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MoguraVR

2016.03.24

HTCが満を持して送り出すHTC Viveによる「最高のVR体験」。VR担当副社長レイモンド氏インタビュー

2015年3月の電撃的な発表以来、海外のVR業界で存在感を増しているVRヘッドマウントディスプレイHTC Vive。PCにゲームプラットフォームSteamを運営するゲームメーカーValveとHTC社が共同開発した製品です。先行して注目を集めていたOculus Riftから大幅に遅れての登場となりましたが、海外の展示会等では数多くのデモに使用されています。また、VRコンテンツの開発側でも、HTC Vive対応のゲームも増えてきました。

2月29日(日本時間3月1日)から予約を開始しており、出荷は4月5日から。米国では799ドル(日本国内では12万円弱)の価格設定で、初回生産分が売り切れ、出荷時期は5月となっています。

Oculus、SCEと並び高品質なVR体験を追求する姿勢を打ち出しています。GDC2016では、HTC本社でVR部門の担当副社長を務めるレイモンド・パオ氏にインタビューを行いました。

HTC Rayond

増え続けるローンチタイトル

――2月29日からHTC Viveの予約を始めて、感触はどうですか?

レイモンド・パオ氏(以下敬称略):
具体的な数をお伝えすることはできませんが、マーケットの反応は非常に喜ばしく思っています。

――世界中の人が到着を待っていると思いますが、実際に手元に来た時に楽しめるローンチタイトルはどれくらいになるのでしょうか。

レイモンド:
現時点(GDCでの取材=3月16日時点)では、30以上のタイトルが揃いそうです。Valveによると1日に1つくらい増えるような勢いとのこと。ローンチの頃には、もしかしたら遊ぶことのできるコンテンツは50以上になるかもしれないですね。技術デモではなく、タイトルの数です。

――かなり多くなりそうですね。

レイモンド:
はい。そしてローンチ後もVive向けのコンテンツはさらに増えていくと思います。

Steam以外のプラットフォームからもコンテンツを入手可能

――Vive向けのコンテンツを配信するのはSteamが中心になるのでしょうか。

レイモンド:
パートナーのValveはゲームに関しては非常に強力なSteamというプラットフォームを持っています。アメリカでも日本でもPC向けのゲームといえばSteamですよね。VRゲームはSteam経由のものが多くなっていくと思います。

――Steamはゲームを中心とするプラットフォームです。Steam以外のルートで入手したソフトもプレイできるのでしょうか。

レイモンド:
プレイできます。PCの世界はオープンです。ユーザーはどこで入手したコンテンツでもHTC Viveで体験することができるようになります。PlayStationやXboxのように特定のストアを経由してのみコンテンツをプレイできるエコシステムとは異なります。

――360度動画などはSteam以外のプラットフォームで配信されそうですね。

レイモンド:
今後、Steamにもノンゲームのコンテンツが上がると思います。VRの開発者にてSteamは魅力的なプラットフォームですから。最終的には、ユーザーの選択になります。多くの会社がコンテンツを配信するプラットフォームを運営しようとしています。

開発者を増やすためにも、普及のためにもとにかく接点を増やす

――日本では先日、アミューズメント領域でのGREEとの提携を発表しましたね。どういう狙いがあるのでしょうか。

レイモンド:
今回の提携をきっかけとして、HTC Viveを日本の開発サイドにもっと紹介したいと考えています。日本にはVRに携わっている開発者もゲームの開発者も多くいます。しかし、HTC Viveはあまり使われていません。色々な理由がありますが、私たちが(他のVRヘッドマウントディスプレイに比べて)出遅れすぎたことも一因です。日本のイベントに参加することもありませんでした。HTC Viveに触れて頂く機会を増やすことで、HTC Vive向けのコンテンツを作る開発者さんも増えていくといいなと思っています。

――まずはHTC Vive向けコンテンツの開発をしてもらうことですね。

レイモンド:
はい。そして、マーケットとしても日本のアーケードなどの市場があります。私たちもシステム面から関わることができると考えて、GREEとの協力関係を構築しています。

――一方、中国でもインターネットカフェでの展開を進めていくという提携を行っていますね。

レイモンド:
はい、我々が注目している国の一つが中国です。中国にVRを普及させたい。ゲームだけでなく、教育など様々な分野で普及させていきたいですね。新しいプラットフォームを作っていく必要もあると思っています。

――なぜインターネットカフェなのでしょうか。

レイモンド:
インターネットカフェは普及のための一つのチャンネルです。中国ではインターネットカフェで、多くの人がゲームを遊んでいます。日本でアーケードが人を集めているのと同じですね。こうした場所でVRを導入することで、VRの体験を人々に届ける可能性を広げることに繋がります。HTC Viveにとって接点を負やすことは重要だと考えています。

――HTG Viveの販売を拡大するためにはどういった戦略を考えていらっしゃいますか

レイモンド:
コンテンツこそが鍵だと考えています。VRの体験はとてもユニークです。TVCMで「VRはとてもクールだから買いに行こう」と言ってもあまり意味がありません。VRは実際にクールな体験をするからこそ買いたくなるものだと思っています。スター・ウォーズが好きな人にとっては、HTC Viveを使ったスター・ウォーズのVR体験は素晴らしい物になります。まずは良い体験を開発者の皆さんに作ってもらわないとなりません。

――コンシューマーにとってHTC Viveの価格は安くはないと思いますが、今後価格を下げていくことはありうるのでしょうか。

レイモンド:
コストダウンに関しては常に取り組まなければいけないことだと思っています。しかし、私たちはこの価格で良質なVR体験を届けることができてかなり満足しています。

――製品版が発売されるわけですが、今後改善したい部分や今後の課題などはありますか。

レイモンド:
まだまだ技術的に進化させたい点は多くあります。私たちにとって最も重要なのは、まずは皆さんの元にHTC Viveをお届けし、フィードバックを得ることだと思っています。一方で、GDCのエキスポ会場を見ても非常に多くの人達が、それぞれ異なるアプローチで新たな技術でVRに取り組もうとしています。

――エキスポ会場には本当にたくさんの周辺機器等の展示がありますね

レイモンド:
本当に多くの新たな特徴をもった技術が登場しています(笑)一つ一つ見させていただきたいと思っています。手の指のトラッキングだけ見ても、カメラでトラッキングをするものからグローブ型のものまで色々な種類がありますね。私たちがどうその技術を使えるのか、コンテンツ開発者たちはどういうものを望んでいるのか、といったことも考えています。今後の課題はまだまだたくさんありますよ。

――アイ・トラッキングもその一つでしょうか

レイモンド:
そうですね。興味深い技術の一つです。どの技術が今後キーとなるか、それぞれの技術がどの程度成熟しているかも見ていかなければなりません。

年齢制限は13歳以上推奨

――Vive Preから搭載されたフロントカメラはどういった用途のために搭載されたのでしょうか。使い方など想定していますか。

HTC Vive camera

レイモンド:
フロントカメラ(パススルーカメラ)は、安全のための用途を想定しています。コントローラーのタッチパッドをダブルタップすると周りを見ることができ、どこまでが動くことのできる範囲なのかが見えるようになっています。もちろん多くの開発者が他の使い方も考えていると思いますが、今の時点では安全のためにのみ搭載しています。

――なるほど。

レイモンド:
(ヘッドセットをはずさないと)外が見えないことを不便と感じる人もいます。そういった人でも快適にVRを体験できるというのも一つのメリットですね。

――ヘッドセットを装着したまま電話をかけることができる仕組みも同じ発想ですね。安全という視点から考えると、年齢制限はどのように考えていらっしゃいますか。

レイモンド:
13歳以上推奨としています。

――Oculusと同じということですね。

レイモンド:
はい。推奨にしているのは、現時点ではいかなる法的な規制もないためです。

最高のVR体験を届けたい

――今はケーブルがあります。また、体験の実在感を高めるという意味でも最終的にはワイヤレスが理想的と思います。モバイルのVRヘッドマウントディスプレイに関してはどのようにお考えでしょうか。

レイモンド:
多くの企業がモバイルの機器を使ったVRに参入しています。しかしHTCは現時点では、モバイルに関してはいかなる製品もロードマップも考えていません。私たちは最高のVR体験を届けたいと思っているからです。モバイル機器を使ったVRはまだ最高のVR体験とは言えず、PCを使った体験が最も没入感が高いと思っています。

――最後に日本の開発者の皆さんにメッセージをお願います。

レイモンド:
HTC Viveをぜひ体験していただきたいと思います。コンテンツなくしてプラットフォームは成立しません。日本のコンテンツは世界的にも非常にユニークな物が多いです。私たちはHTC Viveのコンテンツ開発に加わろうとする開発者の皆さんを歓迎します。

――コンシューマーの皆さんにはいかがでしょうか。

レイモンド:
コンシューマーの皆さんも同じです。まずは体験してみてください。その後、どのような決断をするかは皆さん次第ですが……(笑)。

――HTC Viveの実現するVR体験にかなり自信をもってらしゃいますね。

レイモンド:
はい。しかしVRを体験プレイ中のスクリーンを見るだけでは、体験者が「なぜそんなに怖がっているのか」「なぜ楽しそうなのか」分かりません。何より体験しないと分からないものです。そのためにも私たちはイベントに出展したり、デモのできる場所を増やすなどしてより多くの人にHTC Viveを体験してもらいたいと思います。そしてなぜ我々がHTC Viveに自信を持っているのか、ぜひ実感していただきたいと思います。

――VRは体験しないと分からないものですが、HTC Viveもまさにそうですね。私たちもイベントなどで接点を増やしたいと思います。本日はありがとうございました。

この記事を書いた人

すんくぼ(久保田 瞬)

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。VRジャーナリスト。
VRが人の知覚する現実を認識を進化させ、社会を変えていく無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。VR/AR業界の情報集約、コンサルティングが専門。また、国外の主要イベントには必ず足を運んで取材を行っているほか、国内外の業界の中心に身を置きネットワーク構築を行っている。

Twitter:@tyranusii

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