VRヘッドセットとPCとの接続を、USB Type-Cを使用する1本のケーブルに統一することを目指す新規格「VirtualLink」の開発が中止された模様と米メディアRoad to VRが報じています。
「VirtualLink」は、現在のUSBケーブルとグラフィック出力用ケーブル(HDMIまたはDisplayPort)を2本使う煩雑さを解消することが目的に、2018年に開発がスタートしました。プロジェクトには、NVIDIA、AMD、Microsoft、Valve、Oculus、HTCといった、主だったVRヘッドセットの関連企業が多く携わっています。
ただ、その後大きな続報は出ず、2019年1月にはValveが当時発売前だった「VALVE INDEX(バルブ・インデックス)」での対応取り止めを発表。また、リリース時には「VirtualLink」対応を謳っていたGPUのGeForce RTX 2060も、実際にはファウンダーズエディションなどを除き、専用ポートが実装されていないことが報じられました。
厳密なタイミングは不明ですが、「VirtualLink」の公式サイトが閉鎖されたことも確認されています。米メディアRoad to VRによれば、閉鎖は7月前後に行われたとのこと。同メディアは、先日発表されたNVIDIAの最新GPU「GeForce RTX 30」シリーズに、USB Type-Cポートが実装されていないことも、「VirtualLink」“終了”を補強する情報と解説しています。
唯一の対応ヘッドセットにも変化
2020年9月現在、「VirtualLink」規格を正式に実装しているVRヘッドセットは、チェコのスタートアップVRgineersが手掛ける「XTAL」のみです。同ヘッドセットは、8K解像度(片目4K)のディスプレイ、180度の視野角(FOV)、最大210FPSまで対応したアイトラッキングが特長。米空軍にも採用されています。
Road to VRは、VRgineersに対して「VirtualLink」関連の取材を行ったところ、現在の「XTAL」は、専用のアダプターによって通常の(非VirtualLink)ポートを使用する形式に変更された旨を告げられたと記載。加えて同社から「(VirtualLink)コンソーシアムは、活動が停止してから、ある程度の期間が経過している」とのコメントも得られたと説明しています。
以上のような状況から、「VirtualLink」の開発中止はほぼ確実と思われます。なお、2020年9月2日現在、「VirtualLink」側からの公式発表は行われていません。
なお、Facebookは一体型VRヘッドセットOculus QuestとPCをUSB Type-Cケーブル1本で繋ぐ「Oculus Link」を独自開発し、すでに提供しています。
(参考)Road to VR
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