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VR体験施設 2018.09.30

灼熱も被弾も宇宙船の振動も体感してスター・ウォーズの世界に完全没入 VOIDのVR体験レポ

Oculusが9月26、27日の2日間開催したOculus Connect 5。The VOID社が世界中に展開しているロケーションベースVR(施設型VR)「Star Wars : Secrets of the Empire」が特別展示されていました。

フリーロームVRの雄「The VOID」の看板作品

The VOIDはVRの機運が高まった最初期から施設型VR、その中でも完全没入型の「フリーロームVR」に取り組んでいます。フリーロームVRは、複数人で広い空間を歩き回るVR体験です。ときに手に持ったデバイスを使ったり、風や足場なども体感しながら体験していくというもので、家庭ではまず体験できない圧倒的な没入感を実現しています。今でこそ国内外でも多くの施設型VRがありますが、その中でも特に人気を集めているジャンルがフリーロームVRです。日本国内では、「ドラゴンクエストVR」や「Tyffonium」、「Zero Latency」などが展開しています。

そのThe VOIDが世界的に展開することになったコンテンツが、スター・ウォーズの世界に入ることのできる「Star Wars : Secrets of the Empire」です。スター・ウォーズシリーズを手がけるルーカスフィルム傘下の没入体験開発チームILMxLABとの協力により、スター・ウォーズの世界に入り、世界を感じることのできる体験が完成しました。アメリカ国内に数箇所、ロンドン、ドバイ、マレーシアなどにも進出している世界でも随一のVR体験です。

本記事は「Star Wars : Secrets of the Empire」の体験レポートです。なお、筆者は以前アナハイムにあるディズニー・リゾート内の施設でも同コンテンツを体験しているため、2回目の体験になります。1回目よりも2回目の方が楽しめたこともあり、その違いも踏まえて考察していきます。

エピソード3と4の間を描く

ILMxLABは、スター・ウォーズの没入型コンテンツを専門で開発しています。同スタジオのコンセプトは、「ストーリーの中に人々を誘うこと」。すでに登場人物の動きが決まっていて展開を知っている映画の1シーンではなく、施設型VR用にオリジナルストーリーの体験を作り上げています。

「Star Wars : Secrets of the Empire」の舞台設定は、エピソード3と4の間で「ローグ・ワン」の前という位置づけ。反乱軍の兵士になったプレイヤーたちはキャプテン・アンドーの命を受け、惑星ムスタファにある帝国軍の秘密基地に潜入します。最大体験人数は4名です。

このストーリーを伝えられるシーンも何かを読むなどではなく、小部屋に入り眼の前にキャプテンからの通信(ビデオ通話)が入っているという体で臨場感豊かに伝えられます。ディズニー・ランドなどのアトラクションを彷彿とさせられます。

そしてスター・ウォーズ好きにとって何より嬉しいのは映画の登場人物や舞台が登場すること。キャプテン・アンドーは「ローグ・ワン」の主人公格ですし、惑星ムスタファは「エピソード3」でアナキン・スカイウォーカー(ダース・ベイダー)が師匠のオビ=ワン・ケノービと決闘した溶岩惑星です。記憶の中にある「あの場所に行ける!」と思うだけで一気にテンションが上がります

ミッション説明後に中に入ると作戦準備。バックパックPCを背負い、ベストを装着してヘルメット型のVRヘッドセットをかけます。VRヘッドセット「Rapture」は市販のいかなるVRヘッドセットとも似ても似つかないオリジナルのものですが、パートナー企業としてOculusが参加していることからもOculusの何らかの技術を使っていると考えられます。


(整備士を彷彿とさせる服装のスタッフが装着を手伝ってくれます)

体験内部は写真撮影禁止となっていたため、簡単な説明に留めますが、総評としては「非常によく練られた体験」だったということ。わずか10〜15分ほどの体験ですがスター・ウォーズの世界に行ってきた!と胸を張って言えるまさに完全没入できる完成度でした。

VOIDのポイント

没入感を深めるにVOIDではいくつもの工夫があります。

世界に没入する瞬間の演出

体験に使用するVRヘッドセットは装着時は上に跳ね上げることができるようになっています。最初の小部屋に入り定位置につくと、ヘッドセットを顔の方に下ろすように指示されます。下ろすと…突然隣に立っていたはずのプレイヤーがストームトルーパーに変わっていき、世界がスター・ウォーズの世界に変わります。まるでマトリックスを彷彿とさせる演出でした。

VRと現実の徹底的な連動

この体験では徹底して、体感の再現が重視されています。小部屋と通路をいったりきたり、小さな足場に乗ってエレベーターのように移動といったシーンが多くありますが、構造物は現実でも存在します。壁のある場所に手を伸ばすとそこには壁があり、座れと言われた場所にはベンチがあり、武器を取れと言われて立てかけてある銃に手を伸ばすと銃があります。

また、宇宙船に乗っているシーンでは床が轟音とともに振動します。ブラスターで撃たれたときも、振動ベストを通してピンポイントに刺激があるため、思わず声が出てしまうほど。(筆者が体験したグループでは、わざとお互いを撃ってベストを刺激させまくるという悪ノリが発生)。さらに驚くべきことに、溶岩惑星の屋外にでるシーンでは、確かに熱を感じました。温風を当てられるわけではなく、高温を発しているものからジワッと熱が伝わってくるあの感覚は非常に「溶岩のそばにいる」実在感を高めます。

狭い範囲を有効活用し、かなり移動している感覚

プレイスタート時は帝国軍のシャトルに乗りこむところからスタートします。その後昇降機に乗って移動したり…。実際は小部屋を小さく移動していたり、同じ道を生き返されたりしているのですが、体感の移動距離はかなりのものでした。

豊富なインタラクティブ要素

アトラクションということでインタラクティブな要素も多くあります。敵に見つかってからの銃撃戦や通信で助けを呼びながらボタンを押してのドアロック解除など。銃撃戦は敵の動きも比較的パターン化しているため単調になりがちですが、4人フルでいるとちょうど良いテンポになります。(筆者が1回目に体験したときは3人で体験したため、銃撃戦の時間が長くグダグダになりました)。

さらに、ボタンを押すためのドアロックのシーンでの体験が秀逸でした。映画でのよく出てくる「敵に撃たれながらのパスコード入力」というシーンです。筆者が1回目に体験しときは指示通りコードを入力するのに時間がかかってしまい、敵を撃退する時間が長引いて大変でした。今回は、一人のプレイヤーが「もういい!」と叫んで、ボタンのあるコンソールを銃で破壊、一瞬でドアロックが解除されました。この一連の流れは映画本編でハン・ソロがよくやる力づくで突破するシーンそのものです。パスコード入力のじれったさに加えて、短気なプレイヤーが破壊したときにも映画さながらにちゃんとドアが開くように設計されているそのデザインは脱帽ものでした。

日本上陸が待ち遠しい

最後に、スター・ウォーズならばお馴染みの敵キャラが登場し、対峙することになります。いくら撃っても刃が立たず、近づいていくる敵…絶望を感じた瞬間に助けのシャトルが登場し脱出となります。最後にはこれもお決まりのハイパースペース演出も。

短時間で非常に密度の高い体験ができることは間違いありません。スター・ウォーズが好きでなくても楽しめる非常に完成度の高いコンテンツです。

実際の施設では、1プレイ30ドル(約3,300円)。記念写真やノベルティの販売も行っています。日本への展開についてはまだ発表されていませんが、マレーシアへの進出などアジア方面にも施設を展開するとのこと。日本に来る日を楽しみに待ちたいところです。


(米アナハイムのディズニー・リゾートにあるVOID)


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