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VR動画 2020.12.12

【VR映画ガイド第28回】鬼才ヤン・クーネンのちょっと危険なVR映画

VR映画でちょっと危険なバーチャルトリップ

1997年の「ドーベルマン」で、その鬼才ぶりを世界に知らしめたヤン・クーネン監督が、VR映画でちょっと危険なバーチャルトリップ作品を制作しました。それが「AYAHUASCA – Kosmik Journey」です。

作品では“アヤワスカ”というアマゾン北西部で伝統的に用いられている植物のエキス(幻覚剤の原料の1つ)を服用して起きるビジョンに浸ることになります。

体験者はアマゾンの中心部でスピリチュアルな旅に出るヤン・クーネン監督の目を通して、その状況を体験。VRで“アヤワスカ”という魂の植物の持つ魔法と癒しの力を感じ、内なる心の旅に出ることになります。

オススメのポイント

1. 視覚聴覚が奪われていく感覚

冒頭、アマゾンの薄暗いジャングルの中にいます。目の前にシャーマンが座っていて、体験者に座るように促します。床に座ると儀式が始まります。シャーマンの囁くような詠唱が響き渡り、少しずつ目の前が歪み始めます。

視界が暗くなり、最終的に真っ暗に。視覚や聴覚を徐々に奪われていく感じで、非常に不思議な感覚を覚えつつ、没入していきました。こんな体験をした作品は初めてです。

2. 奇妙なイメージの連続

ストーリーは存在しません。冒頭の鳥や昆虫さえずりは、儀式が始まると不思議な音楽のように聞こえ、奇妙なイメージが目の前に多数現れます。

多数のヘビや昆虫が自分の体周辺を這いずりまわり、最後はヘビに飲み込まれてしまいます(ヘビや昆虫が苦手な方は体験しない方がよいかもしれません)。しかし、そこから美しい世界が広がり、不思議なビジョンが連続して展開していきます。

3. バーチャルトリップというジャンルの誕生

この作品をVR映画と呼ぶべきかは悩みますが、スクリーン映画でもトリップ系の映画があることを考えると映像表現の延長としてVRでも制作されるのは普通のことと言えそうです。また、スクリーン映画より主観表現が得意なVRの方がこのジャンルに関しては適しているのかもしれません。

最近ではこのようなバーチャルトリップ作品が複数制作されており、映画祭でもいくつか紹介されています。

ヤン・クーネン監督は“アヤワスカ”のような体験者の感覚をより深い世界に引き込んでいく体験ができるのはVRだけだと言っています。スクリーン映画と同じ方法で作るのではなく、VRの特徴をよく考え、VRでしかできない表現を考え出しています。

作品データ

タイトル

AYAHUASCA – Kosmik Journey

ジャンル

アニメーション

監督

ヤン・クーネン

制作年

2019年

本編尺

約12分

制作国

フランス、ルクセンブルグ

体験できるサイト

Steam/1320円
VIVEPORT/1320円

Trailer

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