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企業動向 2024.12.24

ARグラス時代に向けてNianticが目指す3D地図データ整備 3Dスキャン×AIで未撮影部分を推測

Nianticは11月にAIを活用した大規模な地理空間モデル(Large Geospatial Model:LGM)の構築を目指す旨を発表しました。同社によると「LGMは現実世界の部分的なスキャンデータから、過去のスキャンデータから空間を理解し、未撮影の部分を推測できる」AIモデルです。

LGMは、言語モデル(LLM)が文章を理解・生成するように、物理的な空間を理解・ナビゲートする能力を持ちます。LGMは、世界中から収集された何十億もの位置情報付き画像を学習データとして使用し、空間や構造、物理的な相互作用の理解を可能にします。

従来の3Dビジョンモデルと異なり、LGMは地理的な位置に紐付けられた3Dエンティティ(編集注:一連のデータのまとまり)を扱い、メートル単位での正確な推定が可能です。また、単なる3Dアセットではなく、次世代の地図として機能し、世界中の何百万もの場所との地理的な関係性を理解することができます。

Nianticは現在、Visual Positioning System(VPS)の一部として、世界中で1000万以上の場所がスキャン場所として指定されており、アクティブにスキャンが行われています。現在は週に約100万件の新しいスキャンデータを受け取っていると明らかにしています。これはNianticが展開する「ポケモンGO」の3Dスキャン、3Dスキャンアプリ「Scaniverse」マップ機能などで収拾が進んでいると考えられます。

Nianticは、これらのデータを活用し、5000万以上のニューラルネットワークを訓練し、1500兆以上のパラメータを最適化。LGMの構築及び実用化を目指します。

Nianticは、このLGMを通じて、物理世界とデジタル世界を融合させた新しい空間コンピューティングの実現を目指すとのこと。具体的には「ARグラスとの統合による、より自然な空間ナビゲーションや情報提供」「3D表現の生成、補完、操作による次世代ARエクスペリエンスの構築」「空間計画、デザイン、物流、観客エンゲージメント、遠隔コラボレーションなどへの応用」等を実用例として挙げています。

同社は「今後、ARグラスなどのウェアラブルデバイスが普及するにつれて、LGMは世界の新しいオペレーティングシステムとして重要な役割を果たす」とコメントしています。

(参考)Niantic


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