

ー 石川さんの簡単な経歴をお願いします

大学3年までは普通の学生だったんですけど、友人が起業するのに誘われて、そのタイミングでCOO(最高執行責任者)として入ったんです。

それはあんまりうまく行かなくて3ヶ月で解散しちゃったんですけど、起業するって楽しいと思って。そこから自分で会社を作って、当時はまだ珍しかった「誰でも簡単にVTuberになれるアプリ」を作ったんです。でも、プラットフォームってお金がかかるし、このままだと資金力がある企業が参入してきたら勝てないなって。

スタートアップでも勝てるところってなんだろう…と考えて、純粋にコンテンツの質・面白さで勝負できるVTuberに行き着きました。そして世界に羽ばたくVTuberの制作・マネジメントをするWINKSというブランドを立ち上げました。

ー 現在VTuberをマネジメントされているとのことですが、どうして日本ではなく海外へ?

2018年の6月頃、まずはWINKSで日本国内で各国の言葉のバイリンガルVTuberを何人か出しました。日本でデビューして、海外から見てもらえたらいいなって。

そしたら中国語と日本語のバイリンガル、陸婉瑩 〜リク・エンエイが中国で自己紹介動画だけで3万人登録者数が付いて、大ヒットを予感しました。調べてみたら中国に当時はVTuberあんまりいなかったんですよね。

でも、日本のVTuberの二次創作動画が観られていたので、これは近い将来、中国でもブームが来るんじゃないかと。ただ中国を相手取った時に生半可な覚悟じゃ通用しないなって思って、今はすっかり中国にフォーカスしたマネジメントをしています。

ー 御社が現在中国でマネジメントされているVTuberを教えてください

中国版のホームページには全部で三期生までの11人を公開しています。中国各地の配信者たちをマネジメントしていますよ。



(http://winksproduction.com/?class=official)


ー お、おう… 2期生に一人、パンチが効いたのが(笑)
御社の中国で活躍されている
VTuberは知名度が高い人気配信者ばかりですが、中国独特の指導方法はあるのですか?

ライブ配信をするときに間が空かないように、とか、BANの危険性がある言葉は辞めましょうとか、基本的なことを教えたところくらいですかね。特別、海外だから!みたいなノウハウはそういう意味では無いかもしれないです(笑)

VTuberは台本を読むマニュアル形式で人気になることは難しいので、配信者本人の内なる魅力を引き出せるように、私たち裏方は環境を整えてあげるだけです。

ー なるほど、それでは遠隔でのオペレーションで苦労される点などはどういったところですか?

多分、オペレーションの苦労ってどこの事務所も共通していると思うんですけど、特に中国の場合はアクセスの問題ですかね。

スプレッドシートでの資料の共有についても、現地でも毎回VPNを繋がないと見れなくて、それは面倒ですね。あとは現地のメンバーとのコミュニケーションが大変です。

僕自身、中国語喋れるわけではないので、翻訳機能とか通訳の人を介して……みたいな(笑)中国語勉強してるんですが、全く身に付いてなくて苦労しています。発音の練習からずっと止まっているような感じで(笑)

ー 中国といえばbilibiliが注目されていますが、他に中国ならではのプラットフォーム事情があれば教えてください

実はbilibili動画以外にも色んなプラットフォームがVTuber向けに特化し始めてて、克拉克拉さんとかの調達額の多さは話題になっています。

日本とどういった違いになっていくかとかはまだわかりませんが、今後伸びていく市場だな~と感じますね。


(WINKS所属VTuberの自己紹介動画)

ー プラットフォームが違えば、文化も違うと思います。特に印象深いエピソードを教えてください

一番は、アカウント登録の複雑さですね。

日本だったらせいぜい必要な情報ってメールアドレスくらいですが、中国の場合身分証が必要だったり何十問もあるクイズみたいなやつを解かないといけなかったりします。だから、日本でいうところの「サブ垢」みたいな概念は少ないんじゃないかなぁ…

あとは……神楽めあガチ恋勢ガチ恋勢の話とか知ってますか?
日本のツイッター上に「神楽めあガチ恋勢」を名乗るアカウントがあって。中国のファンの一人が神楽めあさん本人を飛ばして、ガチ恋勢さんにガチ恋勢が出来たんです。

わかりやすく図を引っ張ってくると……、

いや、図にしてもよくわかんないか(笑)
神楽めあガチ恋勢さんもこれを知って、中国語上手くなったりしてるんですよ(笑)

あくまでこれは極端な例なんですけど、このようにVTuberを通じて二国を跨いだファンの複雑な文化が生まれているのは今のところ中国くらいじゃないですかね。

あと強いて挙げるのであれば、政治的問題や過度な下ネタなど、規制がかかるところが日本と少し違ったりして色々難しいことがあるので、そういった面への理解が必要になることも念頭に置かなければなりません。

あ、あと最近、私個人の偽アカウントがbilibiliに出没しました。

ー これは… なかなかいじりにきてますね(笑)

そうですね(笑) 高仿号っていう、いろんなコメント欄で本人芸するという、さっきご紹介したガチ恋勢みたいなノリのやつなんですけど、正直これはこれで面白いのでまぁいいか、と傍観しています(笑)

ー 中国に進出したい企業や個人VTuberは多いと思いますが、御社はどのようにサポートしていく予定でしょうか?

最近は自分たちのVTuberが有名になってきたので、中国に進出をしたいVTuberさんたちとどんどんコラボをしたいと思っています。TwitterのDMを解放しているのでお気軽にご連絡頂けたら嬉しいです。

ー 今後の御社の展望は

自社のVTuberを育てていくことにフォーカスしています。
僕たちは本気で中国で一番の影響力を持つVTuberグループになりたいです。

当面は所属VTuberをむやみに増やすことではなく、今愛されているVTuberが視聴者に飽きられないように、コンスタントに面白い動画を作り続けることを念頭に置いています。

ー 石川さんはどういった世界を描いて活動されているのでしょうか

中国で歴史に残るVTuber文化を作りたいです。
中国ではまだ本当に極一部の人間しか知らないカテゴリだと思うんですけど、日本でキズナアイちゃんが文化レベルで認知度を上げてくれているように、我々も中国で文化をつくりたいです。

最後に –

3/9の夜20:00-、MoguLiveさんのYouTubeチャンネルにて、「ぼくの考えた最強のVTuber」という配信を行います。中国代表として、弊社からは2名のVTuberが出演します。

https://www.bilibili.com/video/av45579920/
これはbilibiliで先日アップした、中国のメディアさんが作ってくれた告知動画なんですけど、結構コメント数もあって。

配信を見ているうちになんとなくbilibili動画のことがわかるような配信になればいいな、と思っています。中国に興味のある方は是非ご覧下さい。

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イケメンで聡明ながら彼女募集中であるという石川さんより、中国のお話でした。今後もWINKSの活躍に期待です。


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