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テック 2018.11.11

触覚デバイスは“ドローン” ユニークな触覚技術が発表される

先日ドイツの大学に所属する研究者達が発表した論文「VRHapticDrones: Providing Haptics in Virtual Reality through Quadcopters」にて、ドローンでVR内の触覚を再現するVRハプティック技術のソリューションを開発に成功したことが明らかになりました。

研究に携わったのは、独ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン、ダルムシュタット工科大学、デュースブルク=エッセン大学、レーゲンスブルク大学、米ウェルズリー大学の5大学の研究者らです。

ドローン向けに開発されたプログラム

今回開発されたソリューション「VRHapticDrones」は、クアッドコプター向けに設計されており、空中に浮かぶドローンがユーザーの位置を検知して、リアルタイムでVR世界に存在するものに触れる感覚を再現します。

ドローンの接触部分に直接触ることで、VR内のコーヒーカップや椅子、野生動物までも感じられるとのことです。このシステムでは、モーションキャプチャシステムの「OptiTrack」と、モーションキャプチャカメラ「Flex3」を12台使用し、高さ4m×幅4m×奥行き3mの空間内を検知します。

3種類の異なる性質の動作

「VRHapticDrones」は、複数台のドローンを使用して、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)だけでなくユーザーの身体部分を1㎜単位での正確性さでトラッキングすることが可能とのことです。実験ではVRヘッドセットの「Oculus Rift」に、手と指をトラッキングするセンサー「Leap Motion」を取り付けており、空中に浮かぶ触覚ドローンが、ユーザーの動きに反応できるようになっています。ドローンは「Parrot Rolling Spider」が採用。接触部分にはさまざまな形をしたチュール素材を使用しています。

VR海底実験が行われる

開発チームは、

1)ユーザーが触れることのできる「パッシブ」
2)積極的にユーザーへ触れる「アクティブ」
3)ユーザーがアイテムを押したり掴んだりすることが可能な「プロキシ」

の3種類のVRハプティック反応の開発を試みました。

実験ではVRで海底が再現され、ユーザーが水中を探索していくと、様々な海の生物が現れます。ユーザーが現れた海水魚に触れようとすると、「パッシブ」ドローンがユーザーの正確な位置を把握して移動し、触覚を再現します。また、サメがユーザーめがけて突進してくると「アクティブ」ドローンが作動し、ユーザーへぶつかります。VR内の生物がユーザーへ接触する同じ瞬間にドローンがユーザーと接触します。「プロキシ」は、他のふたつの動作よりもよりユーザーがインタラクティブにVR空間を体験できるような「トークン」としての役割を持っているとのことで、実験では海中に出現するミミズを実際に掴み、持ち歩くことができました。実際にはドローンの接触部分を掴み、持ち歩いています。

多岐にわたる業界で活用が可能

開発チームはこのソリューションが様々な業界で活用されると確信していると自信を見せています。予想するユースケースについて次のようにコメントしています。

例えばゲームで使用される場合としては、「パッシブ」反応を用いてプレイヤーがドアを開けた瞬間、「アクティブ」反応を用いて奥から矢がプレイヤーめがけて飛んできて、その矢のトラップを制御するためには「プロキシ」反応を用いて仕掛けのレバーを下げるという風なことが考えられます。

私たちは他の業界も視野に入れており、建設業界やデザイン領域まで幅を広げていく計画です。例えば、自動車販売店であれば、「パッシブ」反応を使用して、顧客が新しく車を購入する前に体験を通して納得してもらうといった使い方ができるのではないかと考えています。

実験ではコントロールが複雑なため、未だドローンを1度に1台しか使用できていないとのこと。システム的には5台のドローンを操作できる可能性が見出されています。

(参考)VRScout
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