ホロライブの『ノンストップ・ストーリー』やにじさんじの『Virtual to LIVE in 両国国技館 2019』など、VTuberの大型イベントが押し寄せた激動の年末年始に、1人のVTuberがデビューしました。
「げぼ無職!」「その日暮らしおじさんたちです!」「金がないおっさんが6人も集まってしまったんじゃあ!」「無職! 金なし! 髪型変! 息臭い! なんのために生きてるのー!?」など、『龍が如く7』ゲーム実況中にキレッキレのツッコミを連発。オムツ姿で赤ちゃんプレイを楽しむおっさんたちが登場するシーンで登録者数10万人を突破し、「こんな絵面で10万人!? 最悪じゃぁん!!」と叫ぶなど、デビューわずか2ヶ月にして視聴者に強烈なインパクトを残しています。
彼女の名前は桐生ココさん。本記事では、今一番注目を集めているVTuberと言っても過言ではない彼女の魅力とは何か、紹介します。
独特な言語感覚を持つ、ホロライブ4代目会長
Hey guys and girls and all human beings!!🐉
はじめまして!桐生ココです。
ホロライブ仲間に入門です!
人間の言葉と、日本語、今は勉強をしていますから、あふれるこの気持ちを助けてくださいね。
本職はドラゴン🐉カタギ
よろしくお願いしました🤲#桐生ココ#ホロライブ#Vtuber#拡散希望 pic.twitter.com/6mNes317aF— 桐生ココ🐉@ホロライブ4期生 (@kiryucoco) December 25, 2019
桐生ココさんは、ホロライブに所属するVTuber。同事務所の4期生として、12月28日にデビュー配信を行いました。
https://www.youtube.com/watch?v=0ngDDHw45AM
異世界で産まれたドラゴンがある日、「人間たのしそう」と人間界へ。人間と交流を育み、日本へ語学留学していたそうですが、ある日、空から「指定ぼうりょく団ほろらいぶ(原文ママ)」へと墜落。そこでYAGOO社長に声をかけられ、働くことになったそうです。
自己紹介では若干イントネーションに特徴のある日本語と流暢な英語であいさつしたことから、「英語ネイティブの愛らしいドラゴン娘」という第一印象を持った人も多かったのではないでしょうか。
しかし、公式プロフィールに「仁義と任侠を重んじる正義感あふれるドラゴン」との記載があったことも忘れてはいけません。若干たどたどしく聞こえていた日本語も、同じ4期生である天音かなたさんの通信環境を「クソダサ回線」と名付けたり、角巻わためさんを煽る際には「ひつじ公」と呼んだりと、過激な発言をするときは驚くほど流暢に。「資金洗浄」という聴き馴染みのない単語や「みなさんは生でいろんな女を体験しているから」といったギリギリな発言が飛び出し、視聴者を驚かせました。
案の定(?)、桐生ココさんの愛称は「会長」に決定。ファンネームの候補には「構成員」「舎弟」などの言葉も並んでいましたが、最終的には「たつのこ」に決まります。
https://www.youtube.com/watch?v=q4KXbpc0OOE
翌々日には「みかじめ雑談」と題して、ホロライブの先輩・星街すいせいさんをケツモチ(※「毎月お金をもらう代わりに、何かトラブルがあったときに出てくる保険会社のようなもの」by ころねの裏社会講座 1/28回より)に据えての初の雑談配信を実施。英語も日本語も堪能なバイリンガルとしての語学力を示しつつ、独特かつ秀でたトークスキルで雑談を展開していました。
見た目の愛らしさ以上に任侠に殉じる過激派ドラゴンとしての個性が、視聴者を夢中にさせています。
「あさココLIVE」の3つの魅力
ココ会長の魅力を語るにあたって「あさココLIVE」の存在は外せません。「あさココLIVE」とは、ココ会長がキャスターを務めるニュース番組。20分程度の尺で、平日の毎朝6:00から絶賛放送中です。早朝の生放送であるにもかかわらず、YouTubeの同時接続数は10,000人オーバーが当たり前。時には20,000人を超えることもある人気番組です。
では、なぜ「あさココLIVE」は人を惹きつけるのでしょうか。3つのポイントが挙げられます。
① ホロライブ内のおもしろニュースを本格的に紹介
あさココLIVEは「ニュース番組」として本格的な構成になっており、取り扱うニュースの多くは「速報」。放送数時間前の深夜の出来事について取り上げることもしばしばあり、プロ意識を感じられます。
ニュースではそれぞれ「悲報」「クソザコ速報」「廃人速報」などと銘打たれ、主にホロライブ所属VTuberにまつわる出来事を紹介しています。有識者C氏(3500)の解説と視聴者コメンテーターのツッコミを挟みつつ、テンポ良く進行。キャスターであるココ会長のトーク力は言わずもがな、有識者C氏の時流を捉えた解説は勉強になります。
デキるサラリーマンはあさココLIVE見てるってマジなのですか???
— マキオ💛にじそA07 売り子 (@makio_elecom) January 10, 2020
そのような報道姿勢から「できるサラリーマンはあさココLIVEを見ている」ともっぱらの評判。筆者自身、あさココをキメるようになってから、収入が増えました(※実話です。生活習慣が改善され、作業効率が格段にアップしました)。原稿作業で眼精疲労に悩まされがちな自分は「さすタイプのあさココ」にお世話になっています。
② 役立つ知識も学べる? ミニコーナー
ニュースだけでなはく、ミニコーナーやCMも充実しています。1日1フレーズ学べる英語教室、専門知識を得られる解説コーナー、便利な生活用品を紹介する通販CM、朝食にぴったりの3分クッキング、天気予報など多種多彩です。
英語教室を姫森ルーナさん、裏社会講座を戌神ころねさんが担当しているほか、通販CMには角巻わためさんを中心に、ホロライブ所属VTuberが数多く登場。4期生にとどまらない、ホロライブメンバーの寸劇を見られるコーナーとして注目を集めています。その他にも、視聴者投稿のファンアートや漫画が番組内で採用されることもしばしば。あの手この手で視聴者を楽しませようというこだわりが感じられます。
こうした企画はあさココは会長自身のファンを増やすだけでなく、ホロライブの認知度向上や、熱心なファン層の強化に結びついているといえるでしょう。実際、視聴者の感想を検索すると「あさココきっかけでVTuberを見るようになった」「一部しか追えてなかったけどホロライブ箱推しになった」といった感想が少なくありません。
③ さまざまな業界を巻き込んでいく報道力
ニュースの影響はホロライブ関係だけでなく、さまざまな界隈に広がっています。「任侠カフェ」のクラウドファンディングを始めた懲役太郎さんにカフェのメニューを提案してコメントをもらったり、話題の海外VTuber・Melodyさんを紹介したり。特にMelodyさんについては、あさココで取り上げたことでフォロワー数が急増。その翌日にはすぐに取材してインタビュー映像を流すなど、あさココの影響力と取材力の高さが窺えます。
また、2020年に入ってから各所で問題になっていたVTuberの収益化剥奪問題についても取材。ホロライブ所属メンバーの収益化回復のために働きかけてくれた海外YouTuber・TheQuartering氏からメッセージを入手し、番組内で流しています。(詳しくは、2/3のあさココ)
以上が、あさココLIVEの魅力となりますが、ひとつだけ問題もあります。それが「ヤバいほどの依存性がある」ということです。
なんと、あさココが週末休みであることを嘆いた視聴者たちが早朝からTwitter上で発狂。「朝なのに会長の声が聞けなくてつらい」「あさココのない週末は虚無」「あさココ不足で手が痙攣してる」などと書きこみ、阿鼻叫喚の様相になったのです。その結果「#あさココ禁断症状」のハッシュタグがトレンド1位を獲得しました。(あさココは、用法用量を守ってキメましょう)
このような定期配信をほぼ毎日欠かさず継続しているところからも、彼女の本気がうかがえます。彼女の魅力は、過激で破天荒、ハイテンションなゲーム実況で視聴者を楽しませる点だけでなく、コンテンツに対するこだわりやひたむきさにあるといえるでしょう。
#とまらないARK
彼女発のムーブメントはこれだけではありません。リスナーのみならず、同じVTuberの間でも、会長を発端とした流行が生まれ続けています。そのひとつが『ARK』の実況配信です。
もう一度告知!23時から、ARK survival evolved というゲーム配信しますね!
どんなゲームか知らない人は、リアルにしましたマインクラフトの恐竜時代版だと思ってください🐉
恐竜は敵!でも、仲間にもできる!#桐生ココ#ココここ #ココARK▽まずは裸から始めましょう▽https://t.co/C5tGlo7tGe pic.twitter.com/3HhS9oa2vN
— 桐生ココ🐉@ホロライブ4期生 (@kiryucoco) January 19, 2020
『ARK: Survival Evolved』は、2015年発売のオンラインサバイバルゲーム。最大100人で遊べるオープンワールド型のゲームであり、『Minecraft』のように建築やクラフトが可能。舞台となる島には大小様々な恐竜が暮らしており、狩猟はもちろん、飼い慣らすこともできます。
このゲームが大好きだというココ会長は、そのおもしろさを布教するべく、ホロライブサーバーを自前で開設。1月下旬には先輩たちを含むホロライブメンバーが参戦し、最初の数日は「上空腕組み指示厨ドラゴン」として会長自ら遊び方を教えていました。
ところが、この『ARK』が、ココ会長も予想だにしなかったレベルで大流行。特に宝鐘マリンさん、湊あくあさん、兎田ぺこらさんらは視聴者に「ARK三大廃人」と言われるほどに、このゲームにのめり込みました。
やがて他のホロライブメンバーにも広まった結果、「2/3に『ARK』配信をしたホロライブメンバーの配信時間を合計すると、38時間以上になる」という、驚きの数字が伝えられました。「ARKで生活、現実にログイン」といった名言も生まれています。現在はホロライブだけでなく、にじさんじや個人勢もプレイしはじめるほどの盛況ぶりです。このように、彼女はVTuberのゲーム実況にも大きな影響を与えています。
アイドルへの道ははじまったばかり
そんな破天荒でアグレッシブなココ会長ですが「歌」については当初から自信なさげ。「『カラオケに行こうよ!』と誘われたら縁を切る」というレベルで苦手らしく、デビュー後もずっと歌配信を避けていました。
しかし、収益化解禁配信でついに、何万人もの視聴者を前に歌を披露。途中、笑いすぎて歌えなくなる一幕もありましたが、その歌声に視聴者はチャットで喝采を送っていました。
また、収益化到達祝いも相まって、とてつもない額のスーパーチャットが飛び交い、実況用ハッシュタグは世界トレンド1位を獲得。同時接続数はなんと4万人オーバーという個人単位での配信としては、驚異的な数字を叩き出しました。
「まだデビューしたばかりだから、これから歌がうまくなる。つまり、みなさんが育成をできるアイドルとして……だから、がんばらせてほしい。練習して、がんばってうまくなるから、だから、練習する時間をちょっとください!」
「歌がすっごくうまくなって、絶対いつかステージに立って、歌いながら踊って、みんなを感動で、ションベンちびらせてやるんだからな!?」
桐生ココのアイドルへの道はまだまだはじまったばかりです。影で人一倍がんばっているだろう彼女が、これからもノンストップで突っ走っていけるよう、いちファンとして見届けていきます。
執筆:けいろー