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イベント情報 2018.11.28

世界から参加者が集まった日韓の3Dモデル即売会「VEXPO」現地レポ

バーチャル空間上に作られた会場での3Dアバター・3Dモデル即売会VEXPOが11月15日から19日まで開催されました。本記事ではこの「VEXPO」の現地レポートをお届けします。

「VEXPO」は韓国のクリエイターグループ「Korea VRChat Creator Group(KVCG)」主催の3Dアバター・3Dモデル即売会です。今回のイベントは日本のクリエイターら主催で8月26日に行われた「バーチャルマーケット」(以下Vケット)に影響を受けたものであり、本イベントには日韓から3Dモデラーが出展、国境を越えてVRでの交流が行われました。

今回は日韓合わせて30ブースが出展。会場では日本語、韓国語、英語の三ヶ国語での案内があるなど、非常にグローバルな即売会となり、日本だけでなく海外からの参加者も多く集まりました。

バーチャルマーケットに続く即売会、様々な個所を改善

VEXPOは主催メンバーがVケットに感化されて開催したこともあり、Vケットでいくつか指摘された点が改善され、参加しやすい即売会となっていたようです。

今回開催された会場はVケットよりは控えめ、2階建てのBOXワールドです。まずワールドに入った時に感じたことは「PCの動作が軽い」ということでした。Vケットではワールドに設置されたブースの影響で非常にPCに負荷がかかり、低スペックのPCでは参加することが不可能でした。

しかし、このVEXPOではブースが最初は非表示になっており、各自が見たいブースのみを表示することができるので
非常に動作が軽く、PCに優しい仕組みになっていました。


(ON・OFFのスイッチが全てのブースに用意されており、スイッチを押すことでブースが展開されるようになっている)

このスイッチの仕組みを利用した演出を施しているブースも多数見受けられました。スイッチを押すことでブースに仕掛けられているアニメーションが再生されるようになっており、まるで動く絵本のようにブースが組み立てられるのです。


(頭上から剣が降ってくると同時に舞台がせり上がってくる仕組み)


(一部のショップではスイッチを奥に設置しておき、起動すると小さな空間を展開して参加者を中に取り込む、というギミックも)

Vケットでは最初からブースが表示されてたことや、アニメーションが導入されていなかったこともあって、今回のアニメーションによるブースの展開はまた一段とバーチャル空間にいるということを思い知らされるものでした。

もしも、これだけのギミックを現実で行おうとすれば、出展側にも大きな費用や大規模な設備が必要になるでしょう。しかし、VRゆえにソフトと技術をうまく利用し、比較的低コストで実現できることが大きな武器となっているようです。


(アニメーションで裏路地のような場所が作られるブース。覗き込まずにはいられなかった)

また、いくつかのブースでは「小さなワールド」とも言っていいほど個性的な空間を作り出すデザインもありました。元々ブースについては販売物とは無関係であり、出展者の裁量でどんな簡単なものでも構わないことになっているのですが、Vケットに続いてVEXPOでは更に技術が詰め込まれているところは非常に面白く感じました。単純に見ているだけでも楽しいくらいです。

出展物の傾向について

今回のVEXPOは全世界のVRChatクリエイターを対象に開催予定でしたが、最終的には日韓のクリエイターによる出展となったようです。出展物はやはり3Dアバターが一番多く、また武器の3Dモデルが多く見られました。


(ガスマスクのアバター集団。アニメーションによって怪しげに動いていました)


(合同出展でブースを繋げ、大型のスペースで展示するクリエイターも。アバターの数も多く、人気を集めていました)


また、今回のVEXPO参加者の中でも「パーティクルライブ」の出展が話題となりました。Unityの機能にあるパーティクルシステムを使ってリアルな炎を再現したり、光の雨を降らせたり、あるいは空間を丸ごと書き換えるような演出を行うもので、これを音楽に合わせたものです。今回は屋上に出展されていた1点だけのようでしたが、多くの人々が集まっていました。今後の類似の即売会では、モデルに含まれるシェーダーや拡張エディタなども販売・展示されることが期待できそうです。

VRChat向けに作られる個人制作の3Dアバターや武器モデルの数は増え続けており、3Dモデルの少なかった今年の夏前と比較して、爆発的な普及を見せています。VEXPOのような人の目に留まる機会の多い即売会は広く期待されており、また個人モデラーにとっても見逃せないイベントになるでしょう。

一方で海外からの参加については「3Dモデルを個人で作って販売する・購入する」という概念がまだ薄いとのことで、これに大して主催グルーブは「多くの国に広めたい」と考えているようです。

今後はアジア以外の海外ユーザーの出展にも期待

筆者がVEXPOに参加してみて感じたことは、海外の人がアジア系の3Dアバター・モデルの即売会に非常に注目しているということでした。筆者は「VRChatの海外プレイヤーは(自分で)3Dアバターを作るという概念があまりない」と主催者から聞いたり、海外の販売サイトのモデルの少なさを意識する機会が多かったのですが、VEXPOの出展が日韓(=アジア)に偏ったのはこうした理由があるものと思われます。

一方で日本のVRChatプレイヤーは自作アバターを使用しているか、個人によって販売・配布されたアバターを使用していることが大半です。こうした環境はVTuberが流行を見せ始めた2017年末から広がりを見せ、2018年6月頃に一気に拡大して形成されたものとなっています。つまりたった半年足らずで出来上がった環境であり、これは海外を中心に「かなり珍しい光景」として見られているようです。


(非常に人気が高かった3Dアバター「Alcedo」)

海外のプレイヤーも可愛いものやアバターには非常に興味を示しますが、「自分で作る」というところまでは至らない様子。今後はより多くのメディアなどを通じ、3Dモデルの作り方やイベント自体が広まることで、本格的なグローバルの即売会に繋がる可能性も期待できそうです。

VEXPO主催者へのインタビュー

今回、MoguraVRはVEXPO主催メンバーへのインタビューを行いました。インタビューに答えてくれたのは主催者の一人である「MANKALO」氏です。

——日韓合同のイベントとして「VEXPO」を開催することになったきっかけを教えていただけますか。

MANKALO:
バーチャルマーケットの開催を見たのがきっかけでした。バーチャルマーケットを見て、モデルだけではなく、パーティクルやシェーダー、アニメーションなどを展示するイベントを、全世界対象に開催したいと考えたんです。

——国際色の強いイベントということもあり、色々な苦労があったことかとは思いますが、開催されていかがでしたか。

MANKALO氏:
そうですね、宣伝する場をうまく用意できなかったことや、各国別に宣伝する先が明らかに違うのは想定外でしたね。一方、至らなかったところもあるイベントだったのにも関わらず、皆さんが参加してくださったり、楽しんでくれたり、モデルやアバターを探しに来てくれたのはとても嬉しいです! 自分のアイデアだった期間限定のワールドパブリック化や、スイッチ式のブース、屋上のパーティクルライブがすごく好評だったのは良かったです。

——VEXPOの今後の展開などはありますか?

MANKALO氏:
VEXPO2019をもっとEXPOらしい、大きいイベントにしたいですね! VRChat Asiaの方との連携もしていきたいと思っています。他にもまだ確定してはいませんが、今後はアニメーション展示会なんかを考えています。

盛り上がりを見せるVR内即売会、次回は2019年に焦点

VEXPOは2019年夏から冬にかけて、第二回を開催する旨を発表しています。また、2019年3月には「バーチャルマーケット2」も開催されることから、1年を通して国内外双方で即売会が交互に開催されるようなスケジュールとなりそうです。

VRやVTuber、そしてVRChat等の人気を通してより盛り上がるVR内即売会。今後の動向や展示面でのパワーアップなど、目が離せないイベントになりそうです。


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