リサーチ会社のIDCが2023年第一四半期のAR/VRヘッドセット市場概況を発表しました。ソニーがシェアを伸ばすも、全世界出荷量は54.4%減（前年同期比）に。IDCはこの数値を、景気後退や市場の冷え込みの影響と見ています。
（出所：IDC）
IDCが「Worldwide Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Tracker」を発表しました。ARおよびVRヘッドセットの2023年第1四半期（1Q23）の全世界出荷量は年対比で54.4%減少、その内96.2%をVRヘッドセットが占めるとしました。
この大幅な減少は、昨年見られたパンデミック需要のピークに比べた結果であり、マクロ経済環境の悪化や市場の冷え込みも影響しているとしています。
依然Metaがトップに位置するも、変化の兆し
トップ5のAR/VRヘッドセットメーカーの中では、Metaが47.8%のトップシェアを保持し続けていますが、2023年2月にPSVR2を発売したソニーが市場シェアを大きく奪うかたちで35.9%確保。ByteDance（Pico）は新製品により4.4%から6.1%へとシェアを伸ばし、DPVRとHTCはそれぞれ2%未満のシェアを獲得しています。
市場全体を牽引するのはVRヘッドセット（*1）ですが、ARヘッドセット（*2）は23年1Qに対前年比で12.6%増と、堅調な成長を遂げています。ARヘッドセット市場は、Nreal（現：Xreal）のような、接続デバイスの外部ディスプレイとして機能するシンプルなヘッドセットが牽引する一方、より高度なヘッドセット（*3）は、主にMicrosoftの苦戦により今四半期中も伸び悩んでいるとしました。
*1：IDCは「ユーザーの視界を遮るもの」と説明。
*2：「透明または半透明ディスプレイを持つもの」と説明。
*3：「同時ロケーションとマッピング（SLAM）および3Dオブジェクト操作が可能なもの」と説明。
リサーチ担当は「Appleのシェアは、当面は限定的」「2025年頃の新デバイスに期待」
IDCのリサーチマネージャーであるJitesh Ubrani氏は、「最近のダウンターンにも関わらず、新規参入や次世代のヘッドセットが今後数週間から数ヶ月でロールアウトすることが予想されているため、AR/VR市場は非常にエキサイティングな時期にあります。ソニーがMetaの主要な競争相手として再登場した後、注目はまだヘッドセットを発表していないAppleに集まっています。Appleの大規模な既存製品とサービスは、同社のヘッドセットを他のAR/VRベンダーと差別化するのに間違いなく役立つでしょう。しかし、噂されているプロシューマー向けのアプローチと高額な価格設定のため、Appleのシェア増加は短期的には限定的となるかもしれません」とコメント。
同社のモバイルデバイスとAR/VRのリサーチディレクターであるRamon T. Llamas氏は、「現在AR/VRヘッドセットに登場している新機能は驚くべきもので、初めて見る人には魅力的に映るかもしれませんが、これらは進化し、最終的にはユーザーに広く認知されるようになります。アイトラッキングや環境センサー、AIによる体験やソフトウェアの可能性 – これらは今日ではまだ初期段階にありますが、より一般的になり新しいユースケースを刺激します。2025年頃に出現するAR/VRヘッドセットは、今日のヘッドセットを古く見せることでしょう」と述べ、複数の企業から新しいデバイスが登場している一方、AR/VR市場はまだ重要な開発段階にあるとしています。
（参考）プレスリリース
