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ゲーム・アプリ 2019.04.27

VR Kitで遊べる「スーパーマリオ オデッセイ」「ゼルダBotW」VRモードレビュー

任天堂株式会社は4月26日、Nntendo Switch(ニンテンドースイッチ)向けゲームソフト「スーパーマリオ オデッセイ」「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(ゼルダBotW)」を無料アップデートし、VRモードの追加を行いました。

MoguLiveでは、アップデート当日に「スーパーマリオ オデッセイ」「ゼルダBotW」のVRモードを体験。本記事では、この2作品のVRモードについてレビューします。

補足:「マリオ」と「ゼルダBotW」をVRで遊ぶには

任天堂は4月12日、ダンボールを組み合わせることにより、工作と体感型のゲームが楽しめる「Nintendo Labo」シリーズの最新作として「Nintendo Labo: VR Kit(ニンテンドーラボ ブイアールキット)」を発売しています。

https://www.youtube.com/watch?v=xSGhGDUD6B0

この「VR Kit」に含まれている「VRゴーグル」を使うことで、上記の2作品をVRで楽しむことができるようになっています。

スーパーマリオ オデッセイ:「オマケ」としては十分アリ、コンパクトな小品

本作の公式サイトでも紹介されていますが、専用のコース内に置かれた「音符」を集めて「楽器」を手に入れ、それを各所にいる演奏者へと渡してライブの楽団員を集めていく、という楽しみ方が可能になりました。タイトル画面、及びゲーム中のポーズ画面に追加された「VRであそぶ」を選択することで、こちらの遊びをプレイできるようになります。

コースは「帽子の国」と「海の国」、「料理の国」の三つ。好きなところから始められます。ただし、ゲーム本編で訪れていない国は選択できません。もし本編が序盤辺りまでしか進んでいない場合は、一旦そちらを進めておくことをおすすめします。

コース内には三つの「音符」が隠されています。音符をゲットしたらさらに複数の音符が現れるので、こちらも全て回収。すると「楽器」が出現します。「楽器」はYボタンで持ち、そのままコース内に居る演奏者に近づけば楽器が渡され、楽団員が一人増えます。最終的に三人の楽団員が集えばコースは終了。各コースで三人の演奏者を楽団員に招き入れると、四つ目の「ライブハウス」が解禁されます。

これは本編にもある「都市の国」の施設で、これまで集めた楽団員と共に、ポリーン市長によるライブをVRで視聴できるようになります。ライブが終わると、その時点で本モードの大体の内容は終了です。以降は三つのコースで100枚のコインを集めることに挑戦したり、オープニングとエンディングのデモシーンをVRで見たりして楽しむ形となります。

規模は小さいが、モードの内容はそれなり。酔いも少ない

率直に言えば、このVRモードの規模は「オマケ編」といった程度です。メインコンテンツとなっている演奏者探しも、当人達と音符の位置はコース全体を眺めればすぐに分かりますし、敵も出現せず、トラップもないのでスムーズに進みます。演奏者を集め終えた後の100枚コイン集めも、本編ほど難しくもなく、あっという間に集め終えられるほど。コースが三つしか無いので、全要素をやり終えるだけでも1時間はかかりません。ゲームとしてのやり応えを求めると肩透かしを食らってしまうでしょう。

しかしながら、VR体験はそれなりに良好。「ASTRO BOT」のようにコース全体を俯瞰しながらプレイするスタイルというのもあり、(個人差はあるものの)いわゆるVR酔いの心配もなく楽しめます。筆者の場合は全く酔いを発症しなければ、休憩を挟むこともなく全要素を網羅するところまで遊べました。数分ごとに画面が暗転、休憩を促す表示が出る機能も備わっていますので、止め時も作りやすいです。

他のNintendo SwitchのVR対応ゲーム同様、映像の解像度は低め。しかし「マリオ」は本編同様にフレームレートは60fpsを維持しているほか、SD解像度ながら綺麗なグラフィックを実現していた「スーパーマリオギャラクシー(Wii)」に近いレベルに収まっているので、映像を見ている際の違和感はさほどありませんでした。

さらにこのモードはVR無しでも遊べるようになっていますが、Nintendo Switch本体を大きく・直接動かす必要があります。VRであれば視野が広がる関係で、小回りで動かすだけでコース全体を見渡せます。特に手前、空の上を見る時は圧倒的にVR有りのが見やすいと感じました。

先ほども書いた通り、ボリュームは「オマケ」的な内容なので、やり尽くすまではあっという間。他にライブは本編「都市の国」の「フェスティバル」ほどの派手さも、アクションゲーム的な仕掛けもなく、ライブハウス内で楽団員とポリーン市長が演奏する様子を眺めるだけなので、結構味気ないな、と感じてしまいました(ライブハウス内に隠れた「ネコマリオ」と「ネコピーチ」を探すオマケこそありますが)。VRで見れるオープニング、エンディングのデモシーンも迫力十分ですが、前者はクッパの台詞が表示されない状態になっていたりと、少し抜けを感じるところもあります。

総じて「このモードのためにVR Kitを買う」のはオススメしにくいものの、「VR Kitのオマケとしてプレイするなら十分アリ」な範囲。VR酔いもあまりなく、VR無しとVRモードとで遊びやすさに変化が出る、という体験ができるでしょう。

余談ですが、「スーパーマリオオデッセイ」本編も、今までのマリオと打って変わった舞台と演出が盛り沢山の傑作に仕上がっていますので、Nintendo Switch本体をお持ちで未プレイならぜひ。筆者としては、「滅びの国」のボス(※上画像)をVRで体験してみたかった……。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド:カメラ移動に難あり、リンクの前に立ちはだかる「VR酔い」

続いて「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(ゼルダBotW)」。ゼルダBotWでVRモードを使用するには、メニュー画面のオプションから「VRゴーグルを使用する」に切り替え、Nintendo Switch本体をVRゴーグルに差し込むことでプレイができます。

カメラは三人称視点で、 Switch本体のジャイロ機能を使って周りを見渡すことが可能です。VRモードはオプションからいつでも終了することができ、ジャイロ操作も必要なければ切ることができます。

左右の手にコントローラーを持つPC向けのVRデバイスと異なり、ゼルダBotWのVRモードではSwitch本体が差し込まれたゴーグルを両手で支えながらプレイします。長くプレイしていると休憩を促すメッセージが表示される仕組みです。

もともとゼルダBotWはテクスチャの描き込みは少ないものの、鮮やかな色彩や光の表現により、冒険の舞台となるハイラルは美しく描かれていました。VRモードはどうしても解像度が低くなってしまうため、遠くにあるものなどは粗く表示されますが、近くのものはある程度細かな部分まで見ることができます。カメラを見回すことで、聖堂や朽ちたガーディアンなどを目の前で体感できるでしょう。

ムービーシーンはVRに非対応なものの、映画のスクリーンのように目の前に広がります。大画面での冒頭「始まりの台地」のムービーシーンには、十分な迫力を感じました。

課題を残した“VR酔い”の激しさ

一方で、ゲームプレイ中は(個人差はあるとは言えど)「VR酔い」が起きやすく、早い段階でかなり酔いを感じるなど、大きな課題を残しています。「ゼルダBotW」ではVRゴーグルでの首振りがカメラに対応する以外にも、オートカメラやスティックでのカメラ操作も行えますが、ちょっとしたカメラ移動だけでもVR酔いを感じてしまう場面も。カメラ操作の際、主人公リンクの真上にカメラを持ってくる際、プレイヤーの視点がそのまま上に移動するため、VR酔いの原因となりやすい「身体の動きと見ている映像の動きが合っていない、強い違和感」を感じます。ジャイロ機能を切ることでゴーグルとカメラとの連動を止めることも可能ですが、切った状態のカメラでも酔いを感じることがありました。

改めて「Nintendo Labo:VR Kit」に収録されているゲームや、同時にVR対応した「スーパーマリオオデッセイ」ではVR酔いをあまり感じることなくプレイができたことを考えると、“酔い”はゼルダBotWのVRモード自体の課題ではないかと思います。長い時間のプレイだけではなく、短い時間でも負担となる場合があり、フレームレート、三人称視点、解像度、カメラ移動など、既存の遊びをVR化する際に解決すべき部分を意識させるものとなりました。

その他、気になる部分として、体力(ハート)は画面左端にあるため把握がしづらいことが挙げられます。体力が3つのうちはほとんど画面に収まらないため、いざというときの不便さも感じました。また、望遠鏡などの主観モードもVRには非対応です。

公式ブログでは「気になるものがあった時にVRゴーグルで覗いてみる。といった遊び方がオススメです。」とありましたが、気になったものがあったときのみVRモードを起動させ、酔いを感じるなら無理をしないのが適切かもしれません。

Nintendo Labo: VR Kitについてもっと知りたい人へ

Nintendo Labo: VR Kitの開封・組み立てレポート、およびToy-ConやVR Kitで遊べるゲームレビューは、以下から読むことができます。


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