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業界動向 2018.08.30

“VRはゲームのため”という根強い思い込み ビジネス利用を促すための米企業の取組

公共事業から災害の初期対応まで、VRを用いたトレーニングは広く普及が進んでいます。その一方でいまだにゲームの延長という捉え方もあり、普及加速には課題が残ります。

米国でVRトレーニングを手掛けるスタートアップが、大手PCメーカーHPと提携し、VRを使った教育研修の拡大に取り組んでいます。

いまだゲームの1種という捉え方も

危険を伴わない環境でトレーニングが出来る、同じ練習を繰り返し行える、といったメリットから、VRを用いたトレーニングや研修は広がりを見せています。中には学校での銃撃事件の体験やケンタッキーフライドチキンの揚げ方をVRで学ぶなど、思いもよらなかった研修用途も出てきています。

こうした中で、デトロイトのスタートアップ、PIXO VR社は高品質の教育用VRコンテンツを、簡単に取り組めるワンパッケージで提供しています。

ワンパッケージで提供する方法は重要です。なぜなら、現在も多くの企業はVR導入に当たり、当惑や警戒、不安といった反応を示すことがあるからです。最近行われたあるケーススタディでは、企業がどのようにVR技術を活用するかという具体例を示してもなお、多くの企業は未だにVRをゲームやエンターテイメントの1種として捉えている、ということが判明しています。

組織に対して実行可能な道筋が必要

PIXO VRのCEO、Sean Hurwitz氏によれば、VRを使ったソリューションを組織や既存のトレーニングプログラムと統合する、実行可能な道筋が必要だということです。同社は最近HPと提携し、この道筋の提示を実現できるのではないか、と期待しています。

HPはVRのハードウェアへ注力を強めている企業の1つです。Windows Mixed Reality(MR)ヘッドセットだけでなく、VR対応のウェアラブルワークステーション「HP Z VR Backpack G1 Workstation」なども手がけています。HPのハードウェアを使い、PIXO VRのコンテンツを豊かなビジュアルと共に提供できると期待されています。

HPのVR・ゲーム部門代表、Spike Huang氏は、「VRにとっては優れたユーザーエクスペリエンスが不可欠だ」と述べています。

また「数十年も、人々はVRの果てしない可能性について夢想してきました。しかしどのように実行していくかについては、はっきりと分かっていませんでした。社会を変革する(VRのような)ものの導入にあたっては、『どこからスタートするのか?』というのが大事な問いです」とも話しています。

VRの可能性は広い

Huang氏によれば、災害の初期対応のトレーニングにVRを活用する試みの中で、必要コスト、リスク、効果、そしてパフォーマンスの指標は、全て劇的に改善されたということです。

「VRの可能性は広く、まだ実行されていない分野も多くあります。我々の責任は、ニーズに応えていくことです。(中略)VRトレーニングによって、グローバルビジネス分野において、我々が取り組めるニーズが数多く存在します」と同氏は説明しています。

現在も、VRと言えばゲームやエンターテイメントが脚光を浴びる側面もあります。しかし投資対効果を見れば、ビジネス分野でもVRのハードウェア・ソフトウェアへの投資が継続していくでしょう。そして次第に、教育とゲームの境界は曖昧になっていくかもしれません。

(参考)VRScout
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