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業界動向 2023.06.02

会計からクラウド、そしてXRとメタバースへ とあるIT企業の社長が語る共通点

※本記事は、2022年2月に実施したMogura VRのクラウドファンディングにて【あなたのことを記事にします!プラン】にご支援いただいた方を紹介する特別記事です。

「VR元年」と呼ばれた2016年、VR/AR/MRをまとめた「XR」という言葉が注目された2017年、VTuberが爆発的なブームとなった2018年。

3年以上続くコロナ禍を経て、2022年には「メタバース」という言葉が、世界で急速に広まりました。

関連する技術、カルチャー、ビジネスが大きく注目を集めるなか、大規模で多様なデータを扱うサーバーサイド・エンジニアの重要性は、ますます高まるばかりです。

今回紹介する「おっち社長」は、「ビッグデータ」が世間に知られる前からフリーランスのクラウドエンジニアとして活躍。2018年に法人化し、このほどワンストップの超高速メタバース構築サービス「テックウェイ・メタビューン」をリリースされました。

「あなたのことを記事にします!プラン」でこれまでのキャリアを伺ったところ、なんと、そのルーツは「簿記」にあるそうで――。

ーーまずは自己紹介をお願いします。

おっち社長:
テックウェイ株式会社の社長をしている瀬尾博文と申します。個人事業で2013年からクラウド開発をはじめ、2018年に法人化、会社は2022年で4期目となります。クラウドが専門で、AWSやAzureなどを使ってXR/メタバースのバックエンドを提供しています。

ーークラウド一筋なのですね。

おっち社長:
実は学生時代には、もともと税理士を目指していたんですよ。簿記1級を取ったり、簿記や財務諸表論、酒税法を勉強したり……。

ーーそこからIT系!?

おっち社長:
その当時は80年代後半、まだインターネットはありません。汎用機と業務ソフトの時代です。ちょうど、業務ソフト向けに会計がわかるアルバイトが募集されていたんです。1990年前後のバブルの頃ですね。なので、プログラムを覚えて組みたい設計を組みました。二十歳そこそこで時給3000円もらえたんですよ。

これからはコンピュータの時代だ!と思って飛び込んだのと、プログラム自体にも楽しさを感じていました。会計の勉強も「足し算だけでできて美しいな」と感じました。暗記物は嫌い。でも証明は好き。数字の積み上げに美しさを感じる性格なんです。

その後、Y2K(編注:2000年問題)とかバブルもありました。職業プログラマとして、東京で徹夜上等の生活をしながら、技術を磨いていました。

ーーその頃は企業に雇用されていて起業しようとは思わなかったんでしょうか。

おっち社長:
起業の誘いはたくさんありました。ただ、勤め先の社長が儲けすぎてしまって、不動産投資でバブル崩壊にやられていたので、起業はちょっとね、と思っていました。

その後はフリーランスとして誘われるがままに自由に暮らしていました。超大手企業の技術講師もしました。教えるのが得意だと自覚しましたね。そこで教育にも興味を持ちました。フリーランスの頃に妻と結婚しています。手話ボランティアで出会ったんです。

ーー人とは関わり続けてきたんですね。

おっち社長:
コミュニケーションは好きですね。時代が流れてIT業界もそれほど美味しくなくなってきたとき、ERPやSAPの資格を取りながら、大手の原価計算のコンサルをし、バブルとか無関係で割と個人的には調子が良かったです。

そしてその後、フリーランスでRuby開発をして、前職に誘われ、AWSの仕事をすることになります。そこからずっとAWSです。さらにUnityのエンジニアに誘われ「これからはAR/VRだよ」という話になって、VRの世界に夢中になりました。だから自社で『テックウェイ・メタビューン』に取りかかりました。

会計コンサルの頃はITと会計が強みでしたが、いまはクラウドとゲームが強みです。


(2022年12月にリリースされたテックウェイ・メタビューン」)

ーーXRの新しいSDKが出ると早速触っていたり、アバターも自身のものを作っていらっしゃいますね。

おっち社長:
自分が触ってみて何を伝えたらいいか肌感覚で掴みたいと思っています。UnityでVRゲームを作ったりもしました。

ーーなかなか興味深いご経歴ですが、会計からITに飛びこんで苦労はなかったのでしょうか。

おっち社長:
簿記脳とIT脳が違うというのが大きな挫折です。自分としてはコンパイラも買い、試行錯誤していたのですが、難しすぎるといいますか、知的な負荷がかかりすぎていました。ある機能を実装したいとき、ロジックが浮かばないことがあるのです。

紆余曲折を経て、AWSを触るようになり、今に至ります。テストチームを立ち上げ、2週間で書籍を5冊読み、電気通信大の先生を巻き込んでチームを立ち上げました。結果として、テスト設計コンテストにてアンダー部門で全国優勝したんです。

ーー周りも巻き込んでそこまで持っていった、と。

おっち社長:
“つながる力“は強いと思います。自分とご縁があった人達に成功体験をさせてあげたい。息子もクラウドエンジニアなのですが、社員や息子にも、成功体験を、と。教えるのが得意なので、インプットで”点”を与えて、経験で“線“にするんです。そしてその線が、優秀な人に負けない忍耐力の”面”となってくれます。

技術はセンスじゃないと思っているんです。答えを教えないという厳しさ。自分で調べること。そして、進む方向だけ見つけて、自分で答えを見つけてもらうことを心がけています。

自分で考え、夢を持ってもらって、考えてもらいたい。そんな風に思っています。

ーーそういう意味では、XRやメタバースという領域はまだ答えのない”これから”な領域ですよね。

おっち社長:
ざっと見渡してみると、まだまだビジネスにならなくて苦労している会社も多いのではないかと思います。大手企業のPoCの案件は多いと思いますが、その先に繋がっていくかどうか。個人的にはこの分野はすごく面白いのでもっと広がってほしいと思っています。業界の会社の皆さん、真剣にピュアにやってる方が多いですよね。クラウドのときも同じで、手弁当でもいいからという雰囲気もあったわけです。そんな中でS3(編注:Amazon Simple Storage Service)が登場して、クラウドサーバーをより使いやすくする流れが来て、一気にクラウドが広がっていった。XRやメタバースも今はまだそんな流れの前なんでしょうね。メタバースといっても2Dではまだ何か違う。やっぱりHMDを被って体験するものが主流にならないと、と思うわけです。

そして広がる前はクラウドもまだどう使われるかわからない中やってたわけです。今は当初予定していたのと全然違う使われ方をしている。VRもそうなんだと思います。

VRやARの先になる現実とバーチャルをつなげるコンセプト、たとえばMicrosoftのMeshなどが実際に使えるようになったらすごいですよね。この領域はそんなワクワクすることばかりで、何時間でも話せてしまう。これからも積極的に取り組んでいきたいと思います。


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